「あ、お帰り
「……ああ、帰って来てたのかソーマ。どうだ、調査の方は?」
アパートに帰って来るとソーマが居間にいた。
ソーマは直にに気付きに抱き付いた。は少々戸惑いつつもソーマをうけとめソーマに尋ねた。
「一段落ついたよ。そっちの妖怪の方は??」
「あ゙ー…そう言えばそんなことを言っていたな…いや、これと言って情報はない」
「ふ〜ん…天流に使える闘神士っていないの?」
『なんだと!?』
『おっと、ソーマに手出ししたらただじゃおかないよ。それとも…今、闘ってみるかい?』
「やめてよ!フサノシン」
ソーマが溜息混じりに言うとドライブからコゲンタが飛び出してきた。
それに反応してソーマの式神――雷火のフサノシンが姿を見せた。
今にも飛びかかりそうなコゲンタを見てフサノシンも好戦的な言葉を売りつける。
しかし、ソーマは焦ったようにフサノシンを止めた。
『まぁ、ソーマは無駄な闘いはしたくないようだがな』
「それはこちらも同じだ。コゲンタも悪かったが…フサ、お前も態々挑発するようなことを言うな」
『…姉ちゃんには勝てないよ』
に言われフサノシンは肩をすくめた。
当然、コゲンタにも指摘の目を向けているためにコゲンタも肩をすくめていた。
「でも、この数じゃ、地流に対抗できないよ。もっと式神を集めないと…」
「確かにな…今回ばかりは量より質とか言ってる場合ではないからな…よし、仲間探しにでも行くか」
すっと立ちあがりはアパートを出ていこうとした。
、気をつけてね!」
「ああ、じゃあ行ってくる」
 
 
 
『……なんか、寂しそうだったね』
ドライブの中でコロクが口を開いた。
沈んだの周りで騒ぐのは無粋だということで、こうやってドライブの中で大人しく会話をしている次第だった。
ソーマに見送られ再度、仲間探しに出た
しかし、先ほどのと違い、凛とした雰囲気も覇気も残っておらず、どこか寂しげな『人』になってしまっていた。
その原因に心当たりがあるのはコゲンタだけだ。もとの世界から共に来たコゲンタでなければ分かるはずがなかった。
『あ、コゲンタ!』
コロクの静止も聞かずコゲンタはドライブから出ていく。コロクはコゲンタを止めようとするがツクモがそれを止めた。
『コゲンタ殿に任せた方がいい。あれでコゲンタ殿の方がわたし達よりも殿のことを知っている』
『それもそうですね。仲が悪くとも、同じ辛さをもつものの方が励まし役は適任かもしれませんね』
ツクモが言う。それを聞きバンナイも納得したように首を縦に振った。
そんなバンナイとツクモを尻目にコロクは少々不安げだった。
 
 
 
『ユエのこと…思い出したのか?』
「……コゲンタか…。ああ…あまり思い出したくなかったんだがな…心配になるから…」
真っ直ぐと前を見据えては歩きつづける。その横のコゲンタも真っ直ぐ前を見てに続いた。
「印は切れない、危機感はない、抵抗はできない……不安なことばかりだ。
ライヒの奴は強い、そうそうの事がない限り印を入力しなくとも追い払う程度のことならできる…だが…」
『お前、大切な弟のこと信用してやれないのかよ』
「なっ…!」
突然、不機嫌そうに口を開くコゲンタ。はコゲンタの言葉に驚きの声をあげた。
『リクの奴も、ユエと一緒で危機感のない危ねェ奴だ。
だが、俺は信じてる。あっちに戻ってもあいつは俺の闘神士のままだってな』
自信満々といった風に言いきるコゲンタ。
はそんなコゲンタを見て苦笑したが、その笑みにはどこか嬉しそうなものがあった。
「……流石、信頼を司る式神だな。そこだけは尊敬する」
『そこだけってのは余計だ』
「いつまでも信用してやらないから…ユエは甘えて一人立ち…できないのかもしれないな…。
……癪だが礼を言うよコゲンタ、ありがとう」
『はっ、そんなことで礼なんて言われたくねェよ。その言葉、あっちにもどってからにしやがれ』
「なら、お前も俺に戻ったら礼を言えよ?俺が言うならお前も言うのが筋だからな」
『…………へいへい』
コゲンタが諦めたように返事を返すとは薄く嬉しそうに笑って走り出した。
 
 
 
「待ち伏せとはご苦労様だな…」
「う、五月蝿い!ちっ…聞いていたより強そうじゃないかッ…!」
「それはどうも。でも、外見で力を判断する辺り…アンタの実力はまだまだ見たいだな」
「…ッ!そんなことは闘ってからきめな!!」
少女――ミササがドライブをかざし降神した。それを見ては溜息をついて同じく降神した。
「コロク、お前のお手並み拝見といくぞ」
「うん!オラのすごいとこ見せるからね!!」
そうコロクはに宣言して敵の式神に襲いかかっていった。
 
 
 
「ボクと契約して!!」
「!?」
ミササに勝利したとコロク。
コロクに賞賛の言葉を贈っていたを背後からミササの式神であった甘露のコマキが飛びついてきた。
はまさか飛びつかれるとは思っていなかったらしくバランスを崩して倒れた。
「痛〜…」
「ああっ、ゴメンゴメン…でも、ボクと契約してくれたらこんなことにはならないよ」
ウィンクを飛ばしてにアピールするコマキだったが、は渋い顔をして『本当か?』と心のどこかで疑っていた。
「それに、まだ水属性の式神仲間にしていないんなら、ボクってとっても貴重な存在だと思うよ」
「………まぁ…な」
「なら、パパッと契約しちゃおうよ!式神は多いに越したことないんだからさ!」
「あッ!オイ!!」
 
甘露のコマキと契約した!
種族 甘露族 性別 加護 節季 大暑 属性
相性 有利・楓族 不利・赤銅族 武器 陰陽錫杖 喰々 特殊能力 妖力1.5倍
攻撃1 ビンタ 攻撃2 突き飛ばし ←A
必殺技 催眠の術 ↑←A 必殺技2 噴水の術 →↓←A
超必殺技 喰々 →↓←↓A 超必殺技 魂喰幻惑光 ↑↑←↑→A
 
『えへへ〜契約しちゃったも〜ん!よろしくねボクのご主人様』
「……なんか嫌な響きだな…」
は眉間に皺を寄せてコマキの自分の呼び方を否定した。
『間違いではないですよ。闘神士が指揮者、我々式神は従者と考えれば』
『そうそう、気にすることなんてないんだよ〜ご・主・人・様』
「やっぱり嫌だな、この響きは…コマキ、やめられないか?それ…」
『ダメ』
「………あ、そう…」
そう言っては肩をガクリと落とした。
 
 
 
「…お次は林か………」
『あ〜なんかイイ匂いが…』
『うん…甘いものの匂いだぁ〜っ』
ドライブから霊体のままプカァ〜っとどこかへと流れて(?)行くコロクとコマキ。
それを見ては慌てて追いかけた。
「ふ、二人とも!!勝手にフラフラするな!だぁ―ッ!!」
『…コマキが入って以来、殿は随分とバタバタしているな』
『ええ、コマキに押されてばかりですからね。
しかも、コマキに便乗してコロクまで一緒になって騒いでいますから』

『……そこまで分かっているのならコマキ達に注意すればいいものを…』
『それでは、様の精神の修業にならないでしょう』
『…………わたしは修業が成果をもたらすその前に殿が神経性胃炎で倒れそうな予感はしますがね…』
「ツクモ!バンナイ!ボッーとしてないで早く来てくれ!」
は焦ったような表情でツクモとバンナイを呼ぶのだった。そんなを見てツクモはを労しく思うのだった。
 
 
 
コマキとコロクに追いつきが発見したものは壷に入った蜂蜜だった。
はジト目でそれをにらみ考えをめぐらせていたどうしてこんなものがここにあるのか…
というか、誰がこんなものを置いたのか……考えれば考えるほど答えは出そうになかった。
、美味そうだよ』
『ハチミツって美容にもいいんだよ!』
「………俺にこれを持って歩けと?」
うん
あっけらかんと言うコロクとコマチ。は溜息をついて仕方なさげに蜂蜜の壷を持った。
持った瞬間に『なんで持ってんだ俺』と思ったが、考えると悲しくなるので考えるのをやめた。
『ん?オイ、。ここに闘神士と式神が一組いる。恐らく地流の奴だな』
なにものかの気配を察知したのか口を閉じていたコゲンタが口を開いた。の目つきが変わる。
『案内頼む』と言ってやはりハチミツの壷を持った状態で言った。それを見てコゲンタは『カッコつかねェな』と言った。
『かっこをつける気はない』とは不機嫌そうに言い返すのだった。
 
 
 
「…いないな」
『?なにぃ〜??………ゲ、本当にいやがらねぇ…』
『コゲンタの鼻もあんまり頼りになんないんなぁ〜』
『鼻じゃねェ!!勘だ!勘!第六感!『しっくすせんす』ってやつだッ!』
「お前、式神のくせになんで英語を…」
「俺を無視するなァ〜〜〜〜〜!!!!!!」
『あ?』
「ん?…!いつの間に!?」
「初めからいた!!寧ろお前等より先に俺はここにいた!!」
男――ナカムラが怒鳴る。は嘘か真か調べるために式神達を見た。
当然の如く全式神が『いなかった』だった。
「くそ!弟分は倒されるわ、無視しまくるわ…!!お前等は絶対に倒す!!」
「はぁ…無視したつもりはないんだがな…ツクモ、頼む」
『了…』
『待ったぁ!ボクにやらせてよ!ボクの強さを見せてあげるから!!』
「……危なくなったら直にツクモとかわらせるかなら」
『うん!絶対に勝っちゃうからね!!』
 
 
 
「うおぉりゃあぁ〜〜〜!!!」
「そーはいかないよ!噴水の術!」
「地味に強いな…あの男……」
「地味って…地味って言うなぁ――――――!!!!」
「必殺!月輪刃と日輪刃ッ!!」
ナカムラの式神――椿のゴローザの陰陽斧が宙を舞う。コマキはヒョイヒョイと避けている。
「あたりやがれッてんだぁ―――ッ!!!」
「なッ!?」
「ご主人様!!」
後半、手当たり次第適当に斧を投げたゴローザ。運悪く斧はの元へと飛ぶ。
コマキが庇おうと走り出すがゴローザの斧の方がスピードが早くコマキは間に合いそうにない。
「必殺!邪気滅殺砲!!」
無数のエネルギー体がゴローザの斧を跳ね返した。
その反動の爆風が起こるがはそれにまきこまれてはいなかった。
「大丈夫かい?ちゃん」
不適な笑みをその整った顔に浮かべ、の前に現れたのは闘神士――マサオミだった。
「マサオミ!?…………って…ッ!
ドサクサにまぎれてどこに触ってるんじゃ!
貴様ッ―――――!!!!!
マサオミに俗に言う『お姫様抱っこ』というやつで助けられた
しかしマサオミの手の位置が確りと胸にきていることに気付き幻の右が炸裂した。
マサオミは『不可抗力』と否定しようしたが、それよりも先にの右ストレートが唸ったのだった。
「マサオミ、綺麗な最後だったぜ」
「……キバチヨ、洒落ならないんだけど…?」
「洒落にする気などない!!止めをさすぞ気貴様!!」
、怒るのは最もだけど、一応マサオミはボクの闘神士だし、今は戦闘中だよ」
「あ!コマキ!大丈夫か!?」
マサオミの式神――青龍のキバチヨに冷静なツッコミを入れられは我を取り戻してコマキの元へ駆け寄った。
コマキはに抱き付き怒鳴った。
「あんまり心配させないで!ボク…ボク…が本当に死んじゃうかと思って…!」
「コマキ…大丈夫。俺はあれくらいじゃ死なない。コマキ、お前が俺を守ってくれるんだろ?」
「……調子良過ぎ!でも…甘露の名にかけてのこと…絶対に守るからね!
それにしても……ボクの大切なご・主・人・様に手を上げるなんて……君、身のほどをしらなすぎだよっ!」
そうコマキが笑うとゴローザの背筋に悪寒が走ったという。
 
 
 
「あ、姐さん…オレにハチミツを…!」
「お前…今にも本気で死にそうだな…ハチミツなんかでその状態回復できるのか…?」
「いや、それは無理だ…だが、姐さんがオレと契約を結んでくれれば…」
『ご主人様、こんな奴と契約なんてする必要ないからね』
瀕死のゴローザを前には困っていた。どうすればこのゴローザを回復させられるか…
回復をできるような技を持った式神はいないので本当にどうしようもない状況なのだ。
しかし、ゴローザ曰く、契約すれば大丈夫というのだが……それをコマキが許しそうにもなかった。
「コマキ、許してやれ。こいつだってわざとやったんじゃないんだ」
『そーゆー問題じゃないの。ボクはを傷つけかけた奴に仲間になる資格はないって言ってるの!』
「……コマキ、俺はゴローザの命を救いたい。お前が俺を助けたかったようにな…だから、ゴローザと契約させてくれ…」
はコマキに頭を下げた。コマキは『頭を上げてよ!』と言うがはあげなかった。
そしてコマキは深い深い溜息をついて『わかったわ』と言った。
「ありがとう、コマキ。ゴローザ、お前と契約を結ぶよ」
「あ、ありがとう姐さん…あと、甘露…お前の主人に危害加えたことは…謝らせてくれな」
 
椿のゴローザと契約した!
種族 椿族 性別 活力 節季 立春 属性
相性 有利・雷火族 不利・凝寂族 武器 陰陽斧
月輪刃&日輪刃
特殊能力 味方の「一撃死」の術の
成功率1.5倍
攻撃1 タックル 攻撃2 パンチ&タックル ←A
必殺技 防御力UPの術 ↑←A 必殺技2 竜巻の術 →↓←A
超必殺技 月輪刃と日輪刃 ←←↓←A 超必殺技 秘伝黒旋風 ←↑←↓←A
 
『よし!全快したぞ!
それもこれも姐さんとの契約のおかげだ!あんたは命の恩人だ!オレはどこまでもついていくぜ!!』

「大げさだな。だが、その心遣いは受け取っておくよ。これからよろしくなゴローザ」
『おぉ!』
『ゴローザ……もし今度、ご主人様に危害加えたら………もっと怖いコトしちゃうからね……!』
『ハイ…』