今日の日の朝を迎え、昨日と同じくユウさんたちを学園へと送り出す―― ――そして昨晩、
「 「はい。オーナー――お兄様がかつて資金源とした劇場、です」
ユウさんたちを見送ったあと、朝食の後片付けをして―― あるパンフレットにはオーケストラによる演奏の公演について、 アルバムの一冊一冊が、その公演に対する作り手の熱意を物語っているよう――…であって、これは厳密なところ違う。
「………正直、兄さんがこういう手段を選ぶとは思ってませんでした…」 「…ああそれはオーナーの趣味ではなく―― 「………ゴーストの、娯楽性??」 「はい。住み込みで働くという形式上、街に降りることが極端に少ない我々は、娯楽というものが限られている。
苦笑いしながら、でもどこか懐かしそうに語るジェームズさん――
「…お嬢様」 「――ん?」 「ゴーストとは 「…」 「……なのにオーナーは我々に
すべての命に平等に降りかかるのは、死という名の終わり。 …もちろん、不安定な存在だからこそ不測の事態――
「………まさか、兄さんにこんな才能があったとは……」 |
|||
ジェームズさんから持ち掛けられた 元の世界へ戻る方法を探る――ために活動するには、相応の資金とそれなりの 最終的な かつては一国の王までが鑑賞のために足を運んだという ――ま、そこの心配はそれほどしてないけどね。
「予想はしてましたけど――それにしても、すごい反発でしたね」
私一人が気張ったところで、劇場はまったく全然回らない。
「…いえ、反発というよりは『伝説の妹』の降臨に皆浮き出し立っているというか……」 「で――ぅん?…なんだって??」 「……若き日のオーナー…を責めないでいただきたいのですが…… 「ぉぶっ」 「またそれとは真逆に、気分が上がりすぎても家族自慢――主に弟妹自慢を打ち上げの席で延々と……」 「っぉ…くぬ…!ふぬくぉあぁぁあ〜〜〜……!?!!」
ハートの女王の厳格な精神に基づくハーツラビュル寮――の寮区長であるノランさんの配慮があっても わかっている。わかってはいる。 いったい何を吹聴していたのか――…は、気にならないわけがないけれど、
「はぁ……この後の顔合わせ…どーゆー顔したらいいやら……」 「……普通、でよろしいと思いますよ。 「…」
平然と、でもどこか自信をもって言うノランさんに、頼もしいような感情を覚える――半面、わずかばかりプレッシャーも覚えた。 彼らにとって音楽とはただ自分が、そして仲間と共に楽しむための …もちろん、やってやれないことはないけれど。
「……そういえばノランさん、トラブッタくん――…じゃなかったトラッポラくん、どうなりました?」 「…ああ彼なら上級生に門前払いされました」 「あらま」 「ハートの女王の法律・53条『盗んだものは返さなければならない』――に法り、追い返されたようです」 「……ふむ。…それはどちらかというと塩を贈られた、感じですかねぇ?」
ルール違反を犯し、その罰を受けたトラッポラくんは、ルール違反の謝罪と …とはいえ、今回はそれでよかった――気がしないでもない。 ………――となると、
「…そんなに重いんですか?ハートの女王の法律、とやらは」 「いつかのどこかにあった古い国の法――…ではありますが、ハーツラビュルはその国を治めた女王の精神に倣っています。 「…では今代は?」 「とても、真面目ですよ―― 「…わーお。法 「…とはいえ 「…でも、 「…おや、オーナーからはノーガード戦法がお得意と聞いていましたが」 「………それは得意なんじゃなくて『それしかできなかった』だけですよっ。 |
|||
■あとがき |