少し、がっかりした――……と言うか、 それを―― 今生の別れではなく、あくまで一時の別離――…とは、頭でわかっていても、心が言ってしようのないワガママを言う。 思うことはドンとあるが、それはある種のパンドラの箱――
「
視界の端に見慣れない おそらくこれは彼――呪文を口にするのと同時にニヤと勝利の笑みを浮かべたブッチくんのユニーク魔法、の うーん…なるほど……。これは確かにカラクリがわからなければ「よくわからない」だろう。
「――っ」 「ッ?!」
ふと全身に気力を巡らせれば、ものの一瞬で私の体の支配権は
『――見逃して』 「へ?」
ブッチくんの …もう、そうなってしまってはお手上げだった。
「っ――!………んえ?」
ファンタピアと外界を繋ぐ唯一の扉から飛び出したブッチくんを待っていたのは――真っ黒。 開かれた扉からブッチくんがファンタピアを飛び出し――た結果、ブッチくんは真っ黒な世界に飛び込む格好に。 ブッチくんが真黒な世界の引力に囚われる――その刹那、ここ数日ですっかり扱い慣れたストールを目一杯の力で放つ。
「ッ――…ンげっ?!」
ドテンと、まぁまぁ派手に尻もちをついたブッチくん――ではあるけれど、
「…まったく、危ないじゃないですか――ヘンルーダさん?」 「………へ?」
「危ない」と、小さな苦言を呈する――と、
「…コレが一番手っ取り早いんデスー。脱走の 「……理屈的には間違ってはないんですけど……… 「…別に忘れてないよ。ただマネージャーの反射神経を信頼してたってだけ」 「…く、ぉ……重い信頼を軽く言うな〜ぁ…」
……だっていうのに、ヘンルーダさんは軽く「信頼してた」で済ますんだからホントにもぅ……。
「は〜ぁー………もぉー…朝から必要以上に疲れた…。 「………」 「…この 「………そう言われるとなにかカチンときますねぇ……。 「………………へ、ぇ?…な、ぇ、し、しごと??」 |
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サバナクロー寮において副寮長という存在はいない。 すったもんだあったロビーから場を元の客室――ではなく、小会議室へと移し、 自身の状況の悪さ――言い逃れのしようの無さに、
「(
ブッチくんが犯した マジフト強豪寮として名を馳せたサバナクロー寮が二年にも亘って味合わされた屈辱、そして先輩たちが背負った汚名と無念を晴らすため、 …もし仮に、 …………ぅん?そう考えると私の気に障ったのはラッキー――……いや、この場合は「悪運が強い」と言うべきか――…なぁ〜…。
「――失礼しますっ」
問題にはならないけれど、疑問を覚えたユウさんの声色の答えを確かめようと、
「ふ〜ん?結局は
ニヤと嫌味の混じる笑みを浮かべ、狼くんを「結局――」と評したのは、同寮の ――しかし、それはそれとして、
「………裏切り者より始末の悪い 「…ぇ、イヤ、コレ、は……あ、あくまで個人の感想ッスよ…」
つい、その場のノリ――的なモノで「保護する」と言ってしまった狼くん。
「………」 「…な、なんスか…」 「……もしかしてブッチくん…実は結構 「………ハ?してねーッスけど?単にボンボンには靡いておいた方がーってハナシッスよ」 「…懲りてませんねぇ……その結果が内申点ズタボロ一歩手前の 「アレー?そうはしないってハナシじゃなかったッスかねー?」 「…それは、そのつもりですけど――…ボンボンでまとめられてはムッとしますよ」 「へー?…リュグズュールくんって意外と小さいんスね、器♪」 「……いえ、器が小さいというより精神的に未熟――子供、なんですよ。 「…ゥワ……そ、それはゼヒ…直した方がいいッスね…」
人を
「な…なんで…?!こっ…こんなトコにラギーがいんだゾー?!!???」
いきなり驚きの声を上げたのはグリムくん。 呆れた声につい思わず振り返る――と、呆れを含んだ苦笑いを浮かべながらこちらを見ていたブッチくんと目が合った――と思ったら、
「… 「…尤もですね」
取り繕うように「ハハハ」と笑いながらブッチくんは 下から上――は当然のこと、上から下への …なにせこの後の
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■あとがき 幽霊劇場は異空間(?)に存在するので、その外側に落ちたらなんというかもうどーしようもないです(苦笑) 死なないからこそ果てのない落下にさらされ、精神が病んで、最後には自我が閉じる――てなことになるかと思います(滝汗) …なのでヘル氏はことの危険性を軽視し過ぎ――だった分(?)、夢主が重く捉えていたおかげでラギーくんは無事生還と相成りました(苦笑) |