もう鳴れた。さすがに6度目ともなれば嫌でも慣れる。――木の上での起床は。
 元々、運動神経は悪い方ではないし、高いところもまったく平気。
ただ、唐突な展開に驚いてしまっただけで、それにさえ慣れてしまえばさほど混乱する状況ではないのだ。
…ただ……これは、ない。
 目覚めた瞬間、私がぶら下がっている木を囲むように立っていたのは、
質素な日本風の甲冑を着込んだ足軽――というより野盗に近いような男たち。
みすぼらしい格好に下品な面構え――ああもう、わかりやすい下賎じゃあないか。
 デザインともかくとして、素材はそれなりにいいこの着物。
であれば、身包みはがれて放置か殺されるか。もしくは、慰み者にされるか――
――まぁなにがあっても絶対に私にとっていい展開にはならないだろう。
――…なのだが、これまでの化け物に襲われる展開ことを思えば、
この程度のことはまだ可愛く思えてくるから笑ってしまう。もちろん、自分の図太さをだ。
 下品な笑みを浮かべながら、私の恐怖を煽るようにゆっくりと距離を詰めてくる男たち。
本心では、まったく彼らのことなど怖いなんて思っていないけれど、
彼らの油断が増すように顔を恐怖に歪ませ、枝の上にあげた体を幹に寄せ縮みこませる。
その様子を見た男たちはこの上なく楽しげな笑い声を上げるので、
「ヒッ…!」とでもか細い悲鳴をあげてやればより彼らは慢心した様子で、ずかずかと私との距離をつめてきた。
 そして、男たちはついに私のぶら下がっていた木の真下までやってきたところで――

 

「なにィ!?」

 

 ズダンッ!と枝を蹴り、男たちの頭上を軽く飛び越え――大きく彼らと距離をとる。
そして0.の間を空けて、私は駆け出した。
 ハッと我に返った男たちがあとを追ってくるけれど、半分の力でもまず追いつかれることはないだろう。
質素とはいえ、相手は鎧を纏っているのだ。その分、動きが遅くなるのは当然のこと。
それに、元々私の脚力は平均よりも上――それはたとえ相手が大人になろうと変わらない。
だから、彼らから逃げることは土地勘がなくとも様なはず――なんだけれど、

 

「っ!?」
「なんだ?女??」

 

 逃げた先で出くわしたのは、私を追いかけて来ている男たちとほとんど変わらない姿格好の男たち。
「まさか」と思うより先に後方から「その女を捕まえろ!」と声が上がり、私にとって悪い方向に事態が転がったと理解する――と、
ほぼ同時か僅かに遅れてか、私に向かって男たちの手が伸びる。
でもそこを私はサッカーのフェイントの要領でかわしていった――んだけれど、
私の計算から漏れたスカーフのようなマフラーを男の一人に掴まれ、思わず立ち止まってしまった。
 マフラーを引かれ、男の方へと引き寄せられる体――でもとっさにマフラーに手をかけ、
そのまま乱暴にマフラーを取り、再度この場から逃げようと試みる。けれどそれよりも先に別に男に腕を掴まれ――

 

「ぐほっ!」

 

 ――るものの、その引き寄せられる力を利用して男の右頬に向かって蹴りをみまう。
まさかこちらが攻撃に打って出るとは思っていなかったであろう男はモロに蹴りをくらい、
私の腕から手を離した――ついでに、後ろから追ってきていた男の方へとぶっ飛んでいった。
 和服にブーツ――なんて、かなりコスプレ的な組み合わせだけれど、今回ばかりはこれに感謝しなくてはならない。
これがスニーカーやら草履だったらこれほどの打撃にならなかったのだから。
ついでに、格闘技について色々色と教えてくれた勇にも感謝だ。あの授業がなかったら今頃どうなっていたやら……。
 なんて、懐古している暇はない。
自分が蹴った男の顛末にも目をくれず、再度後ろへと目を向け、そちらへ向かって走り出そうとする――けれど、
この男たちの中に頭を使えるヤツがいたのか、今の僅かの間によって後ろをふさがれ、
左に目を向けた瞬間には左右を男立ちふさがれてしまった。
 リーダー格らしき男が勝ち誇った様子で「観念しろォ!」と声を上げる。
当然、観念など小指の先すら程もしてやりたくはない――が、
みすぼらしいが鎧を纏い、ボロボロだが一応刀を持った10人近い男たちを立ち回れるほど――私は戦い慣れなんてしていない。
無鎧、無手のあの男たちなら希望もあるけれど、武装されるとてもきつい。私じゃ無理だ。
……かといって、無抵抗にアイツらのモノになってやるのも癪だけれど。
 腰に差された小刀を引き抜く。前の世界さきほどのように特別な力が宿っている――わけではないようだけれど、
それでも刀を持つ相手に対して、こちらがまったくの無手ではなくなったことはとても心強かった。
…ただ、人に刃を向ける感覚――その恐怖は酷く気持ちが悪い。
もちろん殺すつもりはないけれど――それでも人を手にかけるかもしれないという事実がただただ恐ろしかった。

 

「テメェら、せっかくの上物だ。殺すんじゃねェぞ――お゛っ…?」
「頭…っ!?」

 

 リーダー格の男が部下たちを鼓舞する――が、それが終わると同時に男は吸い込まれるようにして地面へと落ちる。
静かに――だが大きく動いた事態に、男たちはオロオロとうろたえだすが、
不意にそのうちの一人が「コイツの妖術だ!」と私のせいだと言い出した。
 まったくもっての濡れ衣だが、格好が格好だけに
「違う」と言っても説得力はない――し、冷静さを失っている彼らになにを言ったところで聞き入れてはくれないだろう。
――けれど、これならば彼らの隙を突いて逃走するのは先ほどよりは簡単になっている気がする。
 ――といっても、その必要があるかは些か疑問だけれど。
 小さなうめき声を上げ、次々に倒れていく男たち。
呆然とその様子を見守り、最後の一人がパタリと倒れたところで――ストン、と迷彩柄の忍装束を着た人物が現れ、
不意にクルリとこちらに顔を向け――ニコと人好きのする笑みを見せた。

 

「大丈夫?」
「は、はい…」
「アンタが――ちゃん?」
「はい…そうです」
「そっかそっか、いやー驚いちゃったぜー。
ただの女の子――って聞いてたのに、あの身のこなしにあの蹴り!ただの女の子にゃあ、とてもあんなことできないぜ〜」
「…多少、試合慣れはしているので……」

 

 私の言葉の意図を察したのか、「ふぅ〜ん」微妙な納得の声を漏らす迷彩のお兄さん。
まぁ、ただの女の子と報告されていたなら――私のアレは誤差どころの話ではない差異だろう。
 でも、この世界のくくりで言えば私は「ただの女の子」だ。
多少、護身術から飛び出した対人戦闘の研鑽を積んでいるものの、
それは試合の中だけで通じる飾り物の力でしかないのだから、ないも同じだろう。
…まぁ、現代ではそれなりに役立つんですけどね。
FF決勝戦あのときは意表とトラウマを突かれまして遅れをとりましたがッ。

 

「えーと……どうかした?」
「ぇ、あ…!す、すみません…ちょっと嫌なことを思い出してしまって……」
「そうなの?じゃちょっと休んでいく?」

 

 山を降りることになるのでそれなりの距離を歩くらしく、
お兄さんを私を気遣って休息を提案してくれるけれど、そこを私はあえて大丈夫だと言う。
 確かにあれは嫌な思い出だが、そこまで気力を持っていかれるようなことじゃない。
それに、できることなら一秒でも早く安全な場所で一息尽きたのが本音だった。
…まぁ、安全な場所なんてあるかどうかわからないけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迷彩のお兄さん――佐助さんの案内で私がやってきたのは甲斐の国――そしてその国主が住まう城。
戦国時代に伝説的な偉業を成し、後世でも多くの小説やドラマなどでその人生を描かれることの多い、スター級の戦国武将――武田信玄。
それが私がやってきた城の城主の名だ。
 戦国この時代的にも、後世的にも有名人――というか、とにかくもう偉いさんである武田信玄公。
だというのに、一応ただの女の子扱いの私がこの城に入ることが許されたかと言えば、
それは「」という人物が私を城に連れてくるように佐助さんに頼んだから――らしかった。
 聞き覚えのない名前――ではあるけれど、そのさんが夢主であることは確信している。
でなければ私を探すわけも、自分の元へ連れてくるわけもないんだから。
…しかし、さんというのは一体どういう人物なんだろうか?
武田の城に出入りできて、個人的な理由で佐助さんしのびを動かせるんだから、武将か武田の姫――というところだろうか?

 

ちゃん、連れてきたよ」

 

 色々考えている内に、目的地――話題のさんがいる部屋までやってきたらしい。
佐助さんに「ほら」と促され、彼の後ろからひょいと前を覗き込めば――
――そこには錆色の髪をサイドでくくり、落ち着いた赤の着物を着た少女が立ち上がり、こちらへ向かってやってきていた。

 

「ああ、よかった…。ありがとう佐助っ、本当に助かったわ…!」
「ん、お役に立て何なり何より――それじゃ、お邪魔虫は退散するわ」
「ええ、そうしてちょうだい」
「「…………」」

 

 先程までの感謝いったいどこへやら――ニッコリ笑顔で佐助さんをお邪魔虫認定したさん。
そのあんまりにあんまりな移し身に苦笑いしていると、
私よりも回復が早かったらしい佐助さんは「じゃあね」と苦笑いで言って廊下の奥へと去って行く。
それに対して私は改めて「ありがとうございました」と礼を言って頭を下げれば、
佐助さんは顔だけをこちらに少し向けて「気にするな」と言わんばかりに手をヒラヒラと振ってくれた。
 佐助さんの後姿を見送っていると、不意に手に暖かい何かが触れる。
反射的に暖かいそれに視線を向ければ、それはさんの手で。また無意識に顔を上げれば、
本当にホッとした様子のさんの顔があった――けれども、
ふとさんはその表情をくずして苦笑いを浮かべて「立ち話もなんですから」と言って私の手を引いて、
自室なのであろう部屋へと招き入れると二つある内の座布団の片方へと座るように促された。
 さんに促されるまま座布団に座ると、当然その向かいに敷かれた座布団にさんが座る。
しかし、彼女の方から私に話題を振ることはなく、ただただ嬉しそうに微笑んでいるだけ。
居心地が悪い――わけではないけれど、なんとなくこの沈黙は――ああやっぱり居心地が悪い!

 

「あのっ、知っているかとは思いますが、御麟です。この度は助けてくださってありがとうございました…!」
「…助け、て……?…もしや道中になにか…?!」
「ぁ、はい…。目が覚めたら野盗に囲まれていて…――でも、佐助さんのおかげで事なきを得ました」
「そう…でしたか……。…怖い思いをされましたね……」
「あー…存外そうでも……。さすがに小刀これを構えたときは…怖かったですけど……」
「……人を殺す――それが、ですか?」

 

 どこか自嘲の混じるさんの問いに、私は静かに頷く。
きっと、さんは自分の鈍感さ加減を嗤っているんだろう――他人の命を奪うことへの恐怖を忘れた自分を。
 でもそれはさんに限った話ではない――としても、さんは納得しないんだろう。
こうして、天と地ほどの差のある世界を生きている私たちだけれど、所詮は同じ穴のむじなだ。
彼女も彼女で――相当に、頑固者なのだろう。

 

「ふふふっ……」
「?どうかされましたか…?」
「いや…なんでもないよ――ところで、はいくつ?」
「は…?…えと、14ですけれど……?」
「そっか、じゃあ同い年だ――…はっ、その歳でこの落ち着きよう……環境って恐ろしいわね」
「そ、そんな…っ。さんも落ち着いているではないですか…。私なんて…私、なんて……私…?…………はっ!!

 

 急に何かを思い出したように、がばっと立ち上がる
その姿に先程までの落ち着いた雰囲気は一切ない――うえに、なかなかに慌てているらしく、
彼女よりも状況をわかっていない私の手をはしと掴むと、そのままなにも言わずに歩き出した。
 当然、立ち上がってすらいない私なのだから、に引きずられる――
――所だったけれど、そこはなんとか立ち上がって、手を引かれるままの後に続く。
廊下から靴を履き裏庭へと出て、パタパタと走るの後に続いて走っていく――と、ふと見えたのは金網の張られた小屋だった。
 不意にぱっと離された手。
一瞬、反射的にその手を見てみるけれど、それよりも先には目的の場所――鷹たちが休む小屋へ入ってく。
 え、まさか――

 

「あぶぶぶっ…!」

 

 に小屋から出してもらうや否や、私の腕の中に飛び込んできたのは本来の姿をした紅尾。
 ただ、知能としてはファンタジー基準のようで、
落ち着くように言いながら背中を撫でてやれば――すぐに落ち着いて私の腕に収まった。

 

「この子が、さんの居場所を教えてくれたんですよ」
「……そっか、そうだったの――ありがとう、紅尾」

 

 紅尾がいないのはそういう仕様か――と思っていたけれど、
そうではなく、危険を察知した紅尾が私のために頑張ってくれていたらしい。
 自分のできることできないことを理解して動いてくれた紅尾を褒めるように、
そして頑張ってあの事態をに伝えてくれた紅尾を褒めるように、胸を撫でてやれば、紅尾はとても嬉しそうな声を漏らす。
その様子を見て、思わず目を細めていると、不意に「微笑ましいですね」とが笑った。

 

「愛情深く、育てられているんですね」
「弟――のような、我が子のようなものだから。…一応、甘やかしすぎないようにはしてるんだけど」
「ちゃんといい子に育っていると思いますよ。…ふふ、私たちも負けていられないわね、夏焔?」

 

 そう言って、が視線を向けた先にいるのは――赤みの強い茶色の羽を持つ一羽の鷹・夏焔。
の言葉を――どういうわけやら理解しているらしく、当然だというかのようにコクリと頷いてみせる。
……あれ?ファンタジーなしの世界じゃなかったの、ここ。……あれ…?でも………。

 

「ねぇ?」
「はい?」
「さっきの佐助さんって――猿飛佐助?」
「?はい、そうですよ?それが――どうかしましたか?」
「ああいや…。…一応聞いておくけど、佐助さんの雇い主って……真田幸村様?」

 

 思うところあってを質問攻め――すると、佐助さんの雇い主を尋ねたところで、
の答えが止まり、なおかつ表情が酷く迷惑そうなものに歪む。
 何か地雷を踏んでしまったか――と思い、前言を撤回しようとするけれど、
それよりも先にが呆れた様子で「はい…」と肯定――猿飛佐助の雇い主が真田幸村であることを認めた。

 

「…それで、ここは信玄公が治める甲斐の国――なのよね?」
「はい…そうです。………なにか…あるのですか…?」
「いやいや、大したことじゃないから」

 

 佐助さんから武田信玄の名を聞いた時点で気づくべきだった。
史実的に、武田信玄と真田幸村の人生はおよそ交わらないと言っても過言じゃない。
それなのに真田十勇士をしたがえて真田幸村が武田信玄に仕えている――もうこれはある意味で完全にファンタジーだろう。
 であれば、多少――いや、だいぶ飼い鷹の知能が高くとも、色々と納得いかないこともない。

 

「縁起でもないことは百も承知だけど――信玄公はご健在?」
「え、ええ…それもち――」
「なんと無礼な!お館様は天下無双の武人であらせられるぞ!」

 

 のセリフを遮り――怒鳴ったのは、
赤いレザーの短いジャケットを直に羽織った、赤い鉢巻を締めた茶色のツンツン髪のお兄さん。
首には6枚の古銭を通したネックレス――のようなものをしていた。……アレ?まさかこの人……。

 

「……申し訳ありません…。何分、世間の流れには疎いもので………」
「兄上!なにも怒鳴ることはないでしょう!それにっ、さんはちゃんと断ってから質問なさったんですよ!?」
「だっ、だがしかし!お館様の健在を確かめるなど…!」
「ですからっ、ちゃんとそれを断っていたんです!
それともなんです?!この程度のことでお館様がどうにかなるとでもお思いですか!」
「なにをぅっ!そのようなことこの幸村、毛の先ほども思っておらん!」
「でしたら!怒鳴ったこと、ちゃんと謝ってくださ――」
「はい、どーどー
今のは怒られても仕方ないわよ――まったく、あのおしとやかなはどこいったの?」
さんっ……!」

 

 真田幸村を「兄上」と呼んだ――のことも気になるけれど、まずはを宥めて場を落ち着かせる。
すると、それに同調するように幸村さんの気も落ち着いていく。
それを見計らって再度「申し訳ありません」と謝れば、それに幸村さんは「…某も怒鳴ってすまなかった」と謝罪してくれた。
 …いえ、謝罪までは望んでいなかったんですけどね。
でも、の言葉がそれだけ響いてたってことか…。面白い兄妹だ。

 

「ははっ、真田兄妹の口喧嘩に割りこんでくとか、ホント胆が据わってんなーちゃんは」
「「佐助っ!」」
「口喧嘩の仲裁、慣れていますから」

 

 いずこかからかスルリと姿を見せたのは佐助さん。
おそらく幸村さんの陰に隠れて様子を伺っていたんだろう。
 それをさほど気にせずに思ったことを返せば、佐助さんは一瞬きょとんとした表情を見せたものの、
次の瞬間には面白そうに笑って「いいねー」と言って――

 

「武田の女中としてお雇いできないの――ちゃん?」
「なっ、なにを言っているの佐助!」

 

 胆の据わり具合――いや、おそらくはこの真田兄妹の口喧嘩を止めた器量ちからを買われたらしい私。
なにを言っているのかと怒るに、佐助さんは「だって」と更に言葉を続けようとする――が、
それよりも先にが息巻いて話し出した。

 

さんを女中になどとんでもない!
できることなら軍師としてお迎えして、叶うことなら武術の鍛錬を積んでいただいて、
武田の一武将として甲斐の平和のために共に戦っていただきたいというのに…!
さんを女中に留めておくなど勿体無い!罰当たりですよ!!」
「ああ、あー…そう、そうなの…。いやー、信頼されちゃってるねーちゃん」
「まったく思い当たる節がないんですが……」

 

 なぜか武将と一人として迎えたい――なんていう本音をぶちまけた。しかし、の本音はだいぶ不可解だった。
 こちらの世界から見てばぬるま湯どころではない現代から来た私が武将とか…。
確かに戦略系には強いっちゃー強いけれど、それも所詮はサッカーフィールドに限ったこと。
それにそもそも命がけの戦いに甘ちゃんの戦略が通用しないはず。それをわからないではないと思うのだけれど……。

 

「そこまで言うのであれば言えばいいではないか――共に戦って欲しいと」
「兄上…」
「誠心誠意、真っ直ぐお前の思いを伝えれば、ちゃんと通じるはずだぞっ」
「…そう、ですね――…でも、思いが通じても……!どうにもならないこともあるんですー!!」
「のわー!?こ、こらっ!や、やめっ…夏焔――あいたー!!」

 

 勢い余って幸村さんに向かって夏焔を放った
もうこの風景は彼らにとっては日常風景なのか、「あーあ」と言いながら佐助さんは私の横に立った。

 

「止めないの?」
「…なんだか阿呆臭くなりました」
「………だよねぇ…」
「佐助さん」
「…なにかな」
「これからも頑張って!」
「うわー無責任ー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■あとがき
 超久々の戦国BASARA。本気で幸村の口調がこれであっているのか不安でなりません(汗)
幸村の口調って独特で難しいですよね…。つか、叫んでばかりで通常会話の資料が少ない(笑泣)
 個人的に、稲妻11夢主と佐助のコンビが楽しかったです。あーでもないこーでもないと雑談してたらいい(笑)