ついに――というかでやってきた初登校。 最初の内は誰に会うこともなかったけれど、鏡舎を過ぎたところで他の生徒たちとすれ違うようになった―― …ただ、この比率は遅刻間際のこの時間帯だから成立している
「……」
たった数百メートルを歩いただけで、様々な でも、不幸中の幸いといったところで、
「(――ま、ポムフィオーレとディアソムニア相手なら…呑み込めるだろうけど)」
向けられた …とはいえ、この感情というのは理屈の枠内に収まるものではなく、
「(学校生活は社会生活の予行練習――…なぁー……)」
家庭という小さな社会しか知らない「子供」は、学校に通うことで家庭以外の社会を知り、 同世代の 既に一端の社会人として社会に出ているとはいえ、同世代の人間と関わりがない――わけではない、というかなんなら関わりの多い方だと思う。
「――なにやら、お悩みのご様子だな?」
あれこれと考えながらも歩みを進めて校舎の正面玄関までやってきた――ところで不意にかかった声は知ったゴーストの声。 こちらの胸中を見透かしたような自信と余裕に満ちた表情で佇むロンゴーさんを前に、思わず気が緩んで――
「出て……ましたか」 「……クク――ああ、 「…」
留めた上に隠していた弱気――を、顔に出して更にボロと吐き出せば、
「子供ばかりの学び舎になにを気負うことが?」 「…ワケ知らぬオトナ子供と同位の立場で生活しなくちゃならないんですから気も張りますよ…」 「――ああ、猫の輪で生きる獅子の生は難儀、というワケか」 「…―― 「………フっ…!確かに 「……血統書付きの犬の輪に放り込まれたチャンピオン犬」 「ふむ――であれば 「……正論過ぎて返す言葉がございませんぅー…」
ロンゴーさんとのやり取りの末、一周回ってたどり行き着いた答えは――わかりきった
「美徳も過ぎれば悪徳――だな」 「……いえ、動機から結果までただの 「…ククっ、ならばマネージャーの認識は相も変わらず 「…………ぇ、甘――…ぃー???」
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私の認識を、ロンゴーさんは「甘い」と言った。そしてその指摘は、間違って 己の理解が及ばない存在、自分と違う存在を、人は多くの場合嫌忌し――自身のコミュニティーの中から排除しようとする。
「やった勝ったッ」 「もうクラス対抗とか負ける気しね〜〜」
二年次はB組の教室にて私を歓迎してくれたのは、知った顔ばかりのサバナクロー寮生たち。 うん。だからここまでは本当に想像の範疇。
「(サバナクローのテンションに面食らってるという風でも……)」
正直なところを言えば、ハーツラビュル寮生に関しては、好感寄りの感情を向けれらるのでは――と思っていた。 …そしてそれは、プレ公演の時にコンタクトを取ろうとしてきた
「――おい、先生来るぞ」 「は?来んの早くね?」 「いーから散れ散れっ。初日からセイラーに目ぇつけられたらどーすんだっ」 「はいはいはいはい」
教室に一時限目の担当教師が近づいていると報が上がると、私の周りに集まっていたサバナクロー寮生たちが足早に散っていく。
「既に目ぇつけられてるお前が隣にいる方がメーワクじゃね?」 「あ!ナイスアドバイス!よしっ、席代われ代われっ」 「は?!ヤダし!今日俺は姐さんの隣で生まれ変わるんだよ――授業中だろうと眠らない優等生になァ!」 「……お前の優等生の基準…さすがに低すぎないか…??」 「………居眠りを悪いことと自覚して、改善しようという気持ちは買います――ので、大人しくお勉強してくださいね」 「…え、勉強まで?」 「綺麗な目をしてなにを言っているんだ君は」
サバナクロー寮は肉体派が揃う運動強豪寮――だと知ってはいたけれど、ここまでとは思わなんだ。 教育機関で学ぶ知識――いわゆる一般教養というものは、多少欠落していたところで多くの場合、社会
「自分の隣に座る――というなら、なんであれ怠慢は許しません」
サバナクロー寮のマジフトの練習を見ていることの延長で、寮生たちの勉強なりを見る――気はない。 誰が誰の傍にいようと当人の勝手――なら、他人の存在を拒否すること、そして傍にいる相手を選ぶこともまた当人の勝手。
「――ぅ、うッス!」 「ん――ウィリスくんもですよ?」 「、はーいっ」
思いがけず返ってきたのは素直な 返ってきた
「(――…やっぱり、一番おかしいのはディアソムニア……だな)」
教室へと入ってきた教師の姿を横目に
「(……まぁ…気にされてないなら、摩擦も起きないだろうから――気楽でありがたいけどね)」
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■あとがき 初登校とクラスでの様子(?)でした。サバナ勢との接点が(悪い方向に)活きております(苦笑) 今回夢主の隣に着席した二名は、今後も本編にゴリゴリに登場予定です。…ラギーくんが絡んでくれないから(目逸らし) |