テスト期間が終了して数日が経過し――…私の手元に、全てのテスト用紙が返ってきた。 これで、ファンタピア運営における難関を一つ突破することができた――そしてそれが、今回の試験における私の
「おー……さすがエリート校…?」
掲示物の右側にずらと並んでいるのは「500」の文字―― 満点を獲得するなんて
「…随分と、険しい顔ですね?」 「……キミは、この結果をおかしいと思わないのかい?」 「…おかしい――とは感じていますよ?自分の実感として、テストに 「……ん?」 「満点が取り難いよう作られている――のに、
魔法士としての適性を持つだけでエリートと言われるTWLにおいて、 NRCに、リドルくんの様な逸材が在籍しているのであれば、
「………集団カンニング?」 「――にしちゃあ寮もクラスもバラバラなメンツッスね」 「!」 「おや、ラギーくん――なにやら訳知り顔ですねえ」
安直な可能性を口にした――ところ、不意に後ろからかかった指摘はラギーくんのもので。
「一体これはどういうことなんだい、ラギー」 「お勉強のできるリドルくんには縁のない話ッスよ――」 「――…逆に言えばお勉強が苦手な生徒が多いサバナクロー寮には縁がある――と?」
どういうことだと問うリドルくんに、ラギーくんが返した答えは「縁がない」――
「――ま、どっかの誰かさんのおかげで想像より少なかったッスけど」 「…少な……かった?」 「そ、
嫌味混じりの訳知り顔――を引っ込め、ラギーくんは呆れと諦めの混じった苦笑いを口元に浮かべ「 さてここで指す「頭脳派寮」とは――十中八九、オクタヴィネル寮だろう。
「……………まさか――………サバナクローだけ、じゃない…?」 「シシシ、そりゃそーじゃないッスか――俺たちだって、
ふと脳裏をよぎった嫌な想像に「まさか」と投げれば、ラギーくんは ――…となると真っ先に心配になるのは――
「………ぅン…?……いや…よく考えたら――……問題、に…ならない?のでは??」 「ェ」 「
そう――なのである。
「……待ってくれリュグズュールっ…あれだけの
不意に、声に怒りをにじませたのは――リドルくんだった。 日々、真面目に勉強を重ねてテストに挑んだ …しかし、我々と同様、もしくはそれ以上の努力――
「一番に我々を 「………」 「自分を嗤ったヤツを理由なく助けるほど、自分は人格者ではないので」
なんとも心中複雑そうなリドルくんに、作りに作った穏やかな笑みを浮かべて「人格者ではない」と答えれば、
「……キミは…不正を許さない人だと思っていたよ…」 「
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「なるほど、これはまぁなんというか」
思うところがあり、リドルくんとラギーくんについていく形で、放課後に足を運んだのは――運動場。
「…ウチのクラスは、くんの勇姿と 「……寮どころか……学年さえ関係ないなんて……!」
平時なら、熱気はなくとも活気はある運動場――のはずなのに、 ――…しかしそんな中でも、
「…勉強は苦手だし嫌いだし?そう思われてもしかたねーとも思うけど――オレ、カモられてねえから!!」
方々から同情、もしくは咎めるような視線を浴びながら、腹の底から否定の言葉を叫ぶのは、 そう、私の横で「居眠りしない」と宣言し、またそれだけで「優等生」だと語り、
「ああ、ホントホント。確かに一年の時アーシェングロットに声かけられてたけど、自分で断ってたよ」
全力でアーシェングロット――オクタヴィネル寮の現寮長である彼の策略に ミックくんと色々共通点の多いウィリスくん――だけれどその本質はだいぶ、普通とは違っている。 ――とにかく、そんなウィリスくんが肯定するのであれば、眉唾なミックくんの発言にも信憑性が出てくる――…のだけど、
「……にわかには信じがたいなあー」 「だーっマジだって!こー見えてうさんくせーヤツ見抜くイロハ知ってんだってー!」
正直なところ、良くも悪くも素直なミックくんの普段の行動を見ているだけに、
「アーシェングロットくんがダメで、レオナさんがOKだった理屈とは?」
ミックくんの言う「うさんくさいヤツを見抜くイロハ」が有効――であるのなら、レオナさんのことも見抜けたと思うのだ。
「「………」」 「いや姐さん…それは……」 「…寮長とアーシェングロットじゃ……
…このように、なぜだか残念な子扱いされてしまった次第です。
「……姐さんは…さ、今回の一件での寮長の 「…バルガスの 「………寮長のマジフトプレーヤー――それにゲームメイカーとしての実力は本物だった――
ミックくんたちの言葉を聞き、そういえば――と思い出すのはジャックくんのこと。 自他共に厳しいジャックくんが憧れを覚えるほど――なのだから、
「(……自暴自棄になるほどには努力した――………なら、なんであの程度で済んだ?)」
努力を厭いだ挫折が如何ほどのモノか――その考えに揺るぎはない。
「…なるほど。レオナさんの 「……そーゆーことじゃねーけど…………そもそも、寮長は俺たちになにも求めてねーからさ…」 「…………ぁー………」
ミックくんの もし一連のレオナさんの行動が、我らがお獅子の
「…確かに前提――…というか比べるまでもないハナシでしたね」 「いや、まぁ… 「―― 「………そッスねえー」
いつかのレオナさんの
「………」
そしてそんな彼らを少しばかり難しい表情で見ているのは――リドルくん。 ――…ただ、あえて疑問を口にせず、黙って考えを巡らせているところを見ると、 ――しかし、その話はとりあえず端に置き、
「――して、信用もなく商売人と利害で結ばれたすっとこどっこいどもの行く末とは?」
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■あとがき ようやっとテスト勉強地獄から解放された夢主です――が、解放された途端に余計なところに首を突っ込む(笑) この人、本当に元の世界に帰りたいのか些か疑問を覚えてしまいますが――気が多いモンでなぁ(目逸らし) |