まず、結果だけを言うと、イデア・シュラウドは――ファンタピアからの業務委託を了承した。 シュラウドさん――もとい、イデアさんの「 …絶妙に、ヘンルーダさんがなんとも …あ、因みにオルトくんはイデアさんのお手伝い、という ――で、 …因みに、オルトくんと打ち合わせとかなんとかはしていない。 そんな感じで新たな人材、そしてそれによる新たな
「……」
ここ二日間の記憶が無い原因は――既にわかっている。兄さんが そしてそれは、私個人の観点でのみ考えれば名案だった―― ……ただね、総合的に考えたら、兄さんの
「……なめられましたか…ねぇ……」 「…いえ…そういう 「では…どういうコト、でしょうねぇ……」
私の頭の中にまるきり存在しないここ二日間の記憶――を補ってくれたのは、ジェームズさん及び部門長たちが制作してくれた報告書。 パフォーマー部門の部門長とは、百獣の王の不屈の精神に基づく寮――サバナクロー寮の寮区長でもあるマキャビーさん。
「マキャビーの考えは当人にしか分かりません――…本人に訊くのが手っ取り早いかと…」 「………」 「確かにアレはネコですが、あくまで獣人――…主の言いつけには従います」 「……じゃあ、言いつけを残さなかった 「…それ以前にいつ、お嬢様はマキャビーの『主』になったんです?」 「――……………、……ッ!!?!?」
雷が落ちたような衝撃――とはこのことだろうか。 ああ、ああ、ああ――…!全身から血の気が引いていく……!
「っ…お嬢様…!あくまで 「………、……」 「…でなければ、
不信が不審を呼び、思わず疑念の視線をジェームズさんに向ける――と、 ……確かに、ここまでされては――という以前に、
「…穴があったら入りたい……」 「………ぁあ、埋め合わせ――ですか」 「………………………――……もうヤダこの 「…若返れ、という命令は、さすがに聞けませんよ?」 「っ――聞けたところでェ……!誰がするかー!!」
|
|||
肌を焼く日差しと、カラカラの空気が――痛いような、一周回って心地いいような。 既に数度訪れているサバナクロー寮――ではあるけれど、 …コレ、健康な若者だから問題になってないけど、真冬にこの寒暖差をお年寄りが体験したら…… 普段は肩にかけているストールをスカーフの如く頭にかぶり、燦々と照りつける太陽の下――を早々に離脱するように建物の中へと駆け込む。 ――しかし、だからといって用務員たちに担うべき仕事がない、ということはない。 サバナクロー寮担当の用務員たちの主な仕事は洗濯と料理。 ジリジリとした日差しを逃れ、土壁で さて、肩書を持たない ヘンルーダさんのこと――イグニハイド寮の用務員たちの 私はゴーストたちのボスであって、用務員たちの 度々、気まぐれで練習をサボられては困るのだ。
「…マキャビーさ――」
眠るマキャビーさんの名を呼びながら彼との距離を詰めると、不意にフワリと柔らかな風が吹き――マキャビーさんとの距離が更に開く。 風に転がる風船が如くコロコローっと転がされ、戸のない窓から転がり落ちる――眠ったままのマキャビーさん。
「ぶあっぷ…ッ?!」
私を迎えたのは一陣の風。
「にゃはは。
強烈な風――おそらく魔法に因るものだろう
「…… 「くふふ、 「………そうですね…」
恥ずかしさのような悔しさのようなで、つい尤もらしい
「にゃははっ、そーんなに怖い顔しねーで欲しいナぁ〜。こンぐらい、カワイイイタズラじゃねーの〜」 「…確かに、この程度のイタズラは許容範囲内ですよ――…でも、練習サボったヒトがお出迎えにやることではないでしょう」 「え〜お嬢もサボってんだからお相子だろ〜」 「ぐ……それを言われると……」
昨日一昨日と、ファンタピアのパフォーマー部門の練習をサボったマキャビーさん。
「マーとはいえ、ソレはオーナーせいだから?オレも、お嬢を責めたりはしねーけどー?」 「……けど、なんですか」 「ん〜けど―― 「……………」
今、私の頭の中で 10〜20そこら歳の離れた 表現者、そして経営者として認めた――としても、個人的に認めているかはまた別問題。
「――では、マキャビーさんに私の 「……ンフフっ。ソレ、オレ 「…マキャビーさんに 「――ニャハハー!だワナー!」
私の言葉の ……ただ、そういう
「ほんじゃマ、オレを捕まえてみーな?
|
|||
■あとがき 7人もいれば、一人や二人や三人くらい素直には認めないヤツがいるもので(笑) ただマキャビーも70%くらいはもう既に認めておるのですが、嫉妬心とイタズラ心からこんなことをしでかした次第です。 新入りの子猫に構いまくる主人に対する不満を子猫に向ける先輩にゃんこの図――てなとこですかね(笑) |