「今更だが、のんきに来客の相手ができる
トレイさんが焼いたパンプキンパイと、モストロラウンジで提供されているケーキに舌鼓を打ちながら、 …確かにレオナさんの
「…隙間の時間があるだけで、 「……なにか…あったのかい?」 「……ぃえ…あの…………、…また、… 「「………」」
なんとなし、肌に感じるのは「ああ〜…」といった風の呆れ混じれの納得、だった。 …仕方ない――というか、ある意味で自業自得というか、自分の不出来で晒した無様の結果―― だから、団員たちから休憩時間の取得を条件として提示されるのも、
「私と 「…それ、は……」 「クク…そりゃ言い返せねえな」 「……笑うトコです?ソコ」 「ハッ、よくできたモンだと思ってな」 「「……」」
軽く笑って自身の見解を口にするレオナさんの態度に、不謹慎なものを覚えた―― …確かに、私側からすれば、コレはよくできた
「……結局、私は相手の 「…それでいいだろ――…今一時の付き合いだ」 「…」
ご尤もで、 そんな不義理で、そんな不誠実な …でも、そうして心を砕いて築いた うん。それは、わかっている―― …本来たれば、
「マーネェ〜ジャああああ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 「――オふんっ?!」
絶叫と共に、ドアの開閉をスキップして談話室に文字通り飛び込んできたのは一人のゴースト。
「ぇ、な、どっ、どうしました??」 「……………」 「…ドーラさん?」
絶叫と共に駆け込んできた――のに、その理由を口にすることを躊躇っているのは、 …おそらく彼が
「…リコリスが……
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ファンタピアという劇団は、たった一人の団員が欠けただけでも成立しない――…こともない。 ――で、今回失踪したイグニハイド寮所属の演者部門奏者課打楽器班+鍵盤楽器班所属のリコリスさんとは――。 人情と義理で私の様子を見に来てくれたリドルくんとレオナさんに断りを入れ、ドーラさんの案内で向かった先は
「………ごめんなさい……」
酷く苦々しい表情で謝罪の言葉を口にするのは――ヘンルーダさん、だった。 用務員としてリコリスさんが所属するイグニハイド寮の区長であり、 本番を間近に控えた現状で、未だに 二日後に迫った本番を前に、未だ不安に苛まれている――現状、達成できていない課題があるわけでもないのに。 …ただ、だとしても、
「(…ただ今回は、ある意味で――…対等な立場だったからこそ、…だろうなぁ……)」
普段であれば、リコリスさんは打楽器班の班員としてマリンバ、もしくは鍵盤楽器班の班員としてピアノの演奏を担当している。 …
「警告を回すべき――か…」
リコリスさんには、ステージの主役を張れるだけの実力と才能があった――が、その実績は無かった。生前にしても、今にしても。 ――ただ、だからこそ今回の 話を持ち掛けた当初こそ、過去に尻込みして、私の提案に対して後ろ向きだったリコリスさん―― 本当に、リコリスさんの実力も才能も本物で、芸に対する向き合い方だってプロのそれだった。
「…マ、マネージャー……」 「大丈夫だと、思いたいんですけど――…ね、………どーも…イヤな予感がするんですよねぇ……」 「……」 「――とにかく、動きましょうか。 「…――了解」 「ドーラさんはイグニハイド寮で、ジュリさんはここで待機していてください――…リコリスさんが戻って来た時のために」 「は、はい!」 「………正直、その可能性は低いと思うがね。 「…わかっています。だからこその緊急令――私も、手段は選びませんよ」 「ッ…そんなっ…マネージャー…!!」 「――……あ、いえ。リコリスさんをどうにか――する、ことになるかもですけど―― 「「………」」
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「 「……」
オンボロ寮の裏にある森――その奥にある 他意のない穏やかな笑みを浮かべながら、
「私が居なかったら、どうするつもりだったのですか?」 「…足で探すよ――…幸い、私は 「おやおや…ふふふ。あなたにそんなことをさせたとあっては、 「…なら、その博狼さんは私の怒りを買うね」 「…――………ふふっ…ふふふふふふ……!」
売り言葉に買い言葉――といった調子でブレシドに言葉を返せば、 …正直言って、ブレシドの笑い声は意地も悪いし気味も悪い――…のだけれど、
「……」 「いえいえ、あなたを笑っていたわけではないのですよ―― 「……………」 「確かに、彼は大賢者と呼ばれ、人々の尊敬を集めていました――が、 「………」
笑みを浮かべ言うブレシドの指摘に――…鈍い頭痛が奔る。 だから、ブレシドの言葉に嘘はない――彼の大賢者もまた、
「…でも、 「――ふふっ」 「……」 「いやいや、自分の発言と行動を顧みてごらんなさい。 「………………………それでも、 「まぁ、それは確かに」
獣神が、己が神子以外の神子に協力することは――意外と珍しい事じゃない。 でも、だからといってそのやり方が、必ずしも
「…状況が、状況だからね――…手段も体面も選んでる余裕はないの。
かつて有していた――としても今、有していないのであれば、それは持っていないと同義。
「…私 「端から補ってもらおうなんて思ってないよ――今の私が、 「――なるほど、いつか
他意のない笑みを浮かべ、ブレシドが端的な事実を口にする。 …冷静に考えずとも、それは酷く利己的で、理不尽極まりない どう考えても、どう言い繕ったとことろで――やはり、この矛盾からは逃れられないらしい。
「それでも――だ。理不尽で、不義理だとしても――私一人じゃダメ、だから」
もし私が、妥協なんて利口なことができたなら――…きっと、誰にも心配も迷惑もかけることはなかっただろう。 …彼らの存在を言い訳にするつもりはないけれど、
「わかりました。あなたの 「ブレシド………」 「ふふ、それだけあなたたちの『願い』は、この世界において大それたモノということです――
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■あとがき 色んな意味で不穏なことになっております(笑) なんでこんな状況に陥ったのかは、筆者もわからないのですが――とりあえずカオスります。オリジナル話爆走でーす(脱兎) |