「なんで…、なんでテメェがここにいるんじゃー!!」
それがルギア――がはじめてのパートナーたちを――
いや、ディアルガのを見たとき第一声だった。
不満と洗礼
『やぁ、フェガ――いや、。久しいな』
『久しぶりじゃねーよ!なーんでお前がここにいんだよっ!』
のほほんとした様子でに声をかけるだが、
は鬼気迫ったものがあり、どう間違っても空気は穏やかなものではなかった。この巨大なポケモン2体が大喧嘩でも始めた日にはどうしたものかと2体の様子を伺っているは、
気が気ではないらしくオロオロしながら2体を交互に見ていた。いつもであればを困らせる者に対して容赦なく鉄槌を下すはずのとが今日は大人しい。
違和感を感じたがふととに目をやると、2体はオロオロとするを見て微笑んでいた。
『オ、オイ…、なんか変なモンでも食ったのか…?』
『食べてないわよ』
答えと一緒にの頭上にの拳が降ってくる。
油断していたはその直撃をくらい、あまりの激痛に「お゛ぁあ゛あ゛ぁぁ〜!!」と叫びながらのた打ち回った。その様子を見ていたほとんどのポケモンが「バカだ」と心の中でつぶやいた。確かに、たちの様子はおかしい。
が、なにもわざわざたちの気に触るような言葉を選ぶことはないだろう。
そこら辺はきちんと言葉を選べば殴られずにすんでいたはずなのだから今のはの自業自得である。
『…でも、いいの?、困ってるけど』
の質問の核心。
そして、この場にいるポケモンほぼ全員が疑問に思っていることを、何の気なしにが口にした。未だにのた打ち回るを除いた全員の視線がたちに注がれる。
しかし、だからといって特に戸惑った様子もなくたちは本心を語る。
『大丈夫よ。とかいうのは兎も角、に限ってを本気で困らせるようなことはしないわよ』
『…ああっ、オロオロしてる可愛い…!!』
幸せそうにオロオロとしているを眺めるリーダーとサブリーダーに、
二軍メンバーたちは大いにこのパーティーの行く末が不安になった。こんな2体がリーダーで本当にいいのだろうか。
けど、この2体に逆らえるやつなんていないし…。
色々と考えてみるが、安心できるような結論は見つからず不安が煽られる一方だった。が、打って変わって一軍メンバーはもうこの2体の病気とも言えるへの愛情に関しては、
色々と諦めているようで不安そうにしている様子はなかった。そんなグタグタな状況の中、との会話は未だに続いていた。
『色々あってと一緒にすごしてみたいと思ってな』
『なんだよその行き当たりばったりな感じの理由!』
『行き当たりばったり…、うーん、まぁ衝動的ではあったな。でもこれは、運命だったのかもしれないぞ?』
『んな運命俺が認めんっ…!!』
の言葉を聞いてが興奮気味に顔を近づけての言葉を否定する。
それを大して気にした様子もなくは「はいはい」と受け流してふと疑問に思ったことを口にする。
『しかし、どうしてお前は私をそこまで眼の敵にするんだい?昔は仲良くやっていたのに』
が心底不思議そうにに尋ねる。の言葉を聞いたポケモンたちは意外そうにを見る。
だが、は彼らの視線など気にしていない――いや、気づいていないようで、わなわなと震えだした。
『おーよ、お前とは割りと気があって、俺もいい友達だと思ってぜ…』
『うむ、ではなぜ?』
『お前が…』
『私が?』
『お前がの初めての
伝説のポケモンだからじゃぁっ――!!』
ずべしゃ。
あまりにも馬鹿げたの発言にと二軍は思わずずっこける。
少しだけ、少しだけ言動から察するには阿呆なんじゃないかと思っていただったが、予想は確信へと変わった。は阿呆だ!っつーか、なんだこのデジャブ感!!
『今から10年以上前、俺が優雅に空の散歩を楽しんでいたときだった…』
何の突拍子もなく回想を始める。
さすがにこの状況のにツッコミを入れるような者はなく、の昔話は進んで行く。
『この時俺は珍しく遠出してマーキャまで来ていた。
んで、意味もなく地上を見下ろしてみたらガキが1人ギャラドスの大群に襲われていた。
人間は嫌いだがさすがにガキだ、見逃せなくてエアロブラストでガキもろともぶっ飛ばそうかと思ったんだが…、
よく見たらそのガキ、ギャラドスどもに襲われてるんじゃなくて、遊んでんだよ。しかも、物凄い笑顔で』
色々ぶっちゃけられてしかし脳が硬直する面々。
しかし、それにかまわずは話を続ける。
『それからちょくちょくそのガキの様子を見てたんだけどよ、
相変わらず野生のギャラドスの群れと遊ぶは、カイリューを滑り台にしてみたり、キングドラにくしゃみさせてみたり、
さすがにボーマンダの口の中に顔突っ込んだときはひやひやしたな』
懐かしそうに語る。「どんな子供だよ」と面々が心の中でツッコミを入れるなか、
1人だけ頭を抱えて考え込んでいるものがいた。
が、それに気づいていない面々は黙っての話の続きを待った。
『で、あるとき思い切ってそのガキに会ってみたんだよ。
そうしたらな…、ものすげぇ綺麗な眼しててなぁ…!しかもまたこれが可愛いのなんのって…!!
あん時俺は思ったのだよ。コイツは将来大物になる上に、ものすげぇ美人になると!』
『で?』
『もうこれは俺の嫁になってもらうしかな――』
『『アウト――!!』』
『ぐふぉあっ!!』
の言葉を遮っての気合パンチとのドラゴンクローが決まる。
思わぬ不意打ちにはモロに直撃をくらいなんともいえない声を上げた。
『が可愛くて美人で大物になると言う意見には大いに同意するわ。
あとまぁとりあえず、に対してエアロブラストぶっ放そうとしたこともこの際眼をつぶってあげるわよ。でもねェ…!!』
『テメェなんぞにはやらんっ!つか、を嫁になんか誰がやるかッ!!』
轟々と燃えるとの怒りの炎。
2体と付き合いの長いのこと、このままでは血を血で洗う状況になるのではないかと冷や汗をかいたが、
どうやらそれは現実になりそうだった。
『こんの…!俺様を誰だと…っ!!』
『『ただの新入り』』
『――!!』
あまりにきっぱりと言ってのけるとにの額に青筋が浮かぶ。
これまではどんなポケモンにも、どんな人間にも伝説、神と敬われ、崇拝されてきた。
故に、基本的に上からものを言われることなどほとんどなかった。唯一上から口うるさく言ってくるのは自分の対ともいえるホウオウぐらいのもの。
加えて彼女はよりも長い時を生きた年上だ。なのだから、彼女に上から言われるのはある意味で仕方ないこと。
まだ許容できるところだが、今回は違う。
相手は確実に自分よりも若いただのポケモン。
これで、相手が伝説のポケモンだったりするのであれば、ここまで腹は立たないが、そうではないのだから腹が立つ。
『テメェらには、伝説のポケモン様の強さと尊さを骨の髄まで叩きこまにゃならんらしィな』
『はっ、アンタにはリーダーの命令は絶対だっていうこと教え込まなきゃね』
『ついでに、先輩がどれほど偉いか教えてあげるわよ』
■いいわけ
色々な意味でみんな暴走大全開です。&は毎度ですが、…!
いえ、作者としてはこれぐらい暴走するのがデフォルトですが、カッコイイルギアファンから刺されるんじゃないかと…。
……あえてこのまま暴走させ続けますけどね!(逃)