「…どうやって強くなったか??」

 

不思議そうな声でオウム返しに尋ねたのは少女――
そして、彼女に質問をしたのは少年――ゴールド。
今彼らがいるのはキキョウシティ郊外。
ワカバタウンの研究所から盗まれたワニノコを取り戻すべく、
キキョウシティからヒワダタウンへと向かう途中のことだった。
ゴールドの行動が突然なのはいつものことだが、
今日は彼の真剣さはいつも以上だった。

 

 

 

 

 

さの秘訣

 

 

 

 

 

「俺とお前、同い年だよな?」
「うん」
「だけど、俺よりもお前の方が断然ポケモンバトル強いだろ?」
「うん」
「いや、そこはちょっとぐらい否定しろよ」

 

素直に「うん」とうなずくにゴールドは思わず突っ込みを入れる。
だが、それにも素直に反応したは「あ、ゴメン」と言葉を返す。
そんな抜けたの様子を見てゴールドはしばし思考する。

 

「(コイツ、俺より本当に強いんだっけか……)」
「ねぇ、ゴールド、なんか失礼なこと考えてない?」
「考えてなんかねぇよ。とにかく!強くなる秘訣を教えてくれ!」
「秘訣…ねぇ?」

 

ゴールドに問われては黙り込む。
フィード家に代々伝わる「解放する者」としての能力。
そして、物心つく前から強制されてきたポケモンバトル。
 
それがの強さの秘訣。
 
それを平穏な暮らしをしてきたゴールドに打ち明けたくはない。
彼には関係のない話だし、それを知った彼の反応が怖かった。
拒絶されるのではないか――ゴールドの拒絶はなによりもにとって怖いものだった。

 

「…おい、??」
「へっ?あっ、ああ、ゴメン。……えーと、強さの秘訣だったよね?」

 

思考の海に沈んでいたの意識が、ゴールドの声によって不意に引き上げられる。
慌ててとりつくろうようにが明るい口調で口を開くと、
ゴールドは不機嫌そうな表情を浮かべて口を開いた。

 

「別に俺はお前を困らせるために聞いたんじゃねぇ。
言いたくないなら言わなくていい以上!」

 

そう言うとゴールドはさっさと先に行ってしまう。
それをは無意識に追いかけていた。
に背を向けて先へと進むゴールド。
彼の小さな心遣いがにとってはとても嬉しいことだった。
心が温かくなってパッとゴールドの手をとった。

 

「強さの秘訣は仲間を信じることかな」
「いいこと言うね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 はじめはお互いに邪魔な存在だったけど、次第に信頼していく――まさにそれがこの2人。
時間軸としては、まだお互いに信用しきってはない感じ。でも、それもそれで燃える(病気)
あ〜…早く三章に手をつけたい…!!