全国に展開しているイレブンカフェは、どの店舗もある程度の賑わいを保っている。
しかし、人気店もあれば、不人気店もあるわけで、
そんな店舗の再プロデュースを、マネージャーが任されることもあった。

 

(新しい制服、今日納入だったはずだし――少しは雰囲気変わったかな?)

 

本来であれば、再プロデュースはある程度の経験をつんだマネージャーに任されるのだが、
必要以上に能力を買われているらしい彼女は、なぜか再プロデュースを任されていた。
もし、この仕事が上手くいけば、スピード出世も夢ではない。
出世に興味がないわけではない彼女としては、これは願ってもないチャンスだが――

 

(面倒な案件が立て込みすぎなのよ…!)

 

新人にはキツイ掛け持ちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イナズマイレブン×カフェ
お日様園編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロト・リュージ・キーブ:お帰りなさいませ、お嬢様。

 

 

 

………。
ヒロト:「まずは形から作戦」、失敗だったみたいで(苦笑)
リュージ:だーれも全然意識変わってないよー?
布美子(キーブ)発想はよかったと思うんだけど、みんなの我がそれを上回ったみたいね(苦笑)
〜〜〜……。
ヒロト:と、とりあえず、新制服のチェックをしてもらっていいかな?
    俺たち的には問題はなかったんだけど、御麟さんしかわからない不備があるかもしれないし。
……そうね。まずは一歩ずつ前へ着実に進むしかないわよね…。
リュージ:千里の道も一歩からってね!
…なんで1日に2回もそのセリフを…!!
リュージ:あれ?オレなんか地雷踏んだ??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロト:みんなー、御麟さんが来たよー。
晴矢:んだよ、随分と遅――がふっ!
玲名(ウルビダ)オイ御麟!この制服はなんだっ!!
(アイシー)こんな制服で仕事なんてできないわよ!

 

 

 

 

 

 

おおっ、思っていた以上に可愛い!
クララ:ふふ、ここは「さすが」と褒めてあげるわ。
ふむ、クララも問題ないみたいね。
玲名:私たちを無視するな!御麟、本当にこれはどういうつもりだ!!?
メイド服を着れば、少しはお客様を敬う気持ちが芽生えるかと。
クララ:それにしては、玲名たちの制服はコスプレ要素が強すぎるわね。
羞恥心が芽生えれば、少しはお淑やか――いや、大人しくなるかと思って。
クララ:あらあら、見事に裏目に出たわね。
愛:とにかく!この恥ずかしい制服を何とかしてよ!こんなんじゃ動きづらいし……っ。
無理。もう資金残ってないから。
愛:はぁあ!?
玲名:なっ、お前…それでもマネージャーなのか?!!
……いつまで経っても玲名たちの意識に変化がないから、
    こんな荒業を使わざるを得ない状況になったのよ。
    もう後には引けない状態なんだから、いい加減腹括ってもらわないとね。
晴矢:だがよぉ、これでこの店が大コケしたら――アンタの立場、ないよなぁ(ニヤリ)
ついでにこの店とアンタたちの明日もないわね。
晴矢:………。
風介:しかし、この設定が私たちにハマっているとはとても思えないが?

 

 

 

 

 

 

じゃあ、はめてください。
晴矢:丸投げかよ。
…そもそも、アンタたちのビジュアルとキャラクターはかなりのハイレベルなんだから、
    ふつーに営業していれば、それなりの収益が上がるはずなのよ。
    …なのに、前の設定引き摺ってまともな接客できてるヤツ少ないし…!
晴矢:…あれは画期的な設定だったからな。
ヒロト:画期的っていうより……前衛的というか、奇才色が強かったというか…。
リュージ:苦労したもんなー。宇宙人のキャラ作り。

 

 

 

 

 

 

あれは一般人にはハードルが高すぎたわ、ほんとに。
玲名:当然だっ。あの設定はお父様が私たちのために考えてくれたものだからな!
莫大な費用かけた割りに実りがなかったみたいですけどねぇ。
玲名:収益など大した問題じゃない!!
    お父様の理想を現実にできたことに意義がある!!
いやいやいやいや。
クララ:でも、前店舗の負債はお父様が負ってくださったから、
     本社の不利益にはならなかったんでしょう?
まぁね、金銭的な「貸し借り」はないけど、
    企業的と言うか、個人的な「貸し借り」は残ったと思うわよ。
    …それと、瞳子さんはサブマネージャーとして本社で一から頑張ってるらしいわよ。
玲名:……ぅむ…。
布美子:私たちも、頑張らなくちゃね。お父様のために。
玲名:…………店の掃除をしてくる。
布美子:じゃあ、私も手伝うわね。
クララ:私も手伝おうかしら?
     ――ああ、愛も手伝ってくれるわよね?
愛:ま、まぁ…手伝ってもいいけど……っ。
クララ:それじゃ、私たちはお店を掃除してくるわ――ふふ、これで貸しひとつね(笑顔)

 

控え室から出て行く女子軍。

 

………。
風介:面倒な相手に貸しを作ったものだね。
…わかってるわよ……。
晴矢:でもよ、クララに貸しひとつ作っただけで玲名を説得できたんなら、安いもんじゃねーのか?
・風介:…………。(物凄く残念そうな表情で晴矢を見る)
晴矢:な、なんだよっ!!
茂人(ヒート)晴矢…あんまり彼女と一緒になったことないからね…。
        仕方ないといえば仕方ないんだけど……あはは…。
ヒロト:そっか…晴矢は幸せ者だったんだね。
晴矢:だからっ!なんだってんだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……して、キッチン組も相変わらずね。
ヒロト:一度、メンバー編成を改めた方がいいんじゃないかな?
…でも、下手に離すと反発が酷そうな……。

 

 

 

 

 

 

バックヤードでのケンカはただただ不毛なんだけどねぇ…。
マキ(マキュア)あ!!聞いて!聞いて!隆一郎がマキの邪魔ばっかりするの!
隆一郎(ゼル)なに勝手なこと言ってんだ!お前がオレの邪魔をしてるんだろうが!
(メトロン)た、正しくはお互いに――なんですが…(苦笑)
わかってる、わかってる。
マキ:ひっどーい!マキ、治先輩のために頑張ってるのにー!
隆一郎:どこがだっ。オレが手伝おうとするとすぐに邪魔してきやがって!
マキ:それマキのセリフ!邪魔してくるのは隆一郎ー!
そう、2人とも正しいのよ。だから――2人ともフロアに異動。
マキ:えー!!
隆一郎:なに!?
諭:あの…俺はー…?
諭はこのままバックヤード。異動するのはマキと隆一郎だけ。
隆一郎:ちょっと待て!どうして諭だけ残るんだ!
マキ:ずるいずるーい!諭だけずるいー!
まぁまぁ落ち着きなさいな。なにもずっと異動ってわけじゃないんだから。
マキ・隆一郎:
フロアでいい成績上げた方は、こっちに戻ってもいいから。あ、因みに先着順ね。
マキ・隆一郎:
諭:えぇっ?!そ、それは危なくないですか!!?
不毛な争いを続けるよりはずっといいわよ。
ヒロト:(わー…今まで以上にフロアは騒がしくなりそうだなぁー…)
マキ:マキ、着替えてくる!
隆一郎:あっ!…くそっ、ヒロト!男子の制服どこだ!
ヒロト:はいはい、教えるからそんなに焦らないでくれよ。
隆一郎:あ゛ー!平然としてないでさっさと案内なりなんなりしろっ!

 

バタバタと3名退場。

 

諭:……い、いいんですか?あの2人を野放しにして…。
野放しにはならないわよ。
    フロアの仕事に支障が出れば、フロアの連中で収めるだろうから。
    まぁ、最初のうちは諭にお呼びがかかるかもしれないけどね。
諭:(守りを捨ててるなぁ……)
あ、そうだ。――砂木沼さーん。

 

 

 

 

 

 

砂木沼:……………。
風子(クリプト)ごめんなさい。今、凄く集中しているから…(穏笑)
…ケーキ作ってるはずなのに、まるで陶芸品でも作ってるかのようよね。
諭:何事にも全力投球の方ですから…(穏笑)
(…酷い温度差だ……)
風子:ところで、彼に何の用だったの?
ああ、さすがに3人じゃ辛いだろうから、フロアで欲しい人材がいれば教えてほしくて。
風子:ああ、そういうことなら私に任せて頂戴。…そうね、茂人くんをよこしてもらえないかしら?
・諭:!!?
風子:あら、冗談じゃないわよ?実際、治も茂人くんの腕を見込んでいたもの。
諭:で、でも風子姉さんっ、フロアから茂人を連れてきたらフロアがカオス状態に…!
      ご、御麟さんも何とか言った方が…!!
……………逝くところまで行くか…?
諭:え、ちょ…!?
風子:ふふふ、これは茂人くん引き抜きは前向きに検討してもらえそうね(笑顔)
諭:ええー……(滝汗)
…………風子さん、これ帝国の源田くんから預ってきたので、
    砂木沼さんに渡しておいてください。
風子:ええ、わかったわ。
……それじゃ、私はこれで。

 

真剣な表情でキッチンを後にする

 

諭:ほ、本当に大丈夫なのかな……(滝汗)