【 何だこの状況 】
ユートに強制連行されやってきた【イムペリウム魔法店】。
何かがあったのだろうとは思ったけれど、
私の目に飛び込んできた映像は、まったくわけのわからないものだった。
【ハルナ】
レイリお姉ちゃーん!助けてー!!【???】
ウッシッシッシ!誰に助けを求めたって無駄だぞ!
もう契約は交わされたんだ!契約破棄はもーっと大変だけど、したければしたっていいぜ!【ユート】
なにが「契約は交わされた」だ!
俺とハルナを騙して成立した契約が執行されて堪るか!【???】
なに言ってんだよ。俺は悪魔なんだぞ?人を騙して契約結ぶのが本業だってんだ!【ユート】
何だと貴様…!!【レイリ】
はい、ちょっとタイム。
ユート、人呼び出しといて放置はないんじゃない?【ユート】
……今のやりとりを聞いていれば十分に状況は把握できたと思うが。【レイリ】
まぁね。
けど、一応助けを求めてるならちゃんとした状況説明をするのが筋だと思うけど?【ユート】
…ハルナが闇の精霊を召喚しようとしたんだが、
術式を間違ったようで闇の精霊ではなく、悪魔のユーヤが召喚されたんだ。
……それで、コイツの口車に乗せられてハルナが契約を交わしたんだが、
契約の報酬としてハルナの魂か100万Gを差し出せと…!【レイリ】
あらら、典型的な騙され方したみたいね。
悪魔との契約の報酬として、魂や巨額のお金を要求されるのは極自然な光景。
何も驚くことではないし、それほど悲観したものでもない。
しかし、ハルナとユートのように、悪魔との契約の知識を持たない人間にとっては、
人生のどん底に突き落とされるような驚愕の問題に感じられることだろう。
死を選ぶか、生き死にを選ぶか、そのどちらかの選択を強要されているんだから。
でもねぇ、素人は騙せてもプロは騙せないわよ。プロは。
【レイリ】
アンタが悪魔?【ユーヤ】
そうだよ、悪魔協会【インドレンツァ】第4柱所属の悪魔さ。【レイリ】
ほぉ〜、そんな高位の悪魔がどうして手違いで召喚されるのかしらねぇ。
精霊を召喚する程度の術式じゃ、悪魔の魔力なんて受けきれないと思うんだけど。
……小悪魔ならともかくねぇ。【ユート】
!もしや、そいつ…!?【ユーヤ】
な、なんだよ!オレが小悪魔だって言いたいのかよ!?【レイリ】
だってアンタ小悪魔でしょうに。【ユーヤ】
違う!オレは列記とした悪魔だ!変な言いがかりはやめろよな!
あくまでコイツは自分は悪魔だと言い張るらしい。
どこをどう見ても小悪魔でしょうに。外見と魔力がそれを思いっきり物語ってるわよ。
けどまぁ、あーだこーだと言い合っていても埒が明きそうにないし、
ここはさっさと切り札を出すとしましょうか。…手に職は就けておくものね。
【レイリ】
……なら、アンタの上司に確認してみましょうか。
アンタが本当の悪魔だというのなら、タイショー男爵も肯定してくれるわよねぇ。【ユーヤ】
な、なんでアンタ、アイツのこと…?!【レイリ】
相手が悪かったわね、こちとら【契約商会】の者ですから。