!空を飛ぶ!!」

 

の声に反応してオオスバメ――が美しく中を舞う。
人の多い場所を選んだわけではないのだが、
それでもの美しさにひかれたギャラリー達が「おぉ」と感心の声を漏らした。
の性格上、普段であればギャラリーなど気にせず、
自分が選んだ練習メニューを行うのだが、今日のは気分が違ったようで――

 

「燕返し!」

 

その日のの練習は彼のワンマンショーと化していた。

 

 

 

 

 

褒美は

 

 

 

 

 

、よかったよ」

 

そう言ってに優しい笑顔を向ける。
彼に褒められたは照れているのか、
頬を朱に染めて俯きながらもに謙遜の言葉を返した。

 

「そ、そんなことは…ご主人様の指示がよかっただけです」
「謙遜しなくていいんだよ。あれはの実力あってのものなんだから」
「そ、そうでしょうか…?」
「うん、そうだよ」

 

ニコニコと笑顔で言葉を返すを見ては更にその顔を朱に染める。
その意味に気付いていないが不安そうに「どうした?」と尋ねると、
は慌てて首を振り問題ないことを告げた。

 

「あ、そうだ。、今日はいい演技ができたからご褒美あげるよ!
まぁ、俺の可能な限りになるけど――何か欲しいものとかない?」
「えっ…そんなご褒美だなんて……」
「そんなに難しく考えなくていいんだよ。俺の我侭みたいなものなんだから」
「……でしたら、あの…ご主人様と一緒に行きたいカフェがあって…」

 

顔を真っ赤にして言うを優しく見守るだったが、
それ以上から言葉が出てこないことを不思議に思ったところで
「それだけ!?」と驚いたように叫んだ。

 

「だ、だめでしょうか……」
「いや、全然構わないけど……本当にそれだけでいいの?」
「は、はい…!」

 

ぽかんとしているの疑問に答えを返すと
は嬉しそうに人の姿からもとのオオスバメの姿へと戻り、
の肩を確りと掴んだ。

 

「では、参りましょう」
「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 蒼玉夢主と一緒にいられるだけで結構幸せなオオスバメ()でございました。
が蒼玉夢主に恋をしている設定ですが、夢主が超鈍感なので一向に報われません。
さらに、ライバルも多数いたりして…。実は結構蒼玉夢主はモテる男設定だったりします。