大食堂は、既に大量のゴーストたちで埋め尽くされていた。 異世界より現れた 熱気に湧くゴーストたちがぎゅうぎゅうに肩を並べる大食堂――の脇に集まっているのは7人の寮区長。
「……既に先の公演を見据えて人材確保――…か」 「…実際、どうなるかはイデア次第ではありますが」
イグニハイド寮の寮区長・ヘンルーダがそう言う――と、その場にいた全員の視線が、
「……こんな調子で打ち合わせができるのかしらネェ?」 「これでも列記としたイグニハイドの寮長です。…リモートであれば打ち合わせ程度には参加できます」 「………りもーと?」 「……直接その場には足を運ばず、音声だけの参加――というカタチです」 「フーン?アタシは好きじゃないワね」 「……イレーネさんは我々の中でも特に芸術家肌…ですからね…」 「…であれば、この件に関してマネージャーの一番の壁になるのはイレーネさん、かもしれませんね」 「アラそう。なら目一杯辛口で審査してあげないといけないワね!……既にウチのボスは骨抜きのみたいだし〜」
バラのコサージュが印象的なキャプリーヌを被ったゴースト――ポムフィオーレ寮の寮区長・イレーネが自嘲交じりの苦笑い浮かべながらそう言うと、
「せめて、 「おんや?ダンチョーってば抜け駆けかい?オレたちはすなおーに今まで待ってたってのにサ〜」 「いやいや、あの方の音になど触れていないとも―― 「………あの方を、ですか…」 「オーナーも『所詮』と言っていたろう?自分の
昼間の植物園での このダンというゴーストは、ゴーストの中でも特別危険なゴースト――
「…あのアホに、何か吹き込まれたか?」 「フフフ、さすが親友殿。察しがいい」 「……親友はやめろ。あのアホを理解しているつもりはない」 「おやおや、なんと寂しいことを……オーナーが聞いたらなんと嘆くやら…」 「構うか。好きに嘆かせておけ――アレの『親友』になりたいヤツなんぞ、掃いて捨てるだけいる」 「ただ、認められる者はゼロに等しい――ワケだが」 「…………――…それより、ヤツになにを吹き込まれた?」 「…なに、ゴーストの 「「「は?」」」 「「え?」」 「んん〜??」
まるで何でもないことを離すかのようにダンが口にしたのは「ゴーストの
「みなさん、今宵は若輩たる私の入団試験のために集ってくださったこと、心より感謝します。
舞台と呼ぶにはみすぼらしい簡素な壇の上、 試されている立場でありながら、本物を見せると口にする高慢さに、会場の空気は一気に険悪に張り詰める―― 自分の実力に絶対の自信を持っている――
「
穏やかでありながらも、どこかもの悲しさのような――怪しい美しさを纏った
「っ………まさか…ここまで、とは……」 「確かに……これは心配する方が不敬…というものか…」
誰も、彼女の実力を疑っていたわけではない――が、ただその程度を見誤った、というだけ。 聞き惚れる――では生温い。これは一種の
「っ…オイ!ゴーストたちが…!」 「ぉお…オーナーの懸念が現実に…」 「感心している場合か!コイツら全員がこのまま昇天――消滅しては…!」 「ああ、それは困る。それではあの方の野望が潰えてしまう――からな。
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■あとがき そんなワケで、ウン年ぶりの三人称文章でした!クッソムズ!よくこんな面倒くさい書き方してたな昔の自分!! クル先生が過去に幽霊劇場に関わっていた――ってことになってますが、あくまで裏方(衣装部)です。 んで、自分でデザインして作った(?)衣装を着て踊るゴーストたちを、もンのすごい熱量で指導していたと思います(笑) |