久しぶりに本当に面白いと思える本に出会ったんです。
ポケモンバトルについての描写が非常に細かく臨場感が溢れていました。
ついつい、その本に読みいってしまい、
私は自分の横に一人の少女が座っていることに気づくことができませんでした。
これは四天王として非常に恥ずかしいことです。
完全に周りを警戒することを忘れて本を読み耽っていたわけですから。
けれど、私という一個人としても、彼女の存在に気付けなかったのは、不本意ですね。

 

 

 

関心彼女

 

 

 

「お待たせしました」
「うん」

 

本を読んでいた男――シンオウリーグの四天王を勤めているゴヨウが苦笑いしながら少女――に声をかけた。
声をかけられたは特にいつもと表情を変えることはなく、いつもの調子で無表情に近い表情だった。
彼女の雰囲気から察するにかなりの時間待たせたようだったので、
いくら滅多に機嫌を悪くしないとはいえ、少しは機嫌を悪くするのではないかとゴヨウは思っていたのだが、
はその予想に反していた。

 

さん、今日はどういったご用向きですか?」
「最近ラルトスゲットしたから、エスパーポケモンの育て方聞きに来た」
「それは嬉しいことですね」

 

の訪問の理由を聞きゴヨウはにこりと笑う。
ただのトレーナーであれば、「ご自分で育て方を研究してください」と追い返すところだが、
自分が気に入っているが態々自分の元を尋ねてきたとなれば話は別。寧ろ大歓迎だ。
しかし、当のはゴヨウが喜んでいる意味をまったく理解していないようで、
不思議そうにただただ首をかしげていた。

 

さんは、ラルトスをどういった子に育てたいんですか?」
「…対格闘タイプ」
「なら、ラルトスはお勧めかもしれませんね。
特殊攻撃力と素早さを重点的にアップさせて短期決戦型に育てればいいと思いますよ」

 

ゴヨウのアドバイスを受けては真面目にメモを取っている。
そんなを見てゴヨウは、ふとが自分のことにもそれくらい注意してくれるようになったらな、と思うが、
自分のことには無関心で、ポケモンのことには無自覚に敏感な彼女だからこそ、
好いているのかと思うと思わず苦笑いがもれた。

 

「…?なに笑ってるの?」
「いえいえ、あまりにも君が真面目にメモを取っているから……」
「……意外?」
「そうではありませんよ。
いつも自分は何事にも無関心な風があると一定ことを思い出して、そうでもないな、と思ったんですよ」

 

ゴヨウにそう指摘され、考えていなかったのかはびっくりしたような表情を見せた。
は常々自分は何事にも無関心だと自負してきたが、ゴヨウの言葉はあまりにも予想外の言葉だった。

 

「確かに…ポケモンのことには無関心じゃなくなった……かも」
「『かも』ではなく、十分に関心を持っていますよ。
でなければ態々私のところにエスパーポケモンの育て方なんて聞きに来ないでしょう?」

 

ゴヨウがそう問うと、は少し難しい顔をした後、「そうだね」と不意に優しい表情を浮かべた。

 

「……やれやれ、私も無関心ではいられませんね」
「…??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 アニメの影響もあり、書きたくなったゴヨウさん夢。紳士で知的なゴヨウさんお好きです。
金剛石夢主は紅玉夢主と違い、テンション低い真逆とも言える夢主です。
おかげで台詞が大抵「……」がつきます。更に言うと、動かしズラいですよ。
でも、これはこれで珍しいタイプの夢主なので、これからも短編を増やしていこうかと思います。