そういうつもりはない――けれど、癖になってしまっているのだろうか。その、気絶が。 …いや、今回に関しては気絶ではなかったはずだ。 …でも事実として、兄さんの乾杯の音頭の後からの記憶が無いということは――………。
「……総合的な疲労の蓄積――…に、安堵と安心が突き刺さった…かなぁ……」
病は気から――ではないけれど、肉体的不調を気持ちの力で抑え込むことはできる。 …ただ一応、名誉のために言っておくと、心が折れたのではなく気が抜けたのです…!
「(……まぁ…踏ん張った甲斐は、あったけど――ね)」
ファンタピアの公演開始前、兄さんに同行して行った レオナさんの記憶の中で見た第一王子――と、 …ただそれはおそらく――
「……
「ありがとう」と感謝の言葉を重ねるファレナ陛下――を押しのけ、 …でも近しい間柄だからこそ、なまじ賢いからこそ――そして、 ……知り合って一週間そこらの身で何言ってんだってハナシではあったけど。 兄さんがレオナさんを気にかけていた――それに、違和感はなかった。 何度も言うようだけれど、先のサバナクロー寮―― 自己満足でしかなかった――とはいえ、
「(…打ち上げおじゃんも止む無し…!)」
練習と調整を何度も重ね、その結果を披露する本番も、とても愉しい どちらか一つを選べと言われれば――ぶっちゃけ本番をとるけれど、
「(…まぁたぶん兄さんかジェームズさんが対処しただろうから…
楽しい宴の空気を、一瞬でも台無しにした――…のは、事実だろう。 自分の詰めの甘さにギリギリと奥歯を噛みしめながら洗面所へと向かい、
「(ハロウィン…は、まぁ…これまでを汲んでのブラッシュアップ――
新生ファンタピアの初公演は、歓声の中で終幕した――ので、概ね成功したと受け取っていいだろう。 ナマらず、イキらず、絶妙な 難題に頭を悩ませたり、ついイラっとして自分の首を絞めたりすることもあるけれど、 ――…でも、それでも――私には、帰りたい
「……」
胸の奥から湧く強い
「おはよ〜」
…ドアを開いた先――部屋のほぼ中央に陣取っているダイニングテーブルにわちゃと顔を揃えているのは、 …兄さんがいるのはわかる――というか正直それは当然なのだけれど、何故、シュテルさんたちまでがここに居られるのか。
「―――」
とりあえず、一度ドアを閉める。 …故、服装を寮制服に改めまして――
「失礼しました――からの改めて失礼致しますのおはようございまーす!!」 「……妹よ〜落ち着けー」
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「ホーント、あんななめた真似してくれといて今更身だしなみがどーこーってねぇ?」 「…………シュテル…わざわざ言うな…」 「…しかしあそこまで算段しているとはな……やっぱりキョーダイ、か?」 「くふふ〜やーねぇ〜人聞き悪いわねぇ〜。お兄ちゃんはそこまで――てか全然計算高くないわよーゥ?」 「……なら 「ぁあー…確かにアレ…おそろしいくらい綿密でしたよねぇ…」 「ああ〜アレ?アレはカバちゃんが凄かったのよ――パターンを減らすつもりが逆に増えるという♪」 「…………待て、あのカバリエが協力しただと?…あの神経質が、 「うん。デリバリーするって言ったら秒で快諾♪」 「……………貴様……ポムフィオーレ寮が 「……今の今までバレてなかったんだから 「 「ッ…!ッ…ッッ……!!」 「……………クル先輩の毒薬生成のスキル磨いたの、間違いなくレイヴ先輩だよね」 「確かに、ねぇ〜」 「……認めるのは癪だが、お前たちの指摘通りだろうな―― 「……へぇ?」 「…ぅーわ、そんなところまで兄妹揃って――なんだねぇ?」 「「………」」
シュテルさんの指摘に、なんとも複雑などうしようもない気持ちが沸き上がって―― …自分のこの傾向を悪いものだとは思っていないし、他人の ふと湧いた疑問に顔の向きを一転させ、じぃっと兄さんを見る――と、 …正直、兄さんの
「――…にしても、本当に妹が出てくるとはね」 「……… 「…事ある毎に言ってたんだよ、『ウチの可愛い弟妹に会いたいー』って。……まぁ、それが 「…そーゆー意味ではユウはトンだとばっちりだよねぇ」 「へ、ぁ――そっ、そんなことは…?!」 「え〜だってが居なかったら訳の分からない世界で、とりあえず学生だけやっていればよかったのにさー。
薄らと愉しげな笑みをニヨニヨと浮かべて、シュテルさんはユウさんに ただでさえワケの分からない世界で、知った顔一つない環境。 …ただ、シャンデリアの件とトラッポラくんの件と、マジフト大会の件については――
「………確かに、…迷惑は……してます――…平然と無茶するし…! 「「………」」
葛藤の中で絞り出されたユウさんの言葉が胸を締め付ける――
「…でも、…なにも手伝えてない私にそんなことを言う資格はない――…っていう以前に、 「「「……………」」」 「…………そちらお三方、その
ユウさんの …うん、わかる。わかる――のですけれどね?
「…ユウさん」 「っ…」 「…ユウさんの不満は、尤もだと思います――…自分の身勝手さは、わかっているつもりなので…」 「っ…でも、もしさんが動いてくれなかったら―― 「…それ、は――………って以前に、それも私の勝手の内で――」 「――なら、その 「……は?」
突如として、私とユウさんの 若人を
「傍に置く――なのか、傍にいる――なのかは知らんけど、ユウくんを 「………」
…どうしてか、兄さんの「理屈」に青筋が浮かぶ。 そう、そう――…なのだけれど、だとしても、やはり納得できない――
「ォお嬢ォオオオオオ〜〜〜〜〜!!!!」 「――
……二度あることは三度あるって?
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■あとがき そんなワケで始まりましたハロウィーン編でごいます。 いつものことと、言えばいつもの事ですが、初っ端から版権キャラ不在のオリジ展開です(吐血) そして、こーんな感じがしば――――らく、続くヨっ(脱兎) |