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【 逆らえない主従関係 】
【レイリ】
いい格好ね、ユート。
未だにユートの目に残っている私への反抗心。
けれど、彼もこの顛末をはじめから想像していたようで、実際に反抗してくる様子はない。
――それとも、無意識に強制力がユートに働いているのだろうか?
【レイリ】
悲しいものね、反抗しても憎い相手の一言で跪いてしまうんだから。
【ユート】
その仕組みを俺の体に植えつけておきながら、よくその台詞が言えるな。
【レイリ】
悪いわねぇ、こっちも植えつけたくて植えつけたわけじゃないから罪の意識が低いのよ。
そう、正直なところ私は知らなかった。
僕にした吸血鬼に対して絶対的な支配力――強制力というものが生じることを。
ユートを吸血鬼に変えた時――私がユートを吸血した時。
それは私にとっていつもの食事となんら変わりなかった。
牙を立てるか否か。
それだけの差しかなく、あの行為に悪意も善意も何もない。
ある種、あれは無意識に近かったのかもしれない。
花の香りに惹かれるミツバチと同じこと――
【ユート】
その態度が許せないというんだ…!
俺を吸血鬼にしておきながら貴様は…!!
【レイリ】
何とでもお言いなさいな。
人の不幸など気にせず、欲望のままに夜を生きる――それが吸血鬼だもの。
誰も本能には逆らえないし、逆らおうとしたところで、最後には欲に染まる。
【ユート】
俺はそんなことにはならない!!
欲に溺れた吸血鬼になど…!
【レイリ】
やせ我慢もいい加減にしないと、もっと酷い不幸に見舞われるわよ?
【ユート】
……なんだと…?
【レイリ】
力を失えば意識が薄れ、同時に理性も失われていく。
そこに強い魔力を持ったハルナが現れたら――
空を裂く赤い閃光。
他人事のように、その赤を綺麗だと思いながらも、私の体は無意識に後方へと飛ぶ。
難もなく地面に降り立ち、冷静に前を見据えれば、
そこには今までになく私への強い殺意を瞳に宿したユートがいた。
【ユート】
俺がハルナを襲うとでも言いたいのか!!?そんなことあるわけがない!
大切な妹のハルナを、兄である俺が襲うなんてことは絶対に!!
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