ファンタピアを運営――好演を重ね、資金と名声を得ることが「目的」の達成―― いくら金を、権力を積み上げたとしても、それで賄えるのは――他人の力。 ――とはいえ、真面目に授業やらなんやらを受けても仕方がない。 ――ただ、だからといって、授業を欠席することに抵抗がある――わけじゃない。 切り揃えられた芝の上に置かれているのは――箒。 いきなり箒に跨ることはせず、地面の上に置いた箒を宙に浮かせるところから始める――が、それはものの一瞬で「失敗」する。
「(…なんて虚しい自己分析……)」
快速で青空を飛び回るクラスメイトたち――に、 …何度も言うようだけれど、初期の私は箒を打ち上げると同時に破壊――爆散させた、のである。 およそ半月程をかけ、私の飛行術に関する技術(?)は進歩している――が、箒に跨り空を駆けるなど、遠い先の話だろうと思っている。
「箒で空を飛ぶ――…その真似事は、できなくないんですけど……ねぇー…」
極論を語れば、ハロウィーンウィークに身につけた人形師の技能を用いれば、
「…箒でなければ飛べるのに……」 「基礎無くして応用無し――ってお嬢の口癖じゃんヨ〜」 「――…………………」 「ぎょブっ!」
唐突に背後、というか左肩から聞こえたのは――聞き慣れたマキャビーさんの声。 だがしかし、こればかりは黙っていられない――誰が「お嬢」だって?
「いぎギギぎギ!イヒぃー!?」 「元 「い、イエッサぁ〜!!」
自分の肩に乗るマキャビーさんの顔面を鷲掴み、 人の輪からは十二分に離れている――が、どこでなにが綻びになるかは、崩壊が始まるその時までわからないもの。
「……ご機嫌斜めかい――マネージャあ〜」 「……そうですね、虫の居所は悪いかもです」
少しばかり呆れを含んだ調子で私の機嫌を尋ねてくるマキャビーさん――を前に、平時よりも気が立っていることを自覚する。
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NRC生となってまだ半月――ではあるけれど、 ただ現状、私にとって最も親しい間柄にあるのがサバナクロー生―― 気持ち強面の生徒が多いサバナクロー生たちの輪を割り、私に声をかけてきたのは――ハーツラビュル生。 欧米諸国のハイスクールにも、クラブ活動というモノは存在する。
「結局のところ、クラブ活動は『オマケ』でしかない――というわけだ」
植物園の奥――通称・管理人の園と呼ばれる小さな一角に設置された、 勇気を持って声をかけてくれたハーツラビュルの彼の勧誘も、
「大所帯のサイエンス部を、部員一人の園芸部が追い出せる――とは」 「民意によって決まる権利など浅はか――理屈と 「…机上の、理屈と 「ふふ…耳が痛い――まぁ、今代の我が部には無縁の話だが」
一応、名誉のために言っておくのだけれど、サイエンス部を追い出す――なんて、無茶苦茶なことをした例はない。 この園芸部はNRCにおいて、クラブ活動が導入されたばかりの頃から存在する古参のクラブ。 多くの部員を抱え、なおかつ
「――でもそういう意味では、クルーウェル先生のリアクションがないのは意外、ですね」 「ふふ、彼は既に懲りているからな――生徒に任せることの危うさに」
改善のための改革に積極的であるクルーウェル先生が、 長い時を経て、大体のことは笑って流せるはずのダンさんが、
「………なんとも…言い難いですね……」 「なに、己に対する怒りはあれど、生徒に向ける怒りは無かったろうさ」 「………ぇぇー………デイヴィスさんって……そんな 「くく…若者の失敗を、大人がフォローする――いつの時代も、当たり前の事ではないかな」
理屈は通っている――が、それが「生徒のミス」で「教師」であるというだけで、 ――しかし、そんな …とはいえ、そんな
「………件の 「ああ、良い教師が過ぎて――仕事と責任に押しつぶされNRCを退職した」 「…ぅわ」
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■あとがき 当初の設定では、夢主の部活はオケ部で幽霊部員に――と思っていたのですが、 プロとアマの線引きを明確にしている夢主に限ってそれはないなーと考えを改め、園芸部所属となりました。 おそらく特段園芸には励まず、勉強会と称したお茶会を優雅に開催しているかと思います(笑) |