校内マジフト大会における選抜メンバーに起きた事故――の全てにおいて、その現場に居合わせる人物が一人いた。 そして更に要素を重ねるなら、彼が習得しているユニーク魔法は「対象者を自分の動きにシンクロさせる」という―― ブッチくんが、すべての事故の現場にいた――という証拠を作り上げることはできる。 ――から、逆算の方式で「証拠」を作ることにした。 砂漠の魔術師の熟慮の精神に基づく寮――スカラビア寮の調理場に立っているのは、 …というかまぁ「特例」うんぬん言い出したら
「
それは本当に一瞬の犯行だった。 他者の肉体のコントロールを奪う魔法だけに消耗が激しい――持続時間が短いのか、 今この時において一番重要なことは、ブッチくんの企み事が成功し――その一連の状況を
「――つーかまえたァ…♪」 「ッッ――?!!っ、ぅん…!?ふ、ぁ………???」
音を立てずに一気に距離を詰め、ブッチくんの鼻と口を覆うように、催眠剤を染み込ませた布を押し当てる――と、
「(ぉお…さすが
ことを荒立てず、速やかに
『…そんなとこで油売ってないでさっさと帰還するっ――ホラ、
今に関しては割とどうでもいいことに思考を割いていた――ら、 …たぶんと言わずわざとの人選だろうけれど――…大丈夫なのかね?バイパーくんの怪我にしても、駐在担当の慌てっぷりにしても。
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「……おやまぁ…まだお眠さんですねぇ…」
ファンタピア内に何故かある客室――のベッドの上で眠っているのは、 スカラビア寮での犯行に際し、状況 ブッチくんの目が覚め次第、さくっと事情を聞く――…はずだったのだけれど、
「………ロイドさん?…大丈夫……ですよね??」 『大丈夫です――………たぶん』 「「たぶん」」
一応の可能性を考えてご同行願った 不安を煽る
『大丈夫です!』
――と、親指まで立てて「大丈夫」と答えてくれた。 ブッチくんの無事にほっとしつつ、荷物を積んだキッチンワゴンをベッドサイドテーブルの横に置き、その近くにおいてあったイスをベッドの横に持ってくる。
『…おそらく日々の疲労の蓄積が原因でしょう』 「…日々寮長殿下にこき使われて――る?」 「いやどっちかっていうと『自分から』だと思うよ?ホラ、ご機嫌取りは出世の早道だから」 「ふむ…。確かに王族に気に入られるっていうのはステータスですよね――…
虎の威を借る狐――ではないけれど、「権威」に関するアレソレは、どこの ――とはいえ、ブッチくんが我が家のような超特殊な
「(…それだけの信頼関係がある――…とかいう雰囲気でもなかったけど…)」
失敗の
「――ま、ブッチくんの 「……マネージャーは、…ソコ、気にするんだ…」 「…兄さんは、気にしてなかったですか?」 「ぅんー…アレは気にしてなかったって言うより規格内だっただけ…かなぁ…? 「……そんな方を兄さんが受け入れたのもビックリ――ですけど、 『それが、獣人種の 「…ぅわ…身も蓋もない統括…」 「………いや、それ、どっちについて言ってます?作用の話ですか?それとも性質の話ですか??」 『さて、それは――実際に、
ほんの少しだけ笑ってセリフを ここが勝負所――ではないけれど、
「――………んぁ、れ…ここ、は――………っ!っ…!!」 「おはよーございますラギー・ブッチくん。まさか朝まで直行コースとは思いませんでしたよ」 「………」 「まぁそう警戒なさらずに――…それが 「っ……」
当然のようにこちら――自分を拉致った敵対者に対して警戒、そして抵抗の視線を向けるブッチくん――に、 …ぅんー……コレはハイエナ故の
「……そこは人であって獣にあらず…か――…とまぁご挨拶はここまでにして、まずは朝ご飯です」 「………」 「 「…」
「朝ご飯」と言った私の言葉に応じて、ロイドさんがベッドサイドテーブルの横に下げていたキッチンワゴンこちらへ持ってきてくれる。
「――いただきます」 「……」 「ぁあ、 「……はぁ…」
物心ついた時から当たり前になっている
「あ、マズ」
微妙な沈黙の中でとりはじめた朝食――だったが、 …いや、もしかしてこれは単純に
「…何事ですか?」 「昨日の騒ぎを聞きつけたハーツラビュル組がユウたちと一緒に――ラギー・ブッチに接触した」 「………は?」
ヘンルーダさんのセリフと共に出現したスクリーンに映し出された
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■あとがき 前回よろしくつじつま合わせが「ぉうん?」というあんばいですが、広い心でスルーしていただけたら幸いです…(目逸らし) どーでもいいことですが、今回で寮区長が全員出そろいました(笑) ずっと、ロイドも場にはいたんですが、色んな意味で話せないキャラなもので…(苦笑) |