「フッシー!葉っぱカッター!」
「ドク、溶解液ッ!」
フシギバナの放った葉っぱカッターがドククラゲの溶解液によって溶かされ、
フシギバナの葉っぱカッターは発動しなかったも同然に終わる。しかし、まだフシギバナの闘志は消えておらず、彼らは次の手に打って出た。
「蔓の鞭!」
「絡みつくで受けとめて」
レッドのフシギバナとのドククラゲのバトルはまだまだ続きそうだった。
もっと強く
ここは人の手が入っていないシロガネ山の奥深く。
強い野生のポケモンが生息し、ポケモントレーナーの修行にはもってこいの場所だ。加えて、このシロガネ山にはどんな傷でも癒す秘湯があり、
それが今回レッドとがシロガネ山にやってきた一番の目的。そして、先ほどまでバトルをしていたのはリハビリの一環だ。
「やっぱりには全然敵わないな」
緑の絨毯にゴロリとその体をまかせレッドは空を見上げて言った。蔓の鞭でドククラゲの触手をおさえたまではよかったのだが、
ドククラゲの触手は80本――フシギバナの蔓で抑えきれる数ではなく、
フシギバナはドククラゲの触手に捕らわれてしまい、
最後にはフシギバナの弱点をつついた攻撃――冷凍ビームの直撃を受けてフシギバナは瀕死状態となり、
このバトルの勝敗はの勝ちで幕を閉じたのだった。
「そんなことないよ。私とドクもギリギリのところまで追い詰められたもの」
レッドの言葉を受けては微笑みながら言葉を返す。
後半はなんとか自分達のペースに持ち込むことができたが、はそれまでは防戦一方を強いられた。
それは確実にレッドが強くなっていっていることを証明している一番の証拠だ。レッドが強くなっていくのはにとってはとても喜ばしいことだった。
「レッド、もっともっと強くなってね」
寝転がっているレッドの横にやってきて穏やかな笑みを浮かべて言う。
そんなの表情を見てレッドの心臓はドキリとはねる。
どぎまぎしながらレッドはに尋ねた。
「ど、どうしたんだよ、突然」
「どうもしないよ。ただ、思ったことを言っただけ」
悪戯っぽく微笑んだたかと思うと不意には空を見上げる。
今日もシロガネ山は快晴で、ぽつぽつと少し雲があるが空はほぼ青一色だった。
「私、レッドとバトルするのが楽しいの。だからもっともっと強いレッドとバトルがしてみたいの」
「もっと強い俺と…?」
不思議そうに問うレッドには「うん」と笑みを返す。
その答えを受けたレッドはの瞳の奥にある光に気がついた。それは好戦的な闘志の炎。普段のからは想像できないが、
初めて「」という存在に出会った時の彼女の姿を思い出してレッドは苦笑いをこぼした。
「どうしたの?」
「いや、と初めて出会ったときのこと思い出してさ」
苦笑いを浮かべて言うレッドに、「ああ」とも苦笑いで言葉を返した。
「俺、今でも憧れてるんだ『』にさ。でも、ずっと憧れのままじゃ面白くないよな!」
がばっと起き上がったレッドはに視線を向けて言う。
は一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐにその表情を笑みに変え「そうだね」と言葉を返した。そして、レッドに促されるようにしても立ち上がる。
ぱんぱんと服についた草をはらうと、一陣の風が吹いた。
「再開する?」
「もちろん!」
バッとレッドとは距離をおきモンスターボールを放つのだった。
■いいわけ
シロガネ山で修業中の2人のヒトコマ。怪我の治療をしながらバトルでリハビリしてます。
夢主も一応カンナの「氷の輪」を受けている設定です。詳しい事は第二章の1話を参照してください。
なんかやっと暗い話題のないレッド夢が書けた気がします(滝汗)