全国にチェーン店を展開するイレブンカフェ。
その中でも、老舗店と呼ばれる店舗や、特に人気のある店舗も存在している。
そして、その中でも特に優秀な店舗は、その店舗のチェーン店があるものもあった。
:(雷門店の視察は後回しにするべきだったか…)
現在。が向かっているのは、
イレブンカフェの中でも、突出して高い人気を誇る店舗――
帝国イレブン店の新たな支店である第7帝国店だった。
本来であれば、彼女がこの第7店舗に関わることはなかったのだが、
様々な事情が重なって、この店舗のマネージメントを任されることになっていた。
因みに、本人の知らないところで勝手にだ。
だが、この帝国第7店舗を彼女に任せたのはイレブンカフェの本社。
しかも、の上司の上司の上司からの任命――文句の言いようはなかった。
イナズマイレブン×カフェ
帝国イレブン編
店員一同:いらっしゃいませ。
佐久間:――って、お前か。
:お前か――と、思っても、口に出さないでいただけます?
鬼道:……随分と余裕のないご登場だな。
:すみません、綺麗にスルーするのもやめていただけますか。
成神:でも、御麟さんらしくないですよ?いつも余裕もって来てくれるじゃないですか。
:…前店舗の仕事が思うように進まなくてねぇ。
鬼道:…お前も大概に酷くないか?その贔屓は。
:仕方ないじゃない。
アンタたちと成神くん、比べるべくもなく成神君の方が可愛いんだから。
鬼道・佐久間:なんだその理屈。
不動:…オイお前ら、店先でアホな言い争いしてんじゃねーよ。
月高:ちょ?!不動!?!
鬼道:……コイツと同じ括りにされるとは心外だな。
佐久間:まったくだ、コイツがアホ呼ばわりされるのは当然だが、
俺たちまで一括りにされる謂れはない。
月高:って!佐久間と鬼道さんもなに言ってるの?!
成神:つか、オレたちよりも月高先輩の方がアホですよ(笑顔)
月高:ぅわあ゛ぁ゛…。
不動:…………。
(onマウスで絵が変わります)
不動:…お前らも、さっさと仕事戻れよっ。
ぐったりとしている月高を引き摺って、その場を去って行く不動。
:……いつの間にやら、不動くんはすっかりギャグ担当になったのね。
成神:相方が相方ですからね。
:でも、月高のボケを引き出してるのは不動くんじゃなくて、成神くんよね。
成神:だって面白いんですもん!
:うん、可愛いから許す!
鬼道:……、お前がそうやって成神や洞面を甘やかすから……!
2人のイタズラがエスカレートして源田と月高にどれだけの負担が…!!
:私が甘やかしたって、アンタがしっかりしていれば営業時の統率はとれるはずでしょ。
まぁ、仮にアンタがしっかりしなくても――
寺門:…成神。
成神:ゲッ。
寺門:また、月高たちに迷惑をかけたようだな。
前回で懲りていないお前には――もう少しキツイ説教とお仕置きが必要なようだな。
成神:御麟さん!助けて!助けて!
:ごめんね成神くん。そこ、私の管轄外!(笑顔)
成神:お役所仕事!?
寺門:残念だったな成神。
御麟は店舗マネージャーであって、人材マネージャーじゃない。
寺門:御麟、奥で音無たちが待っているぞ。
:マジでか!?
寺門:そもそも、視察じゃなく、そっちとの打ち合わせがメインじゃなかったのか?
:……あ。
寺門:しっかりしてくれよ、マネージャー。
…では、俺は成神の説教にいってくる。
成神:まじめに仕事するからそれだけは勘弁してくださいーっ!
佐久間:まっ、頑張れよ成神!
寺門:そらっ、いくぞ。
寺門に首根っこ掴まれて退場する成神。
:さ、春奈たちのところへ行きましょうか。
鬼道:…意外に切り替えが早いな。
:いや、端に成神くんよりも春奈の方が可愛いから。
鬼道:……。
:遅れてごめ――
小鳥遊:遅い。
:私は悪くないわよ?
小鳥遊:私も悪くないわよ。
佐久間:小鳥遊ィーーー!!!
小鳥遊:近寄るんじゃないわよ。制服汚れる。
:そうそう、忍と春奈の制服は特別高くて、クリーニング代も安くはないのよ?
佐久間:なら、御麟が当たればよかったんじゃないのか…!このパイはっ…!!
:この後の仕事に差し支えるじゃない。
佐久間:俺も差し支えるんだが…!
:いいじゃない。ここ、シャワールーム完備の特別待遇店なんだから。
小鳥遊:佐久間、アンタさっさと着替えてきなさい。
クリームだらけのアンタがいるといつまでも片付かない。
佐久間:ぶつけといていけしゃあしゃあと…!
源田:佐久間、ここは抑えて着替えて来い。お前だってそのままじゃ気持ち悪いだろ?
佐久間:………チッ。…わかった、着替えてくる。
クリームまみれの佐久間退場。
:おー、さすが源田くん。
源田:…まぁ、いつもこんな調子だからな(苦笑)
春奈:でも、パイはやりすぎですよ忍さん!
小鳥遊:遅れてくる御麟が悪い。
:確かにそれは悪かったわよ。
ただ、パイ投げされるほどの悪いことをしたという認識はないけど。
鬼道:…参考までに聞くが、どこの店舗に行っていたんだ?
:雷門。
春奈:そうだったんだ!お姉ちゃんっ、木野先輩たちは元気だった?
:ええ、みんな相変わらずで困るぐらいよ。
春奈:ふふっ、そうなんだ!
小鳥遊:音無、雷門は同期のライバル店。
そこの従業員が元気で健やかだと、こっちとしては不都合なんだけど。
鬼道:だが、弱り目の雷門に勝ったところで、その勝利に意味はない。
最強の雷門に勝たなくてはな――帝国の名折れだ。
春奈:うんっ!そうだね、お兄ちゃん!
小鳥遊:………そう。
源田:さすが鬼道。帝国イレブン店の店長だよ。
:(…なんだかんだで、鬼道あってのこのチームなのよねぇ…。
……いや、いいんだけど)
源田:ところで御麟、前回詰めた新商品のことなんだが――
:確か…今日までに試作を用意するって話になってたわね。
源田:ああ、それで音無と小鳥遊に意見を貰って作ってみたんだ。
:………ふむ…。(真剣な表情で試作品を吟味する)
鬼道:(もう少し…、普段から真面目にしていれば――
俺たちも大人しく話を聞こうと思えるんだがな…)
:よし、だいぶ完成が見えてきたわね。
源田:あとは材料の仕入れルートと値段設定だな。
:仕入れのルートはこっちでめぼしいところをピックアップしておくわ。
明日にでも更に詰めて、近いうちに新商品と出せるように頑張りましょう。
源田:ああ、よろしく頼む。
小鳥遊:……こういうときの御麟は、御麟じゃないみたい。
:忍、今凄く失礼なこと言った自覚ある?
小鳥遊:ない。
春奈:あはは…。でも、やっぱりお姉ちゃんはすごいんだよね!本社勤めなんだもん!
鬼道:下っ端だがな。
源田:…だが、俺たちは本社に雇われてる影山総支配人から、更に雇われている身なんだけどな。
鬼道・小鳥遊:………。
:でもまぁ、本社は能力のある人間大好きだから、
成績さえ上げれば本社からの引き抜きなんてすぐよ。
鬼道:そんな簡単な話なのか?
:悲しいかな、簡単な話なのよ。
――っと、そろそろ行くわ。
春奈:雷門に戻るの?
:いや、次は――お日様園。