無表情で冷静――いや、勝敗など気にしない少女のありように、リョウは正直、腹を立てていた。
自分はここまで上り詰めるために多くの努力を重ね、そして常に真剣勝負を挑んで来たり、受けてきた。
だというのに――彼女は少したりともその表情に変化を見せない。
もうすぐ四天王とのバトルが始まるというのに、
その平常心――冷静が気に触った。

 

「…行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って、バトルが始まると表情変わるよね」
「……そうなの?」

 

フライゴンに寄りかかりリーフィア――翠葉のブラッシングをしているに、不意にリョウが言葉をかけた。
はリョウの言葉に心当たりがないのか、不思議そうに首を傾げている。
しかし、相変わらず表情は感情を写しておらず、不思議そうな表情ではなかった。
けれど、これが毎度のこともありリョウも少したりとも嫌な顔はしなかった。

 

「変わるよ。バトルになるとの顔、とっても生き生きしてる」

 

バトルのときに生き生きしているというよりは、いつもが生き生きしていないといった方が、
正直正しいのだが、バトルになるとはとても楽しそうな表情を見せのだ。
そんなバトルの一時しか見せない表情にリョウは強く惹かれている。
初めてであった時の印象は最悪だったが、
今にして思えばだからことこれほどまでに強くに惹かれなかったかもしれない。

 

「でも、そういう生き生きした顔、ゆっくりと見てる暇ないのが残念だよね」
「…なんで?」
「だって、好きな人の笑顔って見たくない?」

 

ニッコリと笑ってリョウはに言葉をかける。
はリョウの言葉を理解できないのか呆然とリョウを見つめている。
リョウは「気付くかな?」と心の中で思ったが、不意にフライゴンが体を揺すりの注目を引くと、
が自分の方を見たことを確認してから、
ゴニョゴニョとに何かを伝えると、リョウの方を見てにやりと笑った。

 

「なるほど、そういうことか…」
「え、ちょっ、なんの話??」
「リョウ、シロちゃんの笑った顔が好きなんでしょ?」

 

の的外れすぎな解答にリョウは大きな溜め息をついてフライゴンを見る。
リョウと視線があったフライゴンはにその頭を摺り寄せながらリョウの顔を見てニタニタと笑っていた。
要するには、突然のリョウの告白に呆然としていたに別の事実を吹きこんだのだろう。
頭の良いフライゴンに感服しつつリョウはつまらなそうに溜め息をついた。

 

の強さの秘訣はポケモンたちとの絆の強さだよね」
「うん、それが一番だよ」

 

 

 

「(……シロナさんじゃ、こんな可愛い顔しないって…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 とりあえず二言、言わせてください。「甘い」「無理矢理だ」
最近、やっと甘めの夢が書けるようになって気がしなくもありませんが――
なんか、自分のキャラクターにあっていなくてものっそい自己嫌悪に浸ります。
……バトル描写やりたーい。