「……最近、ユイが俺に冷たいんだ…」
今にも死にそうな声、そして表情でいったのはチャモ。
常にハキハキとした印象がある彼だというのにどうしたことか。
その場にいた水と葉はお互いに顔を見合わせて首をかしげた。
「どうしたッスか?チャモ。ユイがチャモに冷たくするなんて――」
「どうもしていない!!俺はいつも通りにユイに接してきた!!だというのに…!!」
心配して水がチャモに言葉をかけるがチャモは随分と動揺しているようで、
今にも殴りかかりそうな勢いで水の胸倉を掴んだ。あまりのチャモの剣幕に圧されて水は思わず叫ぶ。
「ギャー!落ちつけッスー!」
「これが落ちついていられるかッー!!………っ?」
『まったく、水の言う通りだ。少し落ちついて状況を整理してみろ』
ポケモンの姿に戻った葉は尾の部分を軽くさわさわと揺らしてアロマテラピーを使った。
それによってチャモは興奮状態ではなくなり、深呼吸ひとつして水の胸倉から手を離した。
「ユイがお前に冷たいなら、今は誰に熱を上げている。グラさんか?」
「違う!それは断じて違う!寧ろアイツもユイに冷たくされている。
…懐かれているのはペッパだ……」
「ご愁傷様だな」
「葉…お前は……!」
ペッパ。
その名を持ち出されて葉は完全に匙を投げたのか溜め息混じりにチャモに言葉を返した。チャモも葉の気持ちを理解できるが、「少しぐらいは考えろよ」とか本気で思った。
一応だが、自分たちは付き合いの長い幼馴染であり、親友なのだし。
「……もしかして、それ単なる夏バテの所為じゃないッスか?」
「「なに?」」
「いや、ほら、ここ最近暑いッスから炎ポケモンのチャモがユイにとっては暑苦し――」
「なんだと貴様ッー!」
「ギャー!!」
ユイが自分のことを暑苦しいと思っている。
そう言われてはチャモが黙っていられるわけもなく、
水の言葉が終る前にチャモが水に殴りかかっていた。
水はなんとかそれ避け、葉に助けを求めるが――
「却下だ。チャモのストレス発散に付き合ってやれ」
「んな薄情なー!」
「殴られろ水ィー!!」
「ほぎゃー!」