東洋の固有の概念の一つに「気」というモノがある―― 気とは多くの場合、生物の体内を流動する生命エネルギー――と解釈されるが、厳密なことを言えば万物に宿っている。五行説的な 因みにこれは、古代中国を始まりとする思想――だけれど、実は
「……お嬢様?」
不意に頭をよぎった最大にして最悪の問題に頭痛を覚えて頭を押さえれば、
「……今更だけど、精霊は 「はい。我々には影響ありません」 「… 「ぁあうん。
釘を刺すように、自身の言う「妖精」が指す存在について言及するのは、オフホワイトの小さなワイバーン――ネフラ。 ジェダとネフラがそれぞれ足で掴んでいるのは―― 普段であれば単身、自力で現場まで駆けつけることろ――なのだけれど、体力温存と要救助者がいた場合を考え、ジェダたちの力を借りていた。
「(飛行術はまだだったからなぁ……)」
賢者の島――の中でも、更に限られたNRC敷地内を生活圏とした場合、 …そのため、長距離移動となれば、誰かの手を借りなくてはならず――…飛行術の授業を後回しにしたことを、少々後悔していた。
「(――とは言っても、私の気持ちの問題でしかなかっただろうけど)」
自らの力で空を
「二人とも、着陸態勢」 「ぅん?まだあるぞ?」 「 「……なるほど、敵対されたと勘違いされては――危険、ですね」 「ゴーストを追い詰めるのは悪手だからね――… 「「…………」」
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「…相手はレムナント、なんだよな?」
目的地――コロシアムから少し離れた場所にある林へ向かう道すがら、不意に話題を振ってきたのはネフラ。 死してなお現世に留まる霊魂を、人はゴーストと呼ぶ――が、その全てが同じ そして今話題に上がっている【レムナント】とは――
「一度堕ちた――…けど、正気を取り戻したタイプの、ね」 「……なんとも言いきれないトコだな…」 「…たぶん堕ちるまでの耐久
だけれど、そんな 若くして治療方法の分からない奇病にかかり、闘病の甲斐なく人生の幕を閉じることになった――青年・リコリス。
「…運が良いのか、悪いのか――ね」
治療法の無い奇病を患い死を迎えた――それは、不運としか言いようがない。 …ただそれが、ゴーストとして
「…外運、は…ない、のかなぁ………」 「あ?」 「いや…今自分がやろうとしていることが生者相手だったら――…と考えたらトンでもないブラックだなぁー…と……」 「………… 「……」
平然と「グレー」と言って寄越すジェダ――に、言葉が詰まる。
「……つーか、仮にソイツの外運が悪かったところで――オマエの 「……」 「…いやネフ、それを言うなら 「………味方の味方が味方とは限らないけどね――」
類は友を呼ぶ――ではないけれど、 人間関係に恵まれたからといって、必ずしも良い人間関係が築けるわけじゃない――
「(――なんて、思ったところで、方針を変える気はないんだけど――ね)」
リコリスさんのことを思うなら、彼がどうなったにしても――この一件から距離置かせるべきだろう。 相手のことを思うなら、周りへの被害を考えるなら、 そこで
「……………………………ユウ、さん…?」
歩を進めるほどに、不快な淀みの気配が確実に強くなっていく――中、
「(…どうする……あの感じじゃあヘタにゃ近づけねーぞ…)」 「(…かといって、彼女の言葉であのゴーストが正気を取り戻すとも……)」
音もたてず、静かに私の肩に停まったのはジェダとネフラ。 幸か不幸か、ユウさんはそういう星の下の子じゃない――彼女は他人の心に真っ直ぐ言葉を響かせることのできる逸材、なのだ。
「うるさい!うるさい!うるさい!!お前になにがわかるんだよ…!
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■あとがき 聖人と罪人、働き者と怠け者――などなど、生前の行いによって、ゴーストたちのランクは均一ではない――と思います。 てかTWLに関しては「魔法」というパワー要素も加わるので、なおさらに「差」があると思います。 ゴーストとは「理を覆すほどの意思によって、現世に存在を留めている」存在、と(勝手に)定義していますが――ファンタピア勢、んな未練やらがあるようには思えんのよなー(オイ) |