「俺って信用ないなぁ…」
「信用されるような事は一切していないからな。当たり前だろうが」
苦笑いして言うマサオミには真顔でキッパリ言い放った。その言葉に遠慮などはなく、思ったことがそのまま口に出た状況だ。
「ちゃんって本当に容赦ないな」
「得体の知れない奴に容赦する気は全くない」
〜〜
マサオミの前にいるのは天流宗家、太刀花リクの管理するアパートの住人であり、リクの側近だと言う女闘神士。
マサオミにとって邪魔で仕方ない存在であり、愛しくも思う存在だ。
神流の任務である天流宗家の監視という役目上でリクに近寄ったところ、マサオミはに出会った。
まぁ、初めは男として会ったにしても今では一切男として認識していたことを忘れている。
「ちゃんの流派は天流…なんだろ?」
「……何故お前がそんな事を気にする?俺がどこの流派であろうと関係なかろう?」
「一応、警戒心ってヤツ?」
何も自分達の事を話そうとしない。そのため、流派ですらいまいちはっきりした情報はない。
神流の情報網を使ってもの情報はどうにも引き出す事はできなかった。
ほどの実力があれば、直にでも情報は掴めるはずだと言うのに…。
「お前に答えてやる義務も義理もない。……別に俺は俺でいいだろう?」
ニヤリと笑って言う。マサオミは思う。『これではどちらが騙しているのかわからない』と。
確かに今の状況を見ては、マサオミが達を騙していると言うよりは
がマサオミを騙していると言った方が的確なように感じられる。
マサオミはそんな挑発的な目を自分に向けるの目を見てニヤリと笑い返す。
「…まぁ、お相子とゆうやつのようだな」
「失礼だな〜、俺は天流の闘神士、大神マサオミってきちんと名乗ってるけど?」
「白々しいな…だが、ここはそうゆう事にしておいてやる…感謝しておけ」
そう言いはマサオミの前から姿を消す。のいなくなった場所をぼんやりと眺めマサオミは楽しそうに笑った。
すると不意に気配が増えた。その気配はマサオミがよく知る気配だ。
「随分とたのしそうじゃない?ガッちゃんったら…あの子にお熱さん?」
クスクスと女は笑う。マサオミは女の方を見て『まぁ、そんな感じかな』と答えた。
女はまさか本当に肯定するとは思っていなかったらしく驚きの表情を見せた。
だが、それは一瞬にして消え、茶化すような笑みにかわった。
「ふぅ〜ん…ガッちゃんの好みってあーゆー娘なんだぁ〜。お姉さんビックリ。
でも…、お姉さんはあんまりあの子はお勧めじゃないわ」
「…?どうしてだい?」
「女の勘よ。あの子にはイロイロ危険な香りがするのよねぇ〜……止めておいたらどう?」
心配。それはしていないようだが、女はマサオミに言葉を向ける。
だがマサオミは頭を横に振り、女の意見に賛成しなかった。
「危険が伴う事は承知の上さ。
リエキ
…俺はその危険以上の幸福があの子にはあると思うんだ…それに、上手くいけば…仲間に引きこめるかもしれない」
「…ガッちゃんがそこまで言うなら私はなにも言わない事にするわ。でも…ショウカク達がなんて言うかしらねぇ〜」
マサオミは女の言葉を聞いて苦笑いを浮かべた。だが、マサオミは仲間を納得させる自信があった。
だが、それを説明する事はできない。それはただの理由のない確信からなる自信だからだ。
「でも、いざとなったら全員、黙らせてあげるわよ?私はいつでもガッちゃんの味方だもの」
「…姉さんには、助けてもらってばかりだ」
「いいのよ…。ガシン、あなたのお姉さんでいられるのも今だけなんだから…
今私にできる事は…できる限りのことをあなたにやってあげたいの…」
「…?俺達はずっと姉弟だろ?」
「ふふ、でもあの子と一緒になったらお姉さんはお邪魔虫になるでしょ?……そうゆーことよ」
不思議そうに尋ねるマサオミに女は優しく微笑んで答える。
マサオミは納得していないようだったが、女はニコリと笑って言葉を続けた。
「でも、ガッちゃんが彼女を作るんだったら私も彼氏作っちゃおうかな〜?」
気の抜けた事を言う女にマサオミは苦笑いを浮かべた。