オンボロ寮の裏手――いつかの日、ジェームズさんがトラッポラくんたちに稽古をつけていた裏庭―― …これは、かつて兄さんたちが試行錯誤した時の名残――賢梟ノ神と …ただ、環境は整っていたのだけれど、ある意味で今回の儀式の
「様」 「!――オーヴェスさん…もしかして?」
「先の礼節を欠いた振る舞い、どうかお許しください……」 「いえいえ、ただのマネージャーには十分でしたよ――だから問題ありません」
先の非礼を詫びるオーヴェスさんに、「
「それより…オーヴェスさん以外の方は……?」 「…それは今――…内の一人が、残りの二人を探している状況です…」 「………あー…特定の場所に留まっていない…んですね…」 「……いえ…二人ともこの森のどこかにはいるはずなのですが―― 「………」 「我々は
ため息交じりに語るオーヴェスさん―― 彼らの個性はおろか、性質さえ知らない、解らない立場では――以前に、彼らにとって何者でもない
「ぇえと……もう少し、時間に余裕があるってことでいいですか…ね?」 「……はい…」 「…ではその間に禊ぎを済ませてしまいますね――………姐さん、どう思う?」
できた時間で禊ぎ――更に環境を整える旨を伝えると、オーヴェスさんは落ち込んだ様子ながらも了解してくれる。
「……」 「お前が思っているほど、 「………」
不意に、淡い光と共に私の背後――私とその後ろにいる人たちを別つように、線を引くように姿を見せたのはノイ姐さん。 下がっていくノイ姐さんとオーヴェスさん――を最後まで見送らず、私は紙垂を下げた注連縄が巻きつけられた岩の元へ向かう。 場に、問題がないことを確かめて
「…さて、ここからは気持ちを切り替えないと――ね」
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「お」
ガサと音を立てて木々の間から顔を覗かせたのは、 おそらく、今までに経験したことのないだろう浄化の力に、驚き――以上に異常性を感じて、慌てて現場に駆け付けた――のだろう。
「――…スリュド、神子様を前になんだその態度は」 「……」
仕方ない――けれど失礼と言えば失礼に当たる行動をとったブラウン髪の男性・スリュドさん―― 苦言を向けられたスリュドさんも、自身の行動の非を自覚しているのか、オーヴェスさんに反論することはない――が、
「まぁまぁオーヴェスさん。前置きなくあんな 「…、それ、は……」 「それに 「「………」」
別段、
「…できればコレが、目覚ましもしくは呼び鈴の役割を果たしてくれたら話が早いんですが――」 「――アナタが、想像した通りの 「……すっ飛んで…だ、と…??」 「…あんな活動的なエストを見たのは――……百年以上ぶりの気がしますね…」
心底驚いた様子でうわ言を呟くかのように言葉を漏らすオーヴェスさん――と、 ――…とはいえ、今更あれこれ思ったところで後の祭り。
「リュ〜ドぉ〜〜〜!!ヴェ〜スぅ〜〜〜〜!!!」
頭上斜め上から聞こえた声に、半分反射で顔を上げる――と、
「とぉ〜〜ちゃくっ!」 「ぅわああ!!?」
ドンッと、スリュドさんの隣に軽やかにしてパワフルに着地したのは、
「わあ!女の子!女の子だぁ!」
ペカーっと笑顔を見せた――と思ったら、その次の瞬間には目にも留まらぬ速さで距離を詰め、
「っ…エストッ、その方は神子だと……っ」 「も〜ヴェスってば失礼だよっ。
オーヴェスさんの注意も何のその――どころか、逆に注意し返したのはメドウグリーンの少女――件のエストさん。
「………」
背を向けたエストさん――の、フードからひょこと顔を覗かせたのは、 ――が、
「もー!ノールってばー!恥ずかしがってないで――出てこーいっ!」 「!!」
一体どーゆーカラクリやら、エストさんの「出てこーい!」の掛け声に合わせてポーン!と彼女のフードから打ち上げられる――ノールさん。 ハリモグラという
「………」
宙から地へ落ちる最中、一瞬の強い光を境に姿を現したのは、 事務的なことを言えば、これから
「――…神子様、改めて自己紹介を。 「…火のスリュド」 「風のエスト!」 「……………土のノール」 「……この地と賢梟ノ神様を繋ぐことは、我々にとって願ってもない事――
かつて放棄された磐座になるはずだった岩の前、そこに一堂に会したのは、賢者ルーファスから その存在を失ってなお、精霊たちに慕われ、尊敬され続けている 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ――と言うが、未曽有の非常事態に前例などない以上、 そして更に、私はせっかちかつ強欲なので――
「では、これより神呼びの儀式を始めます――みなさん、 「ぇ――5m?そんなに??」 「…呼ぶ神の 「ぇえー……」
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■あとがき 因みに、LSAにも四柱の精霊さんたちがおったりします。 |