「た、食べ物を……」
「どこまで行ってもお前はそうゆうキャラクターなんだな…腹を空かせすぎなんだよお前は…」
はぁ…と溜息をつきは持っていた。
いや、買って来た食料を行き倒れ闘神士――ではなく、天流闘神士テルに渡した。
テルは素早くそれを受け取りガツガツと息をする暇があるのか尋ねたいぐらいの勢いで弁当をかきこんだ。
「はぁ〜!ご馳走様でした!いやぁさん!助かりました」
「……そろそろやってくれそうな予感がしたんだよ。ものの見事に大当たりのようだがな…で、テル。
お前はこんなところでなにをしていたんだ?」
「はい、最近地流に怪しい動きがあると聞いたので、こちらにやってきました。さんもそれですか?」
「ああ、そういうことだ」
「………なら、わたしは別のルートへ進むべきですね。
さんなら大丈夫でしょうし、固まって行動するのは得策とは言えませんしね」
そう言いテルは自分が平らげた弁当のゴミを持ち上げた。それに則されるようにも立ちあがった。
『テル、ちょいとお嬢と話していいでごわすか?』
「え?ああ、どうぞイソロク」
『久しぶりでごわすなお嬢。あと、コゲンタはんと……ミソヒト殿』
『おおイソロク、久しゅうのぉ!なんじゃ嬢と知り合いだったか!
それにしてもわしはついとるのぉ!同族にあえるは、よい闘神士に恵まれるわ!』
『なんと!お嬢、ミソヒトと契約したでごわすか!?』
豪快に笑うミソヒト。そして驚きの表情でに迫るイソロク。流石のも圧迫されて表情が引きずっている。
「あ、ああ…さっき契約したばかりだがな」
『羨ましいだろうイソロク。わし等赤銅族はそうそうの事がない限り女の闘神士とは契約できんからの』
「??そうなのか?」
『うむ。第一に握力が25.0以上あり…わし等をどつけるような奴でなければわし等は大体契約せん』
ミソヒトがはっきり言う。
は納得していいのか言い返すべきなのか少々悩んだが、
言い返したところで契約したと言うことは事実なのでなんだか虚しくなってやめた。
『…お嬢。おいとも契約して欲しいでごわす!!』
「うおッ!?」
霊体ではあるが突然巨体が迫ってきたことによりは驚きついでに一歩引いた。
それを見てイソロクはショックを受けたように縮こまった。
『やっぱりおいとは…おいとは契約したくないでごわすな!』
「オ、オイ!?待ってイソロク勘違いするな!俺は別に嫌なんて一言も…!?」
『ならおいと契約してくれるでごわすな!!』
表情を暗くしたかと思えばパァッと表情を明るくするイソロク。
は苦笑いを浮かべつつ良く表情の変わる式神だとか思いつつ『ああ』と契約を承諾した。
赤銅のイソロクと契約した!
種族 |
赤銅 |
性別 |
男 |
司 |
以心伝心 |
節季 |
小暑 |
属性 |
金 |
相性 |
有利・甘露 |
不利・朱雀 |
武器 |
陰陽鉄球 朝洞塊 |
特殊能力 |
敵の「一撃死」術、無効 |
攻撃1 |
タックル |
A |
攻撃2 |
地震 |
←A |
必殺技 |
攻撃力ダウンの術 |
↑←A |
必殺技2 |
隕石の術 |
→↓←A |
超必殺技 |
朝洞塊 |
↑↑→↑A |
超絶必殺技 |
金剛力弾球 |
↑→↓→↑A |
『……お前、結構イソロクに弱いよな。あっちでもこっちでも』
「……いや、人事ではない気がして……多分俺の知り合いに似てるからついつい…」
は眉間に皺を寄せてコゲンタの問いに答えた。相当その知り合いには思い入れでもあるのか深い溜息をついた。
「イソロクと契約されたようですね」
「ああ、なんかもう。誰とでも契約してやるよ的なノリだったがな」
「そうですか、でもイソロクは頼もしい式神ですから仲良くしてやってください」
「そのつもりだ。……イソロクとミソヒトを一緒に出したら…豪いことになりそうだな…」
そのとき、は心の奥底で『絶対に同時には出さない』と誓っていた。
目の前に聳え立つ巨大なビル。それが地流のビルだ。達は全員が全員、顔を上げられるだけあげて眺めた。
端から見ると変な団体様である。
はビルの扉に気配を殺して近づく。扉には鍵がかかっており、正面からの進入は無理そうだ。
「…あまり闘いたくないんだがな」
『なんだぁ?突然』
コゲンタは不思議そうにに言った。
今まで一度も闘いを拒まなかったが思いにもよらない『闘いたくない』という言葉はかなり不自然だった。
「いや、あの二人が……」
そう言ってその二人に気付かれないようには指を指した。
『…ミソヒト達ね……確かにあの二人の戦いって、自己主張激しいから…』
『敵、直に呼びそうだね』
「いや、呼ぶだろう……」
苦笑いを浮かべてはコマキとコロクに言った。そう言われ二人は『そうだね』と小さな声で答えて黙った。
『姐さん、こっちから入れそうですぜ』
『地下……か…このビルの意味を全く無視した展開ですな』
『その通りですね』
ゴローザに促されて達は地下へと続くであろう階段を見つけた。そして思い思いの感想を述べた。
「さて……下手に地流の奴等に見つかっては面倒だ、行こう」
そう言っては警戒しつつ下へと降りて行った。
岩だらけの床と壁、一瞬どこまで来たのかわからなくなる。だが、優秀な式神達のおかげで迷う事はない。
「お主…死相が出ておるぞ…」
「……何を言ってくれるエセ占師。プロである術者に対してそんな当てずっぽうな脅しきかんぞ」
薄気味悪い格好をした男――オオツク。
彼がに対して占いの結果を告げるが、はそれを鼻で笑い飛ばした。
の言う通り、自身が実力のある術者――占師なのだ。
そんな脅しが通用するはずがなかった。
「ならば力ずくでしとめるまでのこと…!」
『嬢、わしの力みせたるわ。降神せい!』
「ああ、たの……」
『待つでごわす。お嬢、おいを降神して欲しいでごわす』
「え?」
『イソロク、わいの方が先に言うたんや、わしが行くのが道理というもんじゃろ』
『しかし、ミソヒト殿は先ほどから戦いが続き、体力も落ちているでごわす』
『このくらい傷、掠り傷程度じゃ!』
闘神士を放って口喧嘩を始める赤銅コンビ。
はどうもこの二人に口答えできないようでオロオロはしていないがどうしていいかわからず、混乱している。
だが、そんなバタバタと騒がしいこのメンバーを纏めるのが彼の仕事だ。
『ミソヒト殿もイソロク殿も今の状況を考えなさい!!
今は戦闘中!言い争いなどしている場合ではないでしょうが!
ミソヒト殿!傷があるのなら無理して戦わないでください!あなたが倒れて悲しむのは殿なんですからね!!』
ツクモの怒鳴り声が響きミソヒトもイソロクも固まった。は逆にツクモの声で我にかえってイソロクに声をかけた。
「イソロク、お前の力を借りる!ミソヒト、一旦お前は下がっていてくれ!」
『「御意!!」』
水をえた魚のように生き生きしているを見てツクモは『うんうん』と納得したように首を振った。
「戦場で倒れるのはそれがしも本望…しかし、お主のような強い闘神士を前にして散るのは何たる無念か…!」
イソロクによって倒されたオオツクの式神だった――青錫のジュウゾウはの前にひざまづいて言った。
「なら、俺のもとでもう一花咲かせてみるか?」
『いえ、戦場で倒れるのが本望ならばそのまま死なせてやるのがお情けでしょう』
「ツ、ツクモ殿!!やめて!今お主の攻撃受けてしまっては本当に死ぬ!!」
どこか黒い影を背負ってツクモはボーガンをジュウゾウに向けた。
ジュウゾウは慌てて声をあげるが、ツクモはあまり聞いてやるつもりがないらしい。
『殿、ジュウゾウの男をたててやってください』
「ツークーモー殿――ッ!!」
「ツクモ、今にもジュウゾウ泣き出しそうだからやめてやれ……
それに本望なのかもしれんが、嫌がってる様にも俺には見えるぞ」
叫ぶジュウゾウ。そんなジュウゾウを見かねては助け舟を出した。
『…それは見間違いでしょう殿、ずっと闘い続きでしたからね…』
「……ツクモ、お前といえどこれ以上は俺は許さんぞ。
ジュウゾウになにかあるのかもしれないが、お前の一任で決めていいことではないだろう」
「闘神士殿ッ…!」
『殿がそう言われるのならば仕方ありません…
しかし、ジュウゾウ、もし殿になにかしたら…そのときは本当にあなたの脳天、この細蟹で貫きますからな』
「心得たでござる!闘神士殿、それがしはあなた様の手足となって働くでござる!!」
青錫のジュウゾウと契約した!
種族 |
青錫 |
性別 |
男 |
司 |
適応力 |
節季 |
清明 |
属性 |
金 |
相性 |
有利・消雪 |
不利・青龍 |
武器 |
陰陽ボーガン黄昏 |
特殊能力 |
敵の石化の術、無効 |
攻撃1 |
タックル |
A |
攻撃2 |
チョップ |
←A |
必殺技 |
加護力ダウンの術 |
↑←A |
必殺技2 |
落雷の術 |
→↓←A |
超必殺技 |
黄昏 |
←←↑→A |
超絶必殺技 |
十方暮鋼崩 |
↓↓→↑↑A |
『よろしく頼むでござるよ、我が主君よ!』
「ああ、任せておけ」
『ジュウゾウ、あなたはこれからわたしの監視下に付くことをお忘れなく…下手な行動おこしたら………』
そう言って笑うツクモに全員が恐怖心を覚えたという。