「まいったなぁ……」

 

困ったようにポツリと呟いたのはヒョウタ。
困ったような声音ではあるが、思いのほか現在の状況を気に入っているようで、
その顔には困惑よりもちょっとした嬉しそうなものがあった。
しかし、そんな平穏も、長続きがするわけもなく、主人の身のありようを心配――
というか、ヒョウタの行動を監視するためにポケモンたちがずらずらと出てくるのだった。

 

 

 

 

 

り姫

 

 

 

 

 

ヒョウタの方にもたれかかり、眠りについているのは少女――
完全に眠りについており、耳をすませば規則正しい寝息が聞こえてきた。
ヒョウタはそんな彼女を「可愛いな」なんて思い優しい表情で見つけていると、
右から左から、挙句、前に後ろに上に下からまで痛い視線がヒョウタに突き刺さった。

 

「本当に赤焔たちはのことを大切に思ってるんだね」

 

当然だとでも言うように「ふんっ」と鼻を鳴らすのはゴウカザル――赤焔とフライゴンの緑翼。
ヒョウタに突き刺さった視線の原因は、彼女たちのポケモンたちだ。
大切なパートナーということもあるかもしれないが、
彼女らにとってを守るもっとも大きな理由は「好き」だからだ。
自分達の大好きなトレーナーが人間を好きになれば、自分たちは2番目になってしまう。
もっと悪ければポケモントレーナーをやめてしまう。
そんな考えが彼女たちにはあるのだろうか?

 

「……ん…」

 

フライゴンがの体に身を寄せるとは小さな声を上げる。
そして徐に自分で自分の体を支え、ヒョウタの肩から重さが取り除かれた。
ヒョウタは少し寂しい気もしたが、
ポケモンたちのあの「殺気」とも言える視線を注がれているよりはましかと思い、
に「おはよう」と声をかけた。

 

「…おやすみ………」
「っ!?」

 

突然抱きついてきた
寝ぼけていることは確実なのだが、
思い人に抱きつかれて慌てない人間などいないわけで――

 

!こんなことろで――」

 

恥ずかしいは、ポケモンたちの視線は痛いはでヒョウタは無理にを引き剥がそうとしたときだった。
今まで以上の殺気と含んだ視線がヒョウタに突き刺さったのだ。
おそらく、赤焔たちにとってヒョウタにが抱きついているのは許せないが、
熟睡しているを起こすことはもっと許せないのだろう。
「…ど、どうしろっていうんだい?」
困惑した様子でヒョウタが赤焔たちに問うと、
赤焔たちは思いため息をついた後、トリトドン――紅霧とリーフィア――翠葉を残して
他のポケモンたちがボールへと戻って行った。
そして、残った紅霧と翠葉はの体に身を寄せて眠りについた。

 

「……今回は認めてくれたってことかな…」

 

そう言ってヒョウタはの頭を優しく撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 ゲーム夢ではかなりメジャーなヒョウタさん。
なので管理人が生産いなくてもいいかなと思いつつ、思うところがあって書いてみました。
できれば、パパンも登場させた家族夢(マイナー)書いて見たいですねー。