「ラトー！あのねっ、この間すっごくケーキの美味しいお店見つけたんだ！」

「ケーキ…いいなぁ」

読書中のラトのもとへぱたぱたと駆け寄っていくのはライナ。
いつも元気なライナではあるが、今回は元気というよりは興奮気味。
だが、ラトは特別ライナに落ち着くようには言わず、
嬉しそうな表情を浮かべてライナの次の言葉を待っていた。

「でしょ！？紅茶もとってもこだわってるみたいで色んな種類から選べるんだよ！」

「ペッパさん、喜びそうだね」

「うんうん！ユイも誘って女子みんなで行きたいよね！」

楽しげに話すライナとラト。それを遠目から見ているものがいた。

「微笑ましいな」

「ああ」

ふと言を漏らしたのはチャモで、チャモの言葉に相槌をうったのはエナ。
彼らはライナとラトの様子を遠目から眺めていた。

特別二人を眺めているのには理由はないが、
なんとなくライナたちのほのぼのとした雰囲気に安堵感を抱いていた。

「あの２人はまさに『友達』といった感じだな」

「そうだな、歳も近いし同性ということもあるだろう」

「俺たちにはない感覚だな」

「ああ、俺たちは『友達』というよりは『戦友』だからな」

チャモもエナもお互いを友達と思った事はない。
だが別に嫌っているわけではない。
ただ彼らは、今更「友達」とはいえない関係になっているだけだ。

同じ主人を持ち、同じ志を持つ戦友――２人は同志なのだ。

「これからもよろしく頼む」

「ああ、こちらこそ」