リコリスさんの事に決着をつけ、ユウさんの事にも決着をつけ、ようやっと着いた帰路。
「………」
オンボロ寮の玄関前で、ジェームズさんが仁王立ち(たぶん)で出迎え―― ことがこと――ゴーストの悪霊化云々という事態だっただけに、
「只今、全員無事に戻りました」 「………」
ジェームズさんの立腹を理解しながら――も、あえて反省の「は」の字分の後ろめたさも出さず、 ――しかし、今さっき
「ぉお、ようやくご帰還か」
玄関――の壁をスルリと通り抜け、嬉しげな声と共に姿を見せたのは――コルチカムさん。
「――では、そちらの若者をこちらへ」
表情を変えず、それが当然であるかのように、コルチカムさんはこちらに手を差し出し――リコリスさんの身柄を寄越すように言う。 …さすがに、さすがにデカめの前科があるコルチカムさんとはいえ、
「お嬢様、引き渡しを」 「……」 「リコリスが、現状において重要な存在であることは理解しています。 「…――…………ぅん?」
ジェームズさんが、意味が分かるようで解らないことを言う。
「………」 「ククっ……私なら、意地の悪いコトもしただろうが――ダン殿に限ってそれはないだろうさ。 「ほ――…ほぅ?」 「故に、今は誰もリコリスに干渉する気はないだろうさ――良くも悪くも、な?」
そして、良くも悪くもリコリスさんに干渉するつもりは――誰にもない。…なら、それは重畳だ。
「それならよかった――ので、お預けします」 「おや、簡単に手放していいのか?――…二度と、戻ってこないかもしれないぞ?」 「……もし、リコリスさんが逃げ出したなら――即刻追いかけますよ。…何事も、起き得ないでしょうけど」
ストールに包んで抱えていたリコリスさんを引き渡す――と、やはりコルチカムさんは笑みを浮かべ、わざわざな 確かに、リコリスさんが二度と私の前へ戻ってこない――現状から逃げ出す可能性は、ある。
「フフ――いやはや 「………それは…まぁ……コルチカムさんを愉しませるために生きてるわけじゃないですからねぇ――…というか、逆でしょう?兄さんに関しては」
愉快そうにニヤニヤと笑みを漏らしながら「つまらない」と言うコルチカムさん――
「では、私はここで失礼しよう――ジェームズ、貴様も
――そう言って、コルチカムさんは姿を先ほど見た生前の 目の前に、そしてコルチカムさんの事――その以前に。
「………お嬢様、だいぶお話が」
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グラウンドのはずれからの帰り道、遅くなってしまったからと、移動手段に選んだのは―― その振動、風圧、そして時折感じる浮遊感に―― …途中でネフラが披露した大ジャンプには、Gだの風圧だのの相殺が間に合うか肝が冷えたけれど―― ……たぶんあれは…道中の時点でバレていたんだろう―― ドラゴンを駆る――それはきっと、 ――しかし、その光景をドラゴンの
「……二人にこんなこと頼んでるコトの方がよっぽどだと思うんだけどねぇ?」
この度のハロウィーンパレードにおいて、楽隊を乗せるフロート―― そして、
「――だからって、俺たちが 「…という以前に俺たちの姿を見て泣き叫ぶ子供――…で済めばいいが、
ややつまらなそうな様子「そのまま」と言うのはネフラ―― 人間とワイバーンの姿を使い分けて生活しているジェダとネフラ――だが、 精霊を父とし、ドラゴンを母とする――血統としては
「……まぁ、んなカオス引き起こすくらいなら、コッチの方が気楽でいいよな」 「ああ――…個人的には、心が引き締まるような気がして心地いいくらいだ」
――と、このように、本来の姿を ――とはいえもちろん、
「…つーか、本当にオレたちが先頭でいいのかよ? 「あー……。…お嬢様の時点で既に……」 「……ジェダ、キミは私を『おチビさん』と言いたいのかい?ん?んんん〜〜??」 「………いえ…そうではなく……」 「……やっぱ見栄え的にも頭数増やして
相手が誰であれ、確固たる そしてその特徴は、ネガティブな方向により分かりやすく表れ、思うところがあれば、不満があったなら、
「……それは遠回しにウマ役は勘弁願いたいってコト?」 「………ちげーよ」 「……じゃあ更なるスケールダウンはいいの?ドラゴン的に」 「………」 「………――…いえ、ドラゴン的にはどちらでもアウトです」 「……」
自ら「アウト」と言いながら、それを呑むつもりでいる
「…まだ、気にしてんのかよ?」 「いや…まだっていうか………納得に至る
かねてよりの疑問を、今更真正面からぶつけてみたところ、 …おそらく彼らにとって、私の ……まぁ、確かに?お互いの「立場」を考えれば、私が2人の都合を気にかける必要なんてない――
「… 「あった方が、気兼ねはしないよ――二人…に限らず、 「……それでも、
どこか残念そうなジェダの声に申し訳ないものを覚える――けれど、今の私には いつかだったなら、彼らの協力を取り付けた時点で
「…信じられないんだよね、 「「………」」
自分の 自分に対して、揺るぎない自信を持っていたのなら――迷いなく、相手を信じることができただろう。 不出来な指導者に従う阿呆はいない――だから、周りを信じることが、私には難しい。
「…過程違えど結果は同じ――な…。……ったく、ホント性質ワリーなっお前!」 「…………ぇ、…ぁ、うん…」 「…頷かないでくださいお嬢様…。それはネフの嫌味です」 「……………ぇ、ぁ、いや――アレ、どこが嫌味?ご尤もな意見では??」 「……確かに、それが 「 「――」 「しかし俺たち程度の
…――わかっている。 …ああやっぱり、私の目は曇り切っている――
「――はぁ…………ぁあ…恥ずかしい――ね…。…二人が善意で協力してくれてるとか勘違いしてたなんて……」 「…………あ゛?大部分善意だっつの」 「………ぇ?」 「……厳密に言うと好意です」 「…………へ、え??な、なんで??」 「「…――」」 「っ、ぇ――ぉ゛あだァ?!
発言を反転させた上――で、何故か無言でジェダは人の腕を噛み、ネフラは人の頭を噛みだす――というカオスに陥った。
「ぅぁ…ぁあぁぁぁ……!これから練習なのにぃ――ベトベトだあ……!」 「… 「ぅ゛ぐー……――ぅヒえ?!」 「あ゛?」 「――…いや………出来心で」 「……いや、出来心で神子サマ玩具にすんなよ」 「っっ………それっ…神子サマの頭噛んでるネフが言えたコトかな…!」
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■あとがき ドラゴンを駆る――のは、やはりファンタジー好きには憧れオブ憧れ、だと思うのです…! …ただ、「人が乗る(駆る)」ってレベルのドラゴンは、真龍ではなく雑竜――だとすると、騎乗って超難しいだろうな、と思います(苦笑) 因みに、夢主は「龍に気に入られる――が故に振り回される」星の下です。付加されるに至った原因は、某カイチョーと某青い相棒です(笑) |