「ここがキラの故郷なのかい?」
「うん、ここが私のふるさとだよ」
「そして、私とキラが出会った運命の場所でもあるのよ!」

 

嬉しそうにキラに抱きつきながら言うのはフライゴンの緑翼。
それを呆れた様子で「はいはい」と適等に相づちをうつのはゴウカザルの赤焔で、
緑翼に抱きしめられて身動きの取れないキラはただパタパタとしていた。

 

 

 

 

 

コキアケタウン。そこは人口が少ないマーキャ地方の中でも特に人口の少ない町。
しかし、コキアケタウンからは多くの優秀なドラゴン使いが輩出されており、
フスベシティについで有名な竜の里であり、キラの故郷でもあった。

 

「キラ〜!」

 

パタパタと手を振ってキラのもとに駆け寄ってくるのは一人の少女。
その少女に見覚えのあるキラは緑翼に抱きつかれた状態で片手をパッと上げた。

 

「キラ!久しぶり!」
「う、うん、お久しぶり。キリ…ウッ」
「あはは、緑翼のキラの大好きっぷりは変わってないみいただね!」

 

キラに声をかけてきた少女はキラの幼馴染であり、
このコキアケタウンにあるコキアケジムでジムリーダーを勤めている少女――キリウ。
その実力は本物で、マーキャ地方最強のジムリーダーとの呼び声も高い実力者だ。

 

「アンタ、相変わらずポヤポヤしてるわね」
「そ、そんなことないよ!これでも、ジムリーダーとしての自覚はあるんだから!」
「ホントかしらねぇ」
「緑翼、あんまりキリウをいじめないで」

 

キラが緑翼に言葉を向けると緑翼は「はーい」と言葉を返してまたぎゅっとキラを抱きしめたる。
抱きしめられたキラは嬉しいような呆れたような表情を浮かべていたが、緑翼を邪険にするような行動は取らなかった。

 

「キラ、その横の子は?」
「あ、うん、この子はゴウカザルの赤焔。シンオウで一番最初に仲間になった子だよ」
「へぇ!良く育てられてるね!」
「まぁね、ありがとう。赤焔、彼女は私の親友のキリウ」
「よろしくね、赤焔!」
「ええ、よろしくキリウ。しかし、立ち話もなんだしどこかカフェにでもいかないかい?」
「あっ!それはいいね!ちょっと足を伸ばしてハズネタウンまで行ってみようか!」

 

赤焔の言葉に賛同したキリウはポンッとボールを投げる。
すると、ボールからハクリューが出てきた。
それに素早くキリウは乗り込み、キラをせかすように「早く!」と言葉をかける。
キリウに促されるような形でキラは赤焔と緑翼をボールに戻し、キリウのハクリューの背に乗り込んだ。