縁側に座り、朝刊を読むのがモンジュの日課である。
世の中の動きを知っておくのは大人として当然の事であるし、
世の中の動きが分からないようでは、二児の父親失格だとモンジュは思うからであった。
「お父さん、おはよう!あたしも新聞読む!」
「毎朝えらいな。今日もお父さんと一緒に新聞読もうな」
パタパタと足音を立てて現れたのはモンジュの愛娘
ここ最近、モンジュはと新聞を読む事が日課になっていた。先程、モンジュにとって新聞を読むことは日課といったが、
が一緒に新聞を読むまでは毎日ではなく自分にとって興味のある記事が載っている時しか読んではいなかった。
要するに、世の中の動きよりもなによりも、娘とのコミニュケーションをとりたかっただけだったりするのだ。
「あのね、お父さん。昨日学校で先生に褒められたんだよ!」
「ほぉ〜…どうしてだ?」
「あのね!あのね!
昨日お父さんに教えてもらった『やんばるの森』のこと先生に話したら『よく知ってるね』って褒められたの!」
とても嬉しそうにモンジュに褒められた事を報告する
そんなを見ているモンジュの方が嬉しそう且し合わせそうに見えるのは恐らく目の錯覚ではないだろう。
の頭を撫でながら『よかったな、これからも毎日お父さんと新聞読もうな〜』と
ものの見事に表情を緩ませてに言い、も『うん!』と可愛い笑顔を見せてモンジュに答えを返す。
モンジュは心のそこからのことを『世界で一番可愛い』と思った。
どこまでも親馬鹿なモンジュである。
「お父さんの背中って暖かいよね。
あたし、お父さんの背中大好きなんだ。新聞読むときお父さんの背中に乗れるから、新聞好きになったの」
不意に照れくさそうに言う
モンジュは突然の娘の告白に少々驚いたようだったが、そんな驚きもすぐさま姿を消し、
間髪いれずに現れたのは喜びに満ちた表情だった。
「お父さんの背中好きか?」
「うん!大好き!広くて大きいお父さんの背中大好きだよ!」
「お父さんはの全部が好きだぞ〜」
背中におぶられる格好でいるに問いかけ、
答えが帰ってくるとモンジュはを自分と向き合うようにもってきて幸せそうに抱きしめた。本当に幸せそうだ。
「父さん、。いつまで新聞読んでるんだ!朝ご飯が冷めるぞ!」
いつまでたっても食堂にこないモンジュとを心配してかヤクモが姿を見せた。
はヤクモの言葉を聞いて表情を更に明るくしてモンジュの手を引いた。
「はーい!お父さん、朝ご飯できたって!行こ!」
「ああ、今日の朝ご飯はなんだろうな?」
「ん〜イヅナお姉ちゃんの焼いたお魚がいいなぁ〜」
今日も今日とて太白神社は平和の中の平和だ。