その場を沈黙が支配した。
そこにいるとコゲンタは自分達がおかれている状況を理解したくないらしく固まっている。
なにがあったのか。それはとてつもなくご都合主義な状況だった。

 

 

 
『大体、お前は少し…いや、かなり生意気なんだよ!!』
「式神が闘神士に口答えするな。ついでにいうが、俺が本気を出せばお前など5分で片がつくぞ」
を怒鳴りつけるコゲンタ。だがは全く気にしていないようで平然と書物を読みながら言葉を返した。
そんなの行動を見て更にコゲンタの怒りは増す。『降神しろ!』とリクに命令を下した。
「黙れ、コゲンタ。式神が闘神士に命令するな」
眉間に皺を寄せは不機嫌そうにコゲンタに言った。
そして『従うなよ』とリクに釘をさし再度視線を書物をにもどした。
『なんでお前はそんなに豪そうなんだよ!大体、式神様あっての闘神士だろうが!!』
「それは式神にも言えることだな。俺達が居なければ式神はこの世界にすら来ることができんだろうが」
『ゔ……』
当たり前のことを言う様にはキッパリと言いきった。あまりにキッパリと断言されたたためにコゲンタは一歩引いた。
そんなコゲンタを見てはにやりと笑い更に口を開いた。
「大体、印を入力されなければお前達は戦えんだろうが。
それに俺は闘神士でもあるが、一応術者としての力を持っている。
印を切ってもらわなければ戦えないお前よりは幾分か戦えると思うが?」
意地の悪そうな笑みを浮かべは勝ち誇った様に笑った。コゲンタは飛びかかりたい衝動にかられたが、
今は霊体だし、飛びかかったところで闘神符で肩をつけられて終わりだろうと踏み、取り合えず黙った。
しかし、そんなコゲンタの小さな我慢は十秒も続きはしなかった。
「……幾分ではなく、かなりか」
『ぶん殴るッ!!』
「ひ、必殺!反応神境ッ!!」
コゲンタが怒鳴ったかと思うと不意に気弱そうな少女の声が響いた。
そして一線の光りが走りとリクに当った。
攻撃性はないようだか強い光によって二人の目は使い物にならない状態になってしまった。
それに追い討ちをかけるように新たな式神が技を放った。
「必殺!奈落招招!」
「ちっ!!」
は舌を撃って外に飛び出した。今放たれた技は自分に向って放たれたと感じた故にだ。
しかし、外に出たのは失策だった。今は夜。この暗い中ではは更にその目の機能を失ってしまうからだ。
しかし、リク達を巻き込むわけにはいかないと思うはには他の選択肢はなかった。
「「必殺!無限奈落歌(無限桃源郷)!!」」
同時に必殺技を放たれは成すすべなくその攻撃を受けてしまった。
激痛も、死の感覚もを襲いはしなかった。しかし、を覆っていたのは歪んだ『空間』だった。
 
「…整理するぞ。俺達はもう一つの『世界』に送りこまれた。そして、この世界からもとの世界に戻るためには…」
『この世界でなにかを企んでいる『地流』を倒す』
コゲンタとの口から溜息が漏れる。それは今までについたどんな溜息よりも長く、深いものだった。
『よりにもよってどうしてお前なんだよ!せめて地流のチビならいいものを…!!』
「知るか!こっちが聞きたい!!せめてライヒならばいいものを…!」
お互いにお互いを睨み嘆く。しかし、そんなことしている場合ではないと思われる。
「お前等!!僕をなめているのか!!」
青錫のツクモを従え少年――ヤマセは怒鳴る。
だが、ヤマセに怒鳴られたところでもコゲンタも一切その態度を改めはしなかった。
ヤマセの存在よりも今自分達がおかれている状況の方が遥かに目触りであったし、
ついでに言うと自分と共に戦わなければならないパートナーの方が幾千倍も腹だだしいからだ。
「雑魚闘神士がビービーと騒々しい……
今俺は気が立っているんだ…黙って帰った方が貴様のためだぞ…」
『青錫の……てめェも命が惜しいならさっさと消えろ』
とコゲンタの口から物凄くドスのきいた言葉がはっきりと聞こえた。その声は怒りだけを表している。
ツクモはその二人の気迫から『逆らってはいけない』なにかを感じ、ヤマセに引き下がるように言った。
しかし、ヤマセはコケにされたことに二人と同じく怒りを露にし、ツクモの静止など気にも止めず印を切った。
「僕をコケにした事を!後悔させてや……?!」
「なめるなよ、クソ餓鬼。お前と俺では実力が違いすぎるんだよ」
「はっ、全くだ。俺に、喧嘩売ったことを……それこそ後悔しやがれェッ!!」
いつのまにやらコゲンタは降神されツクモの後ろを取っていた。
そして、その手には西海道虎鉄を手にし、技の体制に入っていた。
「怒涛疾風牙ッ!!!」

 

 

 
一撃でツクモも仕留め、ヤマセを追い払ったとコゲンタ。するとツクモはに声をかけた。
「今まで私が契約した闘神士は全員がわたしを、虫けらのように見て、そして扱った。
あなたは、わたしを一体の式神としてみてくれている…そうですね?」

「当然だ。お前には充分輝くものがある。あの白虎より謙虚で立派だ」
『んだとコラァ!!』
ツクモに問われは間髪入れずにツクモを褒めて、コゲンタを貶した。
それに対してコゲンタは飽きもせずに怒鳴り散らす。
『お前あの時、俺が居なかったら殺されてたぞ!!』
「さぁ、どうだかな。ツクモは強いがあの闘神士は雑魚ついでにお間抜けだ。案外俺一人でどうにかなったかもしれん」
『なぁにおぉ〜〜〜!!!!』
「いい加減にしなさいッ!!!」
「『!?』」
ギャアギャアと騒ぎ立てるコゲンタと。そんな二人に渇を入れたのはツクモだ。
青錫族故にその体は青いはずなのに、あまりに二人の言い合いの内容がくだらなかったため、
怒りの感情が爆発して顔が赤くなっている。二人はその生態系(?)を破壊したツクモの怒りに押されて大人しくなった。
「全く…。
コゲンタ殿、あなたの本当の闘神士ではないとは言え、わたし達式神は闘神士に使われてなんぼ。
それに充分に強い闘神士に使って貰っておきながら文句ばかり!白虎とはいえ、我侭を言い過ぎですぞ!
そして闘神士、あなたも白虎一族を貶すとは言語道断!式神の頂点に立てるような式神を侮辱するとは!」

「「すみませんでした…」」
ツクモの勢いに完全に気圧されとコゲンタはツクモの前で正座をして謝った。
ツクモはそんな二人を見て声音を優しくして言った。
「分かればそれでいいのです。
あなた達を二人にしておくのはあまりに不安なので…わたしもあなたの式神になりましょう」
 
青錫のツクモと契約した!
種族 青錫族 性別 適応力 節季 清明 属性
相性 有利・消雪族 不利・青龍族 武器 陰陽ボーガン 細蟹 特殊能力 敵の石化の術、無効
攻撃1 薬品ビン投げ 攻撃2 薬品大量落とし ←A
必殺技 加護力ダウンの術 ↑←A 必殺技2 隕石の術 →↓←A
超必殺技 細蟹 →↓→→A 超必殺技 阿多之運命 ←↓←↑↑A
 
『よろしく頼みますよ、闘神士
「ああ、よろしく頼む。よかったなコゲンタ、彼のおかげで俺と顔を合わせなくてすむぞ、一生」
『そりゃよかったぜ。お前の顔見てると腸にえくり……』
『いい加減にしないとあなた方の頭に
わたしの細蟹の矢を貫通させますよ…?』
「「ご勘弁を……」」