マジフトのフィールドを選手が駆け、時にその上空を飛ぶ。 本来であれば組まれることのない試合だが、今回のすったもんだの調査・解決の報酬として、
「…ぅわ…相変わらず容赦ないなー…あの3人……」
なんとも複雑な感情のこもった声音で容赦うんぬんと口にするのは、VIP観戦部屋の最前列に陣取っているロレンスさん。 この … …ただそう考えると、ユウさんの存在というのはなんとも――
「――ぁ」
オンボロ寮の攻撃から再開となった後半戦――その開始直後、文字通りの速攻で、単身で攻勢に出たのはグリムくん。
「――――」
魔力を纏ったディスクが飛んだ先―― オンボロ寮の 野球ボールだろうと、サッカーボールだろうと、無防備な人間に当たれば――惨事になる。
脅威を前に、呆然と立ち尽くすユウさん――のその前に、 … 凛々しい顔立ちに、悠然とした色を湛えた紅い瞳の巨獣――
「オーイオイオイオイ。天下のサバナクロー相手に欠員とか――ハンデが過ぎんでしょーよ」
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「はぁ〜〜〜〜〜〜………」
ユウさんを抱きしめると同時に、 既にエキシビジョン――オンボロ寮対サバナクロー寮の試合は、オンボロ寮の勝利で
「…………」 「…っぁ、ぁのっ…さっ……!」 「…………怒ってないです…。
いつになく慌てた様子で私を宥めようするユウさん――…だけれど、ユウさんの心配はある意味で杞憂だ。 私はまったく全然彼らに対して怒りを覚えてなどいない――…そもそもあれは不慮の事故というもので。
「…ところで――…ちゃんと、謝ったんでしょうね。…グリムくん?」 「ヒッ…!」 「ぁぁの…!さん……!」 「……試合中に、 「ぅ゛っ…」
感情を抑え、冷静に正論――野球における例えを返せば、ユウさんは苦しげに小さく呻いてそのまま押し黙る。 ユウさん自身はスポーツマンではない――が、その兄弟たちが グリムくんに対して個人的な怒りはない――が、やはりそれはそれとして、
「………」 「……」 「…………っ…」
胸に湧く
「…っ……ユウ!」 「は、はいっ」 「っ……っ……!ぉっ……お……!っ……、…!……っ……………悪かったんだゾ…」
なにか決心した様子でユウさんを呼び、自ら彼女の傍へ近づいて行くグリムくん――だったけれど、 そしてそれは、まともな人間の聴力では 被害者に受け入れられない謝罪とは、加害者の自己満足――自戒でしかない。 一応グリムくんも、
「わ、私も…!どんくさくてごめんね…。 「そっ、そ――」 「いや、ユウがどんくさいとかって問題じゃないだろう」 「そーそーってゆーか 「ぁ…」 「ノーコンはともかくとして、ユウでもかわせる必殺シュートとか――可哀そすぎるだろ、全世界に中継されてるのに♪」 「……まぁ… 「……………ぇ、ちょっと待って。二人の中で私の運動神経ってどうなってるの??」 「は?良くはないだろ」 「……運動オンチとまではさすがに思ってないが……良いとは…正直言いにくいところだな…」 「…一応言っておくと、トラッポラくんたちの基準値が高いだけで、ユウさんは普通ですよ、普通」 「……………やっぱり…良くはないんですね…」 「それは……自己申告済みのことじゃないですか」 「そっ……それはそうなんですけど……!」 「んんー?もしや実力アップ――特訓をご所望ですか?それなら――」 「アーアーやめナやめナやめときナ〜。まともな人間じゃア潰れるだけだゼー」 「…失礼ですねぇ…潰しませんよ――覚悟を以て臨んでいるなら、ね?」 「「「………」」」 「…――まずは朝のランニングから始めてみます」 「おやあ」
すっぱりと特訓をお断りしてきたユウさんを残念に思いながら――
「とりあえず、ユウさんの無事は確認したので――もう
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■あとがき この連載におけるグリムんは黒い石を食べていないのですが……… それを考えると、グリムんのセリフや行動も改めていかないといけないかなー…と思っております。 ……ただ当方、未だイグニ編どころかポム編さえくずしてないんですがね!!(汗) |