魔法使い――もとい、魔法士を育成する ――で、そのゴーストたちを仕切るのが、オンボロ寮と呼ばれる うん……第三者的には良い話、だと思う――…んだけど……
「まずお前たちはメインストリートを通って9時までにエントランスホールへ行きなさい。 「…は、はい!」 「ぐぬぬ〜…どーしてオレ様がゴーストなんかにィ〜… 「…お前たちはクロウリーから預けられた 「ジェームズさん!人聞き!! 「…た、戦う巫女さん…?!」 「ちょっ、違います違います。それは漫画かラノベ――もしくはゲームのやりすぎですよユウさん。 「……」 「しょげないで」
図太いのか能天気なのか、同じ世界から――だけれど …一体彼女はなにを夢を見たのだろうか――
「……ではあの蹴りは?」 「ん?あぁあれは――個人的に、ですよ。 「自衛のレベルを優に飛び越えていたように思いますが」 「それはアレ――ジェームズさんの攻撃が重かった、ってことですよ。カウンターなんですから」 「………本当に、戦わない巫女さん、なんですか…?」 「…戦いませんよ――妖怪とは」 「ぇ」
含みを持たせて「妖怪とは」と言えば、それを聞いたユウさんはその目を僅かに好奇心で輝かせる――
「…――でも、護身術くらいは教えられるので…教えましょうか? 「にゃ…!にゃにを〜〜?!不良の1人や2人っ、オレ様の敵じゃないんだゾ!」 「ホントですかぁ〜?聞けばゴーストのみなさんを追い払ったのも、ユウさんのフォローあってのこと――だったていうじゃないですか」 「そっ、それは…!オンボロ寮が暗かったせいだゾ! 「ほーう?じゃあ、もしユウさんがケガして帰って来たら――グリムくんは『人間にも劣るザコモンスター』ってことですね?」 「にゃっ?!ちょっと待て!どーしてそんな話になるんだゾ?!」 「だってユウさんに危害が及ぶということは、彼女に迫った 「ふな゛〜〜〜!オレ様はネコでもチキンでもねェ〜〜!!」 「――じゃあ、ユウさんをちゃーんと守ってグリムくんが強いモンスター――いえ、大魔法士になる天才だって証明してくださいな」 「じょーとーだァ〜!子分の一人や二人っ、ちゃーんと面倒見てやるんだゾ!」 「………ぇ…こぶんっ?!」 |
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ユウさんとグリムくんを送り出して一服の後、
「ジェームズさん!いったい彼らにどういう指導をしているんですか!」 「……昨晩貴様から預けられたばかりで指導もなにもあるか」 「では!指導の行き届いていない職員を!監督役もつけずに野放しにしたということですね?!
キーキーと吠えるクロウリーさん――のクレームを受けるジェームズさんの表情はいたって冷静。
「……確かに、ロクな監督役もつけずに新人を自由にしたのはこちらの不手際だ。 「それは……」 「………わあ…あの子たちもう今朝のフラグ回収したんですか…。 「失礼なっ、我が校に不良生徒なんていません! 「…………」 「…そもそもここは『魔法』という武力を磨くための
ジェームズさんの解説に、頭痛がするほど納得する。 軍事学校であるのなら、絶対にこんな
「〇フィア養成学校?」 「………そんな恐ろしいあるんですか、あなたの世界には…」 「…ないですよ? 「…だからって 「…ですけど、グリムくんが『大魔法士、大魔法士』と言っていたので、
投げられる言葉に思ったままを返す――と、不意に仮面で秘匿されたクロウリーさんの顔に、僅かだけれど苦い けれどなんとなし、その色に違和感を覚えて「なんですか」とクロウリーさんに訳を問うと、
「はぁ……やはり 「!」 「物怖じしない――…どころか、冷静に値踏みしてくるその傲慢さ……いつかの彼を見ているようですよ…」 「……」 「ええ、既に連絡してありますよ――あなたの妹さんがやってきたようだ、と」 「っ…!それでっ……兄さんは――」 「……残念ながら『仕事中』だそうで、伝言だけは頼んでおきました」 「っ…そう…ですか……。…ありがとう…ございます……」
既にクロウリーさんが連絡を取ってくれた――のは有り難い。
「――さて、話がずれてしまいましたが、グリムくんとユウさんについてですが――」 「――の前に、そちらの 「む」 「…現場を見ていた 「……ええ、確かにうちの生徒にも非はありました。ですから、その生徒には既にちゃんと罰を与えてあります」 「――そのついでにうちの 「……喧嘩両成敗ですっ」 「…………まぁ…お互い様、であればこちらの 「…そうですね。私が駆け付けなければ今頃どうなっていたことか――」 「――とはいえ、自分側の非を一切開示せず、一方的にクレームをつけてきたわけですから――借り5割減、ですね」 「………」 「罰の内容が『大食堂の窓100枚の清掃』なら後始末は我々で請け負おう――…これでお相子、だ。文句はあるまい?」
いつの間にやら手にした
「…では、私はこれで失礼しますよ―― 「……はい、ありがとうございます」
――…自分たちのことだけを考えれば。
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■あとがき 甘さ皆無のノロノロ展開で申し訳ないです。でも、順を追わんと気が済まん性質なのです…(遠い目) 幣サイトにおける公式主(監督生)は、男装女子でございます。…ただ、現状ある意味でどーでもいいのですが…(苦笑) 次回も異邦人たちのアレな会話劇が続きます(苦笑) |