「ねーねー、ー」
「んー?」

 

 名を呼ばれ、洗濯物を干す手を止めて振り返る。
振り向いた先にいるのは、瀬戸物の酒瓶を抱えた花魁衣装の綺麗な――刀剣男士・次郎太刀。
刀剣男士というだけに、彼は男――で、なおかつ大柄なのだが、
生来持つ美しさから女物の着物を着ていても違和感はなく、それどころか独特の色っぽさをかもし出している。
それに加えて口調なども気風のいい姐さん口調で、その度量の大きさも相まって、刀剣なかまたちからは一目置かれる存在だ。
…まぁ、初対面では面食らうヤツが多いのだけれど……。
 そんな次郎姐さん――が、私を見る表情は酷くつまらなそう。
まぁ、洗濯物を干しているだけの私の様子を見守っているのは、
それはつまらなくて当然――ではあるけれど、それは初めからわかっていることのはず。
だというのに、私につまらなそうな表情を向ける次郎姐さんの理由がわからなかった。

 

「……暇ならわざわざ付き合わなくても……」
「あーあー、違う違う。そーゆーことじゃないの」
「…というと?」

 

 次郎姐さんのつまらなそうにしている理由を促せば――…なぜかよりつまらなそう、な上に呆れたような表情を見せる姐さん。
彼の反応の理由がわからず、おもわず苦笑して首を傾げれば、次郎姐さんは不満げにため息漏らし、少し口を尖らせて口を開いた。

 

「もーだいぶ、身だしなみに気をつけなさいってのよ」
「………」

 

 姐さんにそう言われ、自然と視線が向くのは自分の服装。
ジーパンに長袖のYシャツ。その上に黒のベストを羽織って、髪はバレッタでまとめてアップスタイルにしている。
…自分的にはあまりラフすぎない格好にまとめているつもりなんだが……。
…やっぱりスーツじゃないとダメなんだろうか……。

 

「…
「はい」
「アンタ、勘違いしてるでしょ?」
「……ん?」
「アタシが言ってるのは女子としての身だしなみ、よ?」
「…んん?」

 

 ニヨと笑って言う次郎姐さんの言葉の意図がわらなくて眉間にシワがよる。
女子としての身だしなみ…とはなんだろうか。あれか?化粧のことか??うむ…確かに化粧は一切していない。
 必要が感じられない――と、自分では思っているが、必要なんだろうか……。
少しばかり幼顔だから下手に化粧をすると、子供がはしゃいでいるように見える気がするんだが……。
…それに、早いうちからのケアは好ましいが、化粧は非推奨だと聞いたことがあるし……。

 

「……まだ、早いんじゃないか?」
「…早い??」
「ああ。その、化粧は肌に負担を――」
「違う違う違う。アタシが言ってんのは服のこと」
「………服?」
「そーそー。ってば女の子だってのにこんな男っぽい服着ちゃってさー。
正直アタシ、初めてアンタのこと見た時、綺麗めの男の子だと思ったのよ?」
「ああ……それは望んだところというかなんというか……」
「ん?」
「…いや、女だとわかると依頼人やらになめられることが多くて……」

 

 ただでさえ、幼顔で子供に見えるというのに、それに加えて女――少女であると思われると、
依頼人やら住民の信用を得られなくて任務に支障が出ることが多々あって。
それ以来、女子の要素を可能な限り削いできのは事実。
それに、女子の服装は少しばかり隙が多い上に、動きにくいことが多いので、避けていたこともまた事実だ。
 任務をこなす上で支障がある――と、服装が男っぽい理由を説明すると、
次郎姐さんは「ふーん」と興味なさげに相槌を打ち――また不意にニヨと笑みを漏らすと、
楽しそうにクルリと藍色がかった黒髪を指に巻きつけた。

 

「アンタの事情はわかった。――でも、今は女だからって舐めてかかるヤツはいないだろう?」
「……いや、大倶利伽羅と愛染と同田貫には…」
「でも、最終的には認めさせたんだろう?――力尽くで」
「………」

 

 次郎姐さんの力尽くという言葉に思わず渋いものが浮かぶ。
力尽くで、試合で打ち負かして認めさせた――それはまぁ事実ではあるのだけれど、力尽くというのはだいぶ聞こえが悪い。
それではまるで私が力に物を言わせて彼らの意思を捻じ曲げたかのよう――ちゃんと彼らの意識を確認して、
正々堂々とルールに則った試合の上で互いの力をぶつけ合って、認めてもらったのに。
…まぁ、そこらへんは次郎姐さんもわかっているところなので、私の勝手な被害妄想ではあるのだけれど…。
 奪われてしまった言い逃れの余地。
…ある意味言い逃れ、拒否するようなことではないといえばないのだけれど、
慣れないことに挑戦する時、人は誰しも少しの躊躇を覚えるもの――それがまさに今なわけで。
…どうしてこんなことに………いや、次郎姐さんはなんで話に思い至ったんだろうか。

 

「次郎姐さん」
「なぁに?」
「何でこんな話に?」

 

 苦笑いを浮かべ、最後の言い逃れの余地を求めて次郎姐さんに話題を振ってみれば、
それに返ってきたのはまたこの上なく楽しげな次郎姐さんの笑顔。
 ああこれはいい返答じゃあないな――と、内心ではほぼ確信しながらも、
一縷の望みをかけて次郎姐さんの答えを待っていれば――

 

「ひーまーつーぶーしっ」

 

 次郎姐さんの笑顔の一言が、私の抵抗心をバキリとへし折った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

器用な主ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い立ったが吉日――なんていうが、今回ばかりは吉日なんてものが来なければいいと思った。
…いや、そこまで思いつめているわけでもないのだけれど、やはりなれないことというか、
なにか面倒なことになりそうな気配が漂っているので、できれば遠慮したいのだけれど……。
 今、自室にある服は現状着ている寝巻き用の浴衣と――次郎姐さん発注の服。
いつも着ている服、そして代えの服は全て次郎姐さんの一興に乗った薩摩の手によって没収されている。
…薩摩、一応私ってお前の育ての親で主人だよな?…なのにどうして……!
…いや、戦闘中に裏切られること考えたらこれぐらい屁でもない――んだけれども…。
 着慣れない服――ではあるけれど、着ることはできる。
でも、着終わった自分の姿を水鏡で確認する――と、どうしても眉間にシワがよる。
自分の中にイメージがないのだ――女性的な服を着ている自分の。
正直、左腕を失う以前からそういう服装をした記憶もないし……。
…一応これでも、服装には一定のポリシーがあるだけに――その真逆をいくこの服は、個人的には……。

 

「…まぁ……見れないほどではないが………」
「なーにー?終わったのー?」
「…ああ、終わったよ」

 

 そう――私が答えれば、すぐに部屋と廊下を繋ぐふすまがスパンと開く。
そして姿を見せたのは、期待に目を光らせた次郎姐さん。
パチンと指を鳴らして出現させていた水鏡を消失させて、
次郎姐さんのいる方へと振り返れば――ぎゅむと姐さんに抱きつかれた。

 

「やーん!可愛いじゃないのさ〜!」
「か…可愛い……ですか…」
「なーに?アタシの評価に不満でもあるっての?」
「いや……この世で最も縁遠い言葉だと思って……」

 

 昔は言われた。さすがに、昔くらいは言われた。可愛いと。
でも近年は「可愛くない」「カッコいい」とは言われても、「可愛い」なんて言われたことはない。
まぁ、言われる格好でもなかったし、性格なんてもっとそうではないし――そも、そういった評価を必要としていなかったし。
本当に、私にとってこの世で最も縁遠い形容だと思うのだけれど――次郎姉さんの目にはそう、映るらしい。
…くっ、この幼顔かおか!顔が原因なのか…!

 

「ふふ〜、アンタには縁遠い言葉かもしれないけど――アンタは元々可愛いのよ?」
「……顔?」
「ああ、顔――も、ある」
「も?」
「そうさ、確かにアンタの顔は可愛いよ?でも、それも心が伴わなけりゃ――偽物さ」
「…………………それ、は…なんだろう……。
私の性格が…その……かわ、いいと、言うことですか……」

 

 容姿よか、思ってもいない性格まで「可愛い」と言われた気がして、
思い切って次郎姐さんに尋ねて見れば、次郎姐さんはニコリと微笑む。
要するにそれは肯定であるわけで――意図せず火照りだす頬に、思わず視線は下を向いた。

 

「くふふ〜、かーわーいーい〜」

 

 ぎゅっと私を抱きしめて、ふりふりと体を左右に揺る次郎姐さん。
抵抗したい――わけではないけれど、抵抗はできない。
次郎姐さんの腕の力が強い――のもあるけれど、次郎姐さんの「可愛い」発言にどう返していいからわからないのがなによりの理由だ。
 可愛くない――と、反論したいところだけれど、
度量の大きな姐さんから見れば、褒められたのに羞恥で縮こまっている私なんて、子供――というか、可愛いものだろう。
…自分では、自分の性格を可愛いだなんて思っていなかったけれど――
――年上から見れば、まだまだ私なんて子供なかわいいんだろう。

 

「……はぁ…」
「なによー。そんなに可愛いって言われるのがイヤなわけー?」
「…いや、可愛いと言われてるうちは、頼りなく見られるんだろうなーと…」

 

 可愛い=子供のよう――であるなら、可愛いという評価は、頼りないという意味にも取れる。
特に精神的に可愛いというのなら、なおさらにそういう意味に取れる。
次郎姐さんの言葉が事実なら、私の「可愛さ」というのが内面からにじみ出ている――のであるなら、
私の精神は外見よか子供っぽく頼りないということだ。
…まぁ、未熟であるうんぬんについては自覚はあるが――

 

「――いいじゃないさ、それで」
「!」
「じゃないと、アタシたちがいる甲斐がないだろう?」

 

 未熟な主に仕えることは、人間だろうと刀剣だとうと不安を覚えること――だっていうのに、姐さんはそれでいいと言う。
そうでなければ、自分たちがいる甲斐がない――と。
…なんとも前提が間違っている気がするけれど、そう言った次郎姐さんの目に揺るぎはなく、
自分の言葉に間違いがあるとは微塵も思っている様子はなかった。

 

「それにね、アタシは主としてのアンタを頼りなく思ってるわけじゃない――支えてやりたいのは、人としてのアンタさ」
「……人としての…私?」
「そっ、審神者でも、退魔士でもない、っていう人間を、
アタシは可愛いと思ってんの――不器用な生き方しかできないアンタをね」

 

 パチンとウィンクして言う姐さんに――思わず気が抜けて苦笑いが漏れる。
主として頼りなく思われていなかった――それは嬉しいし、一安心だったけれど、
一個人としては可愛いと、不器用で頼りないと思われていることは、よかったとは言えない。
完璧な人間を目指しているわけではないけれど、それでも欠点は少ないことに越したことはなんだから――でも、

 

「アンタはね、ちょっとどころじゃなくだいーぶ、肩に力入れて生きすぎなのよっ。
もーだいぶ、肩の力抜いて、人生楽しみなさいっ」

 

 ニカッと笑って、人生を楽しめという次郎姐さん――に、私が返したのは苦笑い。
それを受けた姐さんは呆れ表情で「ホントにも〜」と言って私の両頬をつまんで引っ張る。
それでも答えを返さず苦笑いだけを浮かべていれば、姐さんは不満げな表情を見せながらも私の頬から手を離した。

 

「ホント、どーしようもなく不器っ用ね」
「えーと……ゴメン?」
「まァいいさ。この戦いが終わるまでに、アタシがアンタに人生の楽しさってのを教えてあげるっ」
「!」

 

 いたずらっ子のような笑みを浮かべて、姐さんは私の腕を取り――部屋を出る。
突然のこと、であったこともあるけれど、それにしても大太刀の力おそるべし――で、抵抗は一切許されない。
一応程度に足に力は込めているけれど、姐さんはそれをものともせずに私をずるずると引きずって前へ進んでいく。
わかっていた。わかっていたことではあるけれど――準備、準備はさせて欲しい。心の。
 …まぁ、それを主張したところで、姐さんは取り合ってくれないとは思う。だってあの愉しそうな笑みだ。
こっちが動揺して、混乱しているの楽しんでいる笑みだった。あれは。
そう、頭の片隅で他人事のように冷静に分析している――けれど、頭の大部分を占めているのは混乱で。
ろくな心の準備もできずに――

 

「おっまたせー!」

 

 ――何も知らない刀剣なかまの前に、巫女服姿で引き摺り出されました。
 驚いた顔、きょとんとした顔、怪訝そうな顔、呆れた顔――楽しそうな顔。色々な顔がこちら――私に向いている。
みんなの反応が当然なのはわかっている――んだけれども、それに対していつもの通りにサバサバとした反応はできない。
こちらも驚いている――というか混乱しているんだから。
…なのですみません、誰かこの状況をどうにか処理してください…!

 

「ブッ!!」
「ギャアー!!汚ねー!!」
「わ〜!、可っ愛い〜!」
「なになになに〜?主ってばどこにこんな服隠してたわけー?」
「ふっふーん。薩摩に頼んで調達してきてもらったのよんっ。かっわいーでしょー」
「はい!かわいいですっ。かわいいですよ!あるじさま!」
「……でも、どうして巫女さんの衣装なんですか?」
「そうですね。普通の着物でも主君は十分お似合いになると思いますが…」
「あーなに?もしかして審神者だから?」
「おっ、さすが清光ちゃんっ、話がわかるわね〜」
「……どういうことだよ?」
「だからさ、審神者って強いて言ったら神職者っぽいじゃん?だから――だろ?」
「そうそう〜。それにどーせなら意外性のある服の方が面白じゃないっ」
「はっはっは!確かに今までのにはない『いんぱくと』っちゅーのがあったのう!」
「……つーかよぉ、なんでそんなもん着ることになったんだぁ?」
「ん?ああ、暇だったもんだから」
「んな理由かよ!?」
「というより次郎太刀!主を暇つぶしの玩具にするな!」
「えーなにさー、歌仙ちゃんは可愛いと思わないわけぇ?」
「いや……似合っているとは思うが………。そ、それとこれと話が別だっ。明らかに嫌がっているだろうっ」

 

 わいわいと、盛り上がっている刀剣たち――の、視線が再度私に集ま――っている気がする。
歌仙の嫌がっている――という発言に対する是非を問うているんだろう。
 …確かに、嫌か嫌じゃないかの二択に絞れば、嫌に傾く――んだが、

 

「い……ずれ、…………慣れる――…よ……………」
「「説得力ねぇぞ」」

 

 和泉と同田貫から同時にツッコミが入る。
…確かに、今の私に説得力なんてものは微塵も存在しないだろう。
それでも――人間、慣れるんだ。いつかは。
 冷静に考えよう。これは仕事着なのだ。
サラリーマンのスーツ、工事業者のつなぎ、スポーツ選手のユニフォーム――それらと一緒なのだ。巫女にとっては。
正直なところ、巫女なんてかなり縁遠い職ではあるけれど、かなり大きくくくれば同じの畑であることは間違いない。
――であるなら、私が着ていても…………おかしいけど、何事経験だ!……だ、とは思うんだけれど…。

 

「……姐さん…」
「なあに?」
「あの……審神者としての任に支障をきたしそうなので着替えてもいいですか…」

 

 色々なものを振り絞って、次郎姐さんに今更な希望を投げる。
動きやすさは申し分ない――のだけれども、どうにも精神的な負荷が大きい。
できることなら徐々に慣れさせてほしい。
 服装一つでなに言ってんだ――まったくもってご尤もだが、
そこは未熟者のささやかなワガママと思って許容して欲しい。
でも、私に返ってきたのは――やっぱり愉しげな姐さんの笑顔だった。

 

「ふっふ〜ん、アンタ今日は――非番でしょ?」
「ほあっ?!」

 

 き、吉日だぁー!!
よりにもよって――いや、姐さんのことだからそこまで読んだ上での今日に違いない!
そうだ…!今日はおよそ一週間に一度しかない非番――休日だった…!。
 休日とはいえ、審神者としての庶務はあるが、それでも戦場に出向いて刀剣たちの指揮を取る――わけではない。
だから、多少荒事に向かない――いや、巫女服はこれで結構荒事にも対応できるんだが…。
まぁそれはこの際置いておいて、とにかく多少(精神的に)動きにくくともさして支障はないのだ。

 

「も〜、いい加減観念なさーい」
「………はい…」
「主っ。嫌なら嫌とっ」
「…いいんだ歌仙。……これも修行だから」

 

 ああ…みんなの心の声が聞こえる――「なんの?」と。
これはあれだ、精神修行だ。自分の望まざる状況に置かれた場合の。
 修行と思えばまぁなんてことはない。
本家での鬼のような修行に比べれば、たかだか服装が自分のイメージに沿っていないというだけでの話。
死ぬ目に合うわけでも、極限まで体力・気力を削られて瀕死に持ち込まれるわけでもない。
大丈夫だ。いつか慣れるし、開き直る時がくる――その時が今日は来ずとも、今日は根性で耐え切ればいい。
なに、これは今日に限ったことだ!
 胸に溜りに溜まった重苦しい空気を、盛大に吐き出す。
そうして一応の決心を決めていつもの席――中央の席に腰を下ろす。
そうすると、次郎姐さんも自分の席なのであろうぽかりと空いていた席へと戻っていく。
それを見てから歌仙にご飯を茶碗に盛るよう頼めば、歌仙は「はい」と返事をしてご飯を盛ってくれる――が、

 

「主、そうまでして次郎太刀に付き合わずとも……」
「…くどいよ歌仙。いいんだよ、これで――大体、服一着でここまでの醜態をさらすこと自体、問題だからな……」
「確かにそうですね」
「な、鯰尾っ」
「だってそうじゃないですか――こんなに似合ってるのに」
「…………………………」
「俺たちが似合ってるって言ってるんですから、素直に認めたらどうです?」
「そーそー、鯰尾の言うとおり――それともなに?俺の目がおかしいっての?」
「…清光の目はともかく、歌仙さんが似合ってるっていうなら間違いなんじゃないですか?」
「安定!?」
「確かに歌仙は美術に精通しちょるからなぁ。その歌仙のお墨付き貰ったんじゃき、胸張ってええじゃろ」
「ほら主、ダメ押しで――…主?」

 

 不味い――とはわかっている。
だがもうくるところまできてしまった。もう、引き返すことは難しい。
 …みんなは本音をぶつけてくれているとわかっている。
建前のフォローではなく、本当に私にこの格好が似合っている――と。
自分の中の自分のイメージに沿わずとも、誰かが良いと言ってくれるならそれは良いこと。
 ――でもだ、

 

「みんな……」
「はい?」
「なんでしょう?」
「……次、この話題に触れたら問答無用で戦線崩壊させる」
「「「……………」」」

 

 楽しい朝食の時間がカオスと化したが――今日ばかりは気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■あとがき
 なにを思ったか、ワケのわからん話でした。気持ち、セリフ多めでお届けしました。…どれが誰のセリフかわかりましたかね?
 次郎姐さんにとって、夢主は世話のやける妹、といったとことです。主としても認めていますが、人間的部分に関しては心配している感じ。
夢主、つらっとしている割に、精神はいい感じに狂っているので、姉さんの洞察眼の恐るべしです(笑)