まず、そもそもは――レオナさんの在り方が、気に入らなかった。 そう、あくまできっかけは個人的な 諦念に沈みながらも野望を燻らせ、それでいて怠惰に耽る若獅子の この「不平感」は一体何から端を発しているのか――…たぶん突き詰めて「悪者」を決めるとするなら …恥も外聞も、矜持もなにもなく、結果だけを求めれば、 はっきり言って、コレは矛先がずれた
早朝5時55分、サバナクロー寮のマジフト場のフィールドに集まっているのは――…20人ほどと、笑ってしまうくらい少なかった。 現実とはままならないもの――とは、わかってはいるけれど、それでも湧く不満というものはある。 マジフト場の末端から見下ろす先に在るのは――サバナクローの学生寮。 ――では、大きく息を吸いまして、
「集ゥ合オオーーー!!!!」
腹の底から、吼えるように声を出す。 コレは以前、イレーネさんから教えてもらった声を拡散する魔法――による 我が声ながら耳が痛い――が、不思議と心はスッキリとしている。
「さァーて、キチンと時間通りに集まってくれたみなさんは、さっそく始めましょうか――朝練を」 「…………」 「……ん?なんですブッチくん」
すっきりした気分に意気揚々とフィールドの上に――集合時間より前にきちんと集合してくれた寮生たちの元へと戻り、 その「待った」に疑問を覚えてふとその後ろに並んでいる寮生たちを見てみれば――
「……耳鳴りと…動悸がヒドいんで……ちょっと待って……クダサイ………」 「ぅわ、声ちっさ」 「…誰のせいだとぉ…………」
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「朝からヘロヘロになるまで扱かれると思ってたんスけどねー…」
私の横でハハハと苦笑いしながらそう漏らすのは――黒の
「…それは、私が無茶な脳筋指導で 「ぁ、イヤっ……そーゆーつもりじゃァ…ないッスけど………」 「……まぁ、必要な情報が揃っていれば、そーゆーやり方もできたと思うんですけど―― 「あー……ぇ、ちしき??」 「ええ、ルールを覚えたのも、試合映像を見たのも――昨日の話です♪」 「……………ハぁ?ふざけてんスかアンタ。てか、マジフトなめてんスか??」 「いやいやナメてねーからこーしてわざわざ段階を踏んでるんじゃないですか」 「……」 「それにですね、私の 「……………は?」 「ざっくり言うと、私もレオナさんと同じ結論に達した――って話です」 「………………ハイ??」
これは私が
「(とどのつまりは等価交換――…失わずして得るもの無し、か…)」
【世界】の 解けた絆を取り戻すために、結んだ絆を
「――ちょっ、リュグズュールくん?!レ、レオナさんと同じってどーゆーことッスかっ…?!」
アレコレと今更なことを考えていた――ら、酷く焦ったような様子のブッチくんに「どういうことだ」と詰め寄られていた。 今度こそは
「齢百年を超えた 「そっ………それ、は……そう…かも、ッスけど……」 「勝負事――特にスポーツにおいて、プレイヤーに衡平さを求めるなんてナンセンス――ではありますが、 「…それ、は…確かに……リュグズュールくんの言ってることは正しいッスけど……」 「ええ、その理屈で 「――そりゃ、ドラゴンに対する過大評価ってモンだろ」
不意に話に入り込んできたのは、なにか アレは、サバナクローをはじめ、そのほか全ての
「…まぁ、自分の 「ほぉ?随分と 「……雑な設計士雇うよかマシですよ」
売り言葉に買い言葉――といった調子でレオナさんに …それは、まぁ……第三者としては「よかったね」と思うのです。心に、歳相応の余裕が生まれたことは。
「――で? 「………正当な屁理屈で、公平な 「……仮に、その屁理屈が通ったとして――…現実的な
ニヨニヨと愉しげな笑み――から一転して、呆れの混じる怪訝な表情でレオナさんは「ルールで縛る」と言った私を睨む。
「そこは世界の脅威と戦う灰魔の技術力の見せ所――てなトコです」 「……」 「あ、コレ、うちの 「………」 「………さっきからなんですか、その顔は」 「……一ヵ月そこらで、灰魔の 「……それを言ったら――…すべての 「……………」
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■あとがき 新生サバナクロー朝練初日のお話でございました(苦笑) 夢主が色々好き勝手なことを考えた上で行動を起こしているため、全力で展開が原作とズレております…。 ただ一応、最終的な「オチ」は同じです――ので、広い心で許容していただけましたらー!(逃) |