「うおぉぉぉぉぉぉ――――――――ッ!!!!!」
「……式神をこういう使い方をしてはいけないと思うんだが…」
『いいのいいの。使ってるのゴローザなんだし』
はっきりと答えを返すコマキには内心『それは意味の通っている理由なのか』と流石にツッコミを入れていた。
だが、そんなを肩に乗せて爆走しているゴローザはニカッと笑って言った。
「オレは戦闘かこんなことぐらいにしか役にたたねぇからよ!あと、姐さんには払いきれないぐらいの恩があるからな!」
『ね?ゴローザはご主人様を傷つけかけたうえに、ご主人様に命救ってもらっているんだから!これでも足りないくらいよ』
コマキがコマキならゴローザもゴローザだった。は軽く溜息をついてゴローザの肩の上からそのまま景色を眺めた。
 
 
 
「ここか…」
「あなたにはなんの恨みもありませんが倒させていただきます。それでいいのですね?ユーマ様」
男――ヤマグチが声を発すると不意に草木が揺れる。
がハッとして音のする方向に視線を向ければそこには赤髪の少年――ユーマがいた。
ユーマの視線はに強く突き刺さっている。はそんなユーマを見てニヤリと笑みを浮かべた。
「久しいな…出世魚」
「…その呼び方をやめろと何度言わせるつもりだ貴様!!」
が出世魚――ユーマを呼ぶとユーマはこれでもかというほどに怒りに火をつけた。
心なしか目には炎が宿り、その手は腰のドライブに伸びている。
しかし、それをユーマの部下のヤマグチが必死になって止めた。
「部下に面倒見られているようでは…まだまだだな出世魚」
「こ、これ以上の挑発は許しません。式神降神!」
『ここはオレの力の見せ場だな!』
ゴローザが戦闘に出ようと身を乗り出すが、はそれを止めた。
「やめておけ、相手は妖力系のようだ。ここは……」
『ボク?ボクの出番!?』
嬉しそうに目を輝かせてに迫るコマキ。しかしは冷静に首を横に振り降神した。
「私の本気をお見せするのは初めてですね」
「ああ、確り頼むぞバンナイ」
 
 
 
「うむ…私の聴力を持ってしても勝てないとは…闘神士よ、走れ」
「…?何故??」
大火のムミョウとの戦闘を終了させたとバンナイ。
するとすぐさまムミョウはに契約の課題を出した。は理由を聞こうと口を開いた。
「今の闘いは単に式神の強さによるものかもしれん。故、お前の真の実力を測らせてもらう。25秒以内にゴールするのだ」
「なッ!いきなりか!!」
 
ミニゲームクリア
 
「い、いきなり走らせるな!急激な激しい運動は体に負担をかけるんだぞ!」
『なに、いきなり健康系になってやがる』
「いや、特に文句を言うつもりはなったのだが、なんとなく不条理さを感じて…」
はコゲンタに突っ込まれて素直に白状した。
どうやらにとってムミョウの出したから課題は大して苦になるような課題ではなかったらしい。
ムミョウはの言葉を聞いて満足そうに笑った。
「知識も体力も式神からの信頼もしっかりあるようだな。闘神士よ私と契約をむすぼうぞ」
「ああ、よろしく頼む」
 
大火のムミョウと契約した!
種族 大火族 性別 援助 節季 小満 属性
相性 有利・繁茂族 不利・榎族 武器 陰陽算盤 長老板 特殊能力 敵の「HP吸収」術、無効
攻撃1 抱擁 攻撃2 かみつき ←A
必殺技 紅蓮の術 ↑←A 必殺技2 HP吸収 →↓←A
超必殺技 →↓→↑A 超必殺技 必殺霊流銃 →→↑→↓A
 
「で、出世魚。お前はどーするつもりだ?俺とここで決着つけるか?」
「当然だ!」
「待った兄さん!」
とユーマの間に殺気だった空気が流れた。しかしそれを裂くようにソーマの声が二人の耳に届いた。
「お前はソーマ!」
「やめてよ兄さん!地流の宗家は父さんの仇じゃないか!!」
「まだそんなことを…!あれはへまをした親父が悪いんだ!」
お互いに辛そうな飛鳥兄弟。はそんな二人を見て深い溜息をついた。
不意に使ってはいけないはずの闘神符をユーマに向って投げつけた。
突然現れた闘神符にユーマはなすすべなくそのまま闘神符の効果を受けた。
「兄さん!?!一体何を!!」
「大丈夫だ、心配は要らない…ただ、ユーマの奴を強制的に地流の本部へ送りかえしただけだ」
ストンとの腰が抜ける。疲れきったように下を向きは荒々しく息をした。
『ご主人様!?ど、どうしたの!?』
!?』
殿!お気を確かに!』
式神達が慌ててに駆け寄った。は『大丈夫だ』と言葉を返した。
「……どうして…?闘神符一枚使うだけでそんなに気力を消費するだなんて…」
「呪いだよ。闘神符を使うと…通常の10倍のスピードで気力が消耗する…
俺でなければ大体の奴等は気力を使い果たして死んでるよ」
『いつの間にそんな呪いを…私達がいた時点ではそんな強力な式神も術者にも会いませんでしたが…』
「…いつこの呪いを受けたかなんていうのはどうでもいいんだ。ただ、闘神符が使えないという事実だけで充分だろう」
『闘いの幅が狭まるんだがな』と優良に笑いは言った。
『だが、それを上手くカバーするのが俺達式神の腕の見せ所ってわけだ』
コゲンタがフンと鼻で笑いを見た。は『その通り』と言って笑った。
「さて……そろそろ、妖怪退治とやらに向うか………」
『その前にご主人様は休憩!そんな体で行ったって闘えないんだから!』
「あ―…はいはい」
 
 
 
「ダムに地流が出入りしているらしいんだ。あと…そこで妖怪の出現報告もきてる」
「ダムか……遠いな」
『ならオレがまた姐さんを乗せて走るぜ!』
「ああ、頼む……とは流石にいえないな。お前達に頼ってばかりでは俺の気力も戻らない一方だからな」
「もう行くの?体…大丈夫なの?」
「体力的には問題ない。今のところはな…だがまぁ、突然倒れるとかいった事はないだろう」
そう言いは足早にアパートを出て行った。
 
「本来であればもっとスピードが出るんだがな……はぁ、気力がないのがこんなに辛いとは…」
は走りながら今更なことを呟いた。それを聞きバンナイが口を開く。
『闘神士にとって気力とは実力をさすようなものですよ。なくては印すら切れませんからね』
『気力が尽きては闘神士は闘神士でなくなるということですかな?』
『まぁ、そう言っても過言ではないかもしれませんね』
「本家があれば…修業の一つも出きるんだがなぁ…しかし、これは自分の実力を過信し過ぎだ俺への天罰か…」
『そんなことない!は毎日修業してきたんだ!オラ、それよーく知ってる!』
『…?なんでコロクにそんなこと分かるの?の前の世界しってるわけでもないのに』
『オラは運命を司る式神だからのこと、色々わかるんだ』
「過去のことは言っていいが、先のことを言うのはご法度だぞ」
誇らしげに言うコロクには釘をさすように言った。コロクは『わかってるよ』と返した。
は術者としての勉強と修行をいっぱいしてる。弱い闘神士なら一人で倒せるくらいに…
元々持ってるの気力も普通の闘神士から見れば強大だけど、は家ではそんなことなくて、
気力をあげるために辛い修業してきたんだよね』

「……ああ、闘神士として目覚めなかったのならば術者として家に貢献しようと思ってな。
いくらでも修業したよ。おかげで強くはなったが今はこれだ」
『しかし、修業したおかげでこの程度で済んでいるのではないのですか?
見る限り…この呪いの意図は殿の闘神士としての力を奪うためのようにも思えるのですが…』

『一利あるな。そうでもなければ…態々こんなまどろっこしいことなどしまい…』
『だぁ!そんな難しいことはどうでもいいだろ!
今ある実力がお前の今の実力、足りないと思うんなら自分で修行しろってろ!
それで、俺達の力が必要ならそう言えばいいだろ!戦闘はさせといてなに今更遠慮してやがる』
「コゲンタ……」
『そーだね、コゲンタの言う通り。ご主人様はもっと…闘い以外の場所でもボク達に頼っていいんだよ。
ボク達の殆どがご主人様について行きたくて契約したんだから』
クスクスと笑いながらコマキは言った。他の式神達も『そうだな』とコマキの意見に同意した。
は困ったように笑みを浮かべて感謝の言葉を言った。
「いい仲間に恵まれたよ…皆、ありがとう」
 
ダムの地下にはなにものかが居た形跡が確りと残っていた。
達は警戒しつつ奥へと進んでいくと、一人の男が待ち構えていた。
「計画は順調に進んでいる。そしてここにはもう用はない」
「…それは、ここ等で起きた子供達の事件の犯人だと言っていると判断していいんだな?」
「どうぞご勝手に…どうせ、お前一人が抵抗したところでマホロバ様のお力は止められん」
『マホロバだと!?』
男――ニシタニが『マホロバ』の名を出すとコゲンタは血相を変えた。その表情は凍り付いている。
「そうだ、我等地流はマホロバ様を復活させようとしているのだ」
「マホロバ…か……今はどうでもいいことだなそれは……」
『なに言ってやがる!マホロバってのは…!』
「こうやって無駄な言い争いしているうちにマホロバの開放は着実に進んでいる…
今ここで騒ぐのは得策ではないと言っているんだ。悪いが……無駄話はここまでだ」
「目に見えるものが全てではないことを教えてやろう…!」
 
「わしは運がいいのぉ!次の闘神士がこんなに別嬪さんとはなぁ!さぁ、闘神士よ。わしと誓いの杯をかわそうではないか」
『残念ですが様は未成……』
「ああ、ミソヒト。是非とも交わそう」
バンナイがニシタニの式神であった――赤銅のミソヒトには酒を飲めないことを告げようとしたが
その前にはミソヒトの言葉に返事を出した。しかもおもいっきりYESだ。
様!あなたはまだ未成年でしょう!!』
「だが、交わさなければ契約してもらえんだろう。これはもう飲むしかないだろう」
キッパリと言い放つではあるが、完全にその目は欲望が渦巻いていた。どうやらこの娘、酒が飲みたいらしい。
『ですが!あなたの体に害を与える可能性もあるのですよ!?』
「それはない!酒は薬にもなるんだからな。それに赤銅一族の酒は体にいいだけではなく、上手いと名高……あ」
 
殿)!!
なにを考えてるんですかッ!!!
 
がハッとして口を閉じたときには時既に遅し、バンナイとツクモの怒った顔がに迫ってきていた。
そして二人の説教が始まった。
『……わしが杯を交わせと言ったせいか…?あれは…』
『完全にそうでしょうな。しかし、あの歳で酒の良さを理解するとは…我が闘神士ながら…』
『それって喜ぶところじゃないと思うよ』
 
「まったく、騒がしいわね」
 
「!?」
正座をしてバンナイとツクモの説教を受けていたの後ろで不意に女の声が響いた。
はハッとして振り向いた。流石のバンナイとツクモも説教を止め、ドライブに戻って行った。
「今のあなたじゃ、マホロバが復活したら…止めることなんてできないわ。あなたの気力じゃ…ね」
無表情で言い放つ少女――ヒロコ。そんな彼女には不機嫌そうに言い返す。
「…それはこの状況を聞いていればわかる。……で、お前はなんだ。学校のときといい、今といい…」
「……!?もしかして…あなた私の隣の!?」
「気付いてなかったのか…まぁ、いい。単刀直入に聞く。お前はなんだ、なんのために…俺達を嗅ぎまわっている」
の凄みが増す。その場に流れる空気がすべてによって支配されているかのような錯覚に襲われる。
「俺をなめるなよ。気力は幾分か低いかもしれんが、気力以外には規制などかけていないからな」
「私が誰かだなんで…どうでもいいこと。あなたが今考える問題はマホロバをどうするかってことよ……」
少女は闘神符を使いその場から消える。それと同時に張り詰めた空気が平穏な空気へと変わった。
『娘、お主は強いな。杯を交わさなくともその実力があればわしはお主に忠誠を誓える。自信をもて』
「ミソヒト……ああ、ありがとう。どーせだから後で酒を少し……」
殿、頭に細蟹…』
「わ、悪かったッ……!!」
 
赤銅のミソヒトと契約した!
種族 大火族 性別 以心伝心 節季 小暑 属性
相性 有利・繁茂族 不利・榎族 武器 陰陽鉄球 花形見 特殊能力 敵の「一撃死」術、無効
攻撃1 タックル 攻撃2 ぶちかまし ←A
必殺技 攻撃力ダウンの術 ↑←A 必殺技2 落雷の術 →↓←A
超必殺技 花形見 ↓←↓←A 超必殺技 月見一杯礫 ↑←↓↓→A
 
!!地流のビルに向って!あそこでなにかあるみたいなんだ」
「……地流のビル…本拠地に乗り込むということか?」
「うん…ここから北に向っていけば……」
『今の姉ちゃんの実力で乗りこんでも大丈夫なのか?』
「大丈夫なわけないだろう。怪しくて怪しくてどしようもないくらい怪しいよ。
でも、マホロバのこともある…一度乗りこんでみるのも手だろう」
「なら…!」
「ああ、少々探りをいれてくる。もしものことがあれば攻撃の一手も考えるがな」
そう言いは走り出した。