「マッサオミ君―!?うちの子に何するのかな―!?!?」
ぶっちゃけ、これほどまでにこのマサオミを威嚇するのが楽しいとは…!片手にドライブ。もう一方には――
!!そ、そ、そ、その金属バットをお、降ろして!!」
「よーしッ!マサオミ君の脳天に降ろしてやろ〜ぅ!」
くせになるなぁ〜…このおーぼーキャラは…。
 
 
 
〜〜
 
 
 
正午を過ぎたお昼時。中華鍋片手にあたしは振り向いた。ちと、米が飛んだがこの際気にしない。
『ヤツが来る』とあたしの勘が教えてくれる。というか、My式神のミッくんのおかげなんですけれども。
ヤツはうちの可愛いリクやらソーマやら、挙句の果てにはまでも手篭めにしようとやってくる。
それを阻止しヤツの息の根を止めるのがあたしの仕事。
大抵、犯罪一歩手前で『犯罪起しちゃダメだ!』と可愛い子達に説得されて毎度毎度未遂に終っている。
勿体無い。
この陰陽の世界にきてまぁ大体二週間。この世界の生活にもなれ、ご近所付合いもそれなりにこなしている。
しかし、人間肌の合わない人間とか、気に入らない人間とか、色々と邪魔してくる人間とかがやはりどこにいっても存在する。
それの代表格が今この家に近づいて来る『ヤツ』!迎撃体制はいつでも準備万端。
いつでもこいやー!をモットーに身構えておりますが、流石に料理中にこられるのは困ったもんだ。
「今日はちょっと豪勢にスペシャル牛丼買ってきたぜ〜」
「あはは!帰れ丼の人!」
熱されたお玉で丼の人――マサオミをさし笑顔で言ってやる。
マサオミは来ていきなり『帰れ』の一言だったためにどう対応していいのか分からなかったようで固まっている。
まったく、邪魔なヤツだな。オイ。
「オイオイ、態々昼飯を買って来た人間対する言葉じゃないだろそれ?」
「そうかい?なら……。
申し訳ございませんが、あなたという存在はこの太刀花荘において至上この上なく邪魔な存在なのでお帰りください」
「……笑えない冗談は俺、結構嫌いだよ?
「何を仰いますやら…笑えないのはオメーの行動だろがこの野郎だわ」
物凄いドス黒いオーラを出しながら笑いあうあたしとマサオミ。
ん〜あたしもこんな黒いオーラを出せたのか…。凄いな俺!(ツッコミ所違う)
「いつまでやっているつもりだ。、人の好意だ、受け取っておけ」
「うぇ!君!?」
「はっはっは!ちゃんの言う通りだよ!」
思いにもよらぬ人の一言。しかも内容までも思いにもよらぬ…と言うか予想もしないマサオミをフォローするような一言。
嬢からグーで殴られるよりもなんとなく痛かった…。心が物凄く。
             牛丼
「勿論。受け取るのは好意だけだがな」
君!」
ちゃんッ!?」
やっぱりうちの子。かわいい事言ってくれるよ!!
 
 
 
で、結局はマサオミを家にいれ(不本意)みんなで仲良く(上っ面)楽しく(一部、誤)牛丼をいただいています。
「よくもまぁ飽きずに牛丼ばっかり食べられるね」
「それに一緒になって食べてる方も凄いけどな」
「黙っとけこのすっとこどっこいが」
真っ正面に陣取るマサオミに嫌味の一つも言ってやれば綺麗に返された。こればかりは言い返せない。
確かに、マサオミが牛丼を持ってくるたびに、
その場の流れで一緒になって牛丼を食べているあたし達とてあまりマサオミと変わらん食生活だろう。
でも、朝食とかは態々サラダとかつけて野菜取るように心がけてますよ!?あと、リュージうっさいし!
ならこの牛丼をチャーハンにしてやる―――ッ!!野菜食え少年少女――ッ!!!
な!そんな勿体無いことするな!このスペシャル牛丼は滅多に食べれないんだぞ!!
ならばなおさらチャーハンにィ――!!!
やきがまわったわ。ってゆーか、チャーハンの神が降り立ったよ。
あたしは今日の昼、どうしてもチャーハンを食べないといけないらしい。
この時本気であたしは牛丼をチャーハンにするべく台所に向かっていたというからおかしい。本人行くつもりないのに。
止めるんだ――ッ!!
我を止められるものオラーンッダ!!
「静まれッ」
「ぐふぉ!?」
スコーンッグサッ!
っと音を立ててあたしの頭に嬢の使っていた箸が突き刺さった。(刺さってない。実際当たっただけ)
物凄く冷静なお顔でショートコントを繰り広げた17歳児コンビ(マサオミとあたし)を一瞥し、
呆れかえっていながらもあたし達に言葉を向けた。
「一応、この家での最年長者がやることか」
ぅお〜…。刺さった。心に深く、えぐりこむように刺さったぜ。
マサオミも一応それなりに嬢の一言が胸に刺さったのか床に膝と手をついた。
ここに中学生(ガッコ行ってない)に打ちのめされる高校生(同じくガッコ行ってない)の図が完成した。
現実世界では絶対に見られない滑稽な光景だよな。…つか、いまどき中卒で雇ってくれる会社はあるんだろうか…。
あ、その前にあたしの場合は住民票がないや!
「まったく、ここにはまともな年上はいないのか…」
確り者です。うちの子――は物凄い確り者です。
人に箸を刺したわけですからの手元に箸はないはずなのに…確り替えの箸で牛丼を食されておりました。
お前を前にしてはそこいらの大人でさえ頼りなく見えるよ。本気で。
「ふっ…ようするにと俺はちゃんにとっては同レベルなわけだ」
「!!」

 

 

 

――――――ッ!!!(物凄いショック)

 

 

 

「わーんッ!私は君のことこんなに愛してるのに――!!」
「愛してくれなくていいからまともになれ」