「ねーえ」

 

媚びるような甘ったるい声がグラードン――の耳に届く。
普通の人間、普通のポケモンならば振り向きもするのかもしれない。
しかし、伝説のポケモンと呼ばれる彼は振り向きはしなかった。

 

 

 

 

 

ってください。

 

 

 

 

 

「ちょと、無視ですかー」

 

振り向きもしないに抗議するように今度は強気な声がする。
でも、当然の如くは振り返らないわけで、
声の主――は最終手段をとる事にした。

 

「――ッ!?貴様!!」
「だってちゃんが全然気付かないんだもん」

 

座禅を組んでいたの背中に突如としてかかった重さ。
それはが今まで無視しつづけただった。
流石のも抱きつかれてしまっては無視することもできない様で、
酷く不機嫌そうな表情をに向けるが、
は馴れているのか、気にしていないのか、いつも通りの表情だった。

 

「ねぇちゃん構ってー」
「馬鹿を言え、誰が貴様など…」
「ぶー、少しは私に構ってくれてもいいんじゃないのー!?」

 

まったくに興味を示さないはじたばたと彼の背中でばたついた。
しかし、彼の大きな背中では子供のが暴れた所で痛くも痒くもないわけで、
は相変わらずの方を見ることはなかった。
いけ好かない。というわけではない。
彼女は今までに見たことのない人間で興味はひかれる。
ただ、の性格上――素直になれないだけなのだ。

 

「ペッパ呼ぶぞコノヤロー」
「呼べるものなら呼んでみるといい。どちらがあやつの怒りをかうかなど一目瞭然だがな」
「ゔ〜ちゃんのいけずー」

 

 

 

 

 

■いいわけ
 紅玉夢主に懐こうとしないグラードン()と構ってもらおうとする夢主でした。
おそらく、この後ペッパ(ペリッパー)を呼んでも夢主が怒られるだけかと思います。
でも、その後でもペッパに怒られていそうなものです。