「ミミロップ!ピヨピヨパンチ!」
「なんのっ、ライチュウ!こっちは気合パンチだ!」
少女――の前でバトルを繰り広げているのは、四天王のオーバとナギサシティジムリーダデンジの二人だった。普通のトレーナーからすれば、
実力者であるこの二人のバトルが目の前で見学できるなんて、非常に嬉しいことなのだが、
もともと自分がオーバと戦う予定だったとしては、何一つとして面白いことはない。滅多に機嫌など損ねないだというのに、今日はどうやらそうもいきそうにないらしかった。
暇は大敵
「前より強くなってるじゃないかデンジ」
「四天王だからってジムリーダーの実力なめるなよ!」
はじめは、のバトルをめぐって険悪なムードで始まりを告げていたバトルだったが、
いつの間にやら険悪どころか、まるで青春ドラマの1ページのような状況になっている。元々、仲の悪い二人ではないのだから、喧嘩しても仲直りするのも早いということで、
仲直りの理由はわからなくもないのだが、人を呼び出しておいて完全に放置のというのはいただけなすぎた。
「…………」
「レントラー!」
「ギャロップ!」
『、あのバカ二人ぐらいぶっ飛ばすのはワケないわよ?』
恨めしそうに二人を睨むように見る。そんなを想ってか赤焔が姿を見せ、
バカ二人――オーバとデンジを懲らしめようかと提案するが、は何も言わずにただ首を振る。
が「NO」と言った以上、手を出せないことを悟った赤焔は、の腰に装着されたボールへと音もなく戻っていった。
「炎の渦!」
「見切りで防御だ!」
ギャロップがお得意の炎の渦でレントラーの動きを封しようとするも、
レントラーは見切りによって完全に炎の渦の軌道を見抜き、
その身にひとつとして火傷も負わずに元の位置に戻っていた。鍛え抜かれたポケモンたちの全力のバトルを見るのはやはり楽しいことは楽しい。
しかし、は思いのほかバトルへの闘争心が強いようで、
やはり「見る」よりも完全に「する」派のようで――
「つまらない…」
完全に飽きてしまっていた。
しかし、そんなところににとっては救いの神が現れるのだった。
「騒がしいと思ったら…さんたちですか」
「あ、ゴヨウさん。こんにちは」
「ええ、こんちには、さん。……それにしても、随分とつまらなそうな顔をしていますね」
「……ああ、うん…」
の元に現れたのはゴヨウ。
は思いがけない人物の登場に驚いたのだが、
その感情に表情の方が追いつかなかったようで、
ゴヨウの目には確りつまらなそうなの顔が写った。はゴヨウに自分がつまらなそうな顔をしている理由を説明すると、
ゴヨウは苦笑いを浮かべてひとつ良いアイディアを提案をしてくれた。
「では、私とバトルするのはいかがですか?もし、私に勝てたなら美味しいお茶をご馳走しますよ」
「!……する!」
「良い返事です。
では、あの二人は放っておいて行きましょうか」
「うん」
ゴヨウに連れられてはオーバが管理しているフィールドから出て行く。しかし、オーバとデンジは完全にバトルに夢中になっており、
ゴヨウがやってきたことも、が出て行ってしまったことにも気づくことはなく、
最終的にはバトルが終わってからやっとがいないことに気づき、
大慌てした後にゴヨウから事の次第を聞くという羽目になるのだった。
■いいわけ
定番のVS的夢ですが、定番ではないのはゴヨウさんオチというところでしょうかね。
予想外に管理人はゴヨウさんが大好きらしいです。(アニメの影響だろ)
ああ、そのうちゴヨウさんを絵で描きたいですねェ。