目障りだ。いつもならなんとも思わない連中でさえかなり目障りだ。
……当然、いつも目障りに思ってる奴とか言うのは論外だ。
引っ付くな、くっ付くな、和むな、懐くな、甘えるな……抱き付くなッ!!
……でも、アイツはそんなことにも笑顔を浮かべて…。
俺の好きな笑顔を…無意味にそれを止めるのは気がひけた。葛藤とイライラがただ胸にたまるだけ。
〜〜
『えぇ〜俺、行きたくないし』
『行きたい、行きたくないの問題じゃないでしょぉ?
闘神士にくっ付いて歩くのが式神なのよ。ほら、さっさと行くわよ』
ライヒがむずんとフサノシンの首根っこを掴みソーマのドライブへとフサノシンを突っ込んだ。
ライヒは残ったコゲンタとに『お留守番よろしくね〜』と言ってユエのドライブに入りこんだ。
それをは笑顔で見送り、コゲンタは少々無愛想に『おう』とだけ返事を返した。
静かに空気が流れている。闘神士達は何やら茶をすすっている様だった。
『様もユエ様も、地流にいるころに比べると…笑顔をお見せになるようになりました…』
『……あれでか…?』
嬉しそうに自分の闘神士――を眺めながらは口を開いた。
コゲンタは嬉しそうなを見る反面、も横目で眺めた。いつも仏頂面の。
だが今はリクと会話をしつつ薄くではあるが笑みを浮かべている。
『地流にいたときは…一切主は笑いませんでした。
笑ったとしてもそれは笑みではなく……失笑ばかりでしたから…』
口元は笑っているが、確実にの精神は泣いているだろう。子供が失笑しかしないというのは…。
『重症だったんだな…』
『はい…重症も重症でした…でも、ここに来て…
はじめて笑ったのはコゲンタ様を見たときでした…嬉しそうな顔をして…
『主君となる闘神士と式神は間違っていなかったようだな』とおっしゃって…そのときは本当に嬉しかった…』
は心底嬉しそうに微笑んだ。そして、コゲンタを見た。
『それ故、私はリク様とコゲンタ様に忠誠を誓っていこうと思っています…
他の方がいる場では言いにくかったのですが…様ともども…今後ともよろしくお願いいたします…』
そう言っては頭を下げた。丁重なその対応。闘神士とは真逆だとコゲンタは思った。
は嫌いだ。だが、そんなの真逆の性格であるをコゲンタは好いていた。
『あたりめぇだろ…は兎も角、お前のことは俺が面倒見てやるよ』
『本当にコゲンタ様は様がお嫌いなんですね…』
苦笑いしては言った。はコゲンタがの事を嫌っていることを知っている。
だが、どちらも自分よりも偉い存在の為にそれを改めるようには言えない立場だった。
『だが…お前が俺との約束を守ってくれれば…まぁ、の奴のことは多めに見てやるよ』
『どういうことですか…?』
不思議そうに首をかしげるを見てコゲンタはにやりと笑う。そして徐にに近づきその唇を奪った。
『!?コ、コ、コ、コゲンタ様!?』
『お前が、俺以外の野郎のことを見ないんならな』
そう言ってコゲンタはドライブに戻って行った。