ハロウィーン実行委員会から引き受けたフロートは、 フロートそのものが舞台装置――というよりは、
「………すげぇ…」 「ふふふ、もっと褒めてくれていいですよジャックくん――ファンタピアの美術部門の総力を結集した作品ですから」
「 初めから、ハロウィーン当日の夜のパレードは
「いやはや、パレードも悪くない――…金と時間があれば変形など、させてみたかったのだがね」 「「「「…変形!!?」」」」 「…なら、お金と時間が無くてよかったですよ…」
満足げな様子で心残りを口にするのは、美術部門は大道具課の課長である――コルチカムさん。 …ただ、コルチカムさんと同格にある美術監督が
「……もしかして、最初から考えてました?」 「ふふっ、ご明察だマネージャー。何かしらのギミックを仕込めれば、と思っていたんだが――なにせ納期がなぁ」 「(…注文出しといて正解だったかも…)」
このフロートに搭載されているのは、車体の色や簡単な装飾などを瞬時に切り替える―― 元の世界においては不可能な ……さすがのさすがに、その時には 知らずこなしていたファインプレーに、我ながら「ようやった」と心の中で頷いている――と、
「――では、この後は 「…最後のパレード、アナタたちが参加しなくていいワケ?」
ハロウィーン運営委員――そのリーダーであるシェーンハイトさんに「任せる」と言葉を預けると、 ファンタピアのサプライズ参加――…それはおそらく盛り上がるだろう。
「我々の不参加は既に周知していますから――…この場面での 「それは……一理あるわね――」
芸能界に生きるシェーンハイトさんだけに、やっていいサプライズと悪いサプライズのルールを分かっているようで、 ワイワイと少し慌ただしいけれど、笑顔でパレードの準備を進める
「さて、我々はパーティー会場へ向かいましょう――…ここからは 「――とはいえ、 「…得手とか 「それは、まぁ―― 「………――その不足を見越して 「…――クク…!私を売った、か――ふふっ…あの妖精もどきも随分と腹が据わったようだ―― 「……それは、しないですよ――…コルチカムさんの働きには感謝してますから――…迷惑もしましたけど」 「それはそれは――ではその迷惑分、ここで挽回するとしようか」
そう言ってコルチカムさんが出現させたのは――いつかに携えていた巨大な銃剣。 何度見ても物々しいその見た目はなんというかガン〇ンス――
「ぇ……あの??」 「乗りたまえマネージャー――コレが私の箒代わりなのでね」 「………」
ファンタジーなのかオカルトなのかSFなのかもうわけわからんですね。
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その盛況が故に、浮足立つゲストの誘導にはやや手間取った観があったけれど、それでもトラブルが起こることもなくゲストたちの誘導は完了し、 そんな中、「ハロウィーン」という季節行事の本義において主役であるゴーストたち―― かつて宮廷やホテルで腕を振るった ゴーストと魂はイコールではない――ゴーストとは、魂に様々な「ナニカ」が纏わりついて形成された ――…ただ、NRCの
「(未練…なのか――……それとも、ただ貪欲なだけ――か…)」
リコリスさんのこと――は、極端な …変な話、私一人――…もしくはリーパー組が対峙するのなら、問題はあっても害にまではならないのだけど……
「(生まれ持ったモノ――…巫女としての
自分には穢れを祓う技能がある――その自覚はあった。 だからそもそも …ぶっちゃけ現代社会からすれば、シャーマニズムも十二分にオカルトなんだけどさァ……。
「(穢れだのを、認識する能力が無ければ、もうだいぶ――………いや、ダメだ。そんな私は――)」 「――こんなところで、何をしているんだい」
賑やかなパーティーの輪から離れた会場の端でアレコレと考え事をしていた――
「……そんなに驚くことかい?」 「……… 「……ハロウィーンの夜に、 「…それは――………寮長殿の、指導の賜物ですねぇ」 「……思ってもないことをお言いでないよ」
呆れと不満を混ぜた息を吐くのは、黒のローブを纏ったハーツラビュルの寮長殿――こと、リドルくん。 お互いがお互いの これまでの自身の行いを顧みた上で、リドルくんは寮生たちに対して歩み寄ろうと行動を改めた――
「リドルくんも、素直じゃないですねぇ――さすがの自分も、友人相手につまらない嫌味を言うほど捻くれてないですよ?」 「……なにを――…………………――っ…?!!」 「ふふふーそこは素直ですねぇ~」
私の言葉を反芻し――ハッと驚いた表情を見せたかと思ったら、恥ずかしいという意味で気まずそうにリドルくんは私から視線を逸らす。
「――それはそうとリドルくん」 「……なんだい…」 「…アルテさんの新作ケーキ、食べましたか?」 「………!?」 「あ、食べてないんですね」
今夜のパーティーで提供されている料理は全てNRCのゴーストたちの手によるもの。 故にこのパーティーの場で、新作のメニューが披露されることは基本ない――のだけれど、
「――こっそり、置いているそうなので、まだ品切れにはなっていないと思うんですが――…早めに、確保した方がいいですよ?」 「…………キミは……いい、のかい?」 「ええ、自分はこの後に大仕事を控えているので――…ここは我慢、です」 「……取り置きしてもらっているのかい?」 「………………――その手がありましたね?!」 「………キミ、意外と視野が狭いんだね…?」
目から鱗――は言い過ぎだけれど、灯台下暗しと言うかなんというか。 人が溢れ、賑わう明るい世界に、今更足を踏み入れるのは億劫――
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■あとがき 「変形」の二文字に反応したのは、デュース、ジャック、エペル、イデアの四名です。 内心では(舞台装置としての関心で)ヴィル様も反応していらしたかと思います(笑) 因みに夢主が「変形」に非積極的だったのは「大掛かり」で「メカニカル」な「派手さ」をウリに(印象付け)したくなかったから、です。 個人的には変形のロマンに深く頷くタイプなので、アレコレ落ち着いた頃に大道具班と変形談義してるかもです(苦笑) |