馬鹿らしく暑い。陽射しは容赦なくガンガンと照りつけ、風はまったくといっていいほどない。
元々、涼しい場所育ちのにとってこの暑さは、地獄のような暑さだった。
ただ、自分のポケモンたち――
特に赤焔が喜んでくれていることは嬉しいわけで、また技のキレも上がっている。
所謂これか、日本晴れ効果というやつなのだろう。
そう頭でグルグルと考えながらは一度空を見上げた後、ふっと視線を赤焔たちに戻した。

 

「ゴウカザル!火炎車!」

 

 

 

 

 

さと暑さ

 

 

 

 

 

「赤焔、こっちも」

 

炎を纏って2体のゴウカザルがぶつかり合う。
2つの力のぶつかり合いによって衝撃波――いや熱風が起こる。
生温いものではない。本当に熱風。肌を焼きそうな温度だった。
一瞬は意識を手放しそうになるが、不意に隙を見せた相手――
オーバのゴウカザルを見つけ、薄れそうになる意識を無理矢理呼び戻し赤焔に命令を下した。

 

「マッハパンチ」

 

ゆらゆらをゆっくりと動いていた爆煙。
だが、の声が放たれると、それに反応したであろう影が
目にもとまらぬ早さでオーバのゴウカザルの懐へと飛びこんでいた。
見事に決った赤焔のマッハパンチ。
それによってオーバのゴウカザルは地と伏し目を回した。
要するにこのバトルの結果はの勝利で終ったということだ。

 

「勝ったぁ……」
「おい、ちょ!!?オイオイオイオイ!」

 

勝利よって気が緩んだはオーバの声を無視して彼女もまた地へと崩れ落ちるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炎ポケモンが好きな人間というのは、意外と暑い季節に抵抗があるもので、
暑くなればなるほど炎ポケモン同様に元気になるものが多い。
かく言うオ―バもその一人で、今日は絶好のバトル日和だった。
ギラギラとさす陽射し。燃えあがるような暑さ。
オーバ、そして炎ポケモンたちにとっては最高なのかもしれなかったが、
彼がバトルに誘った少女には地獄の日だったのかもしれない。

 

「……んん…」
「おっ、気がついたか?」
「…あ、オーバ……」

 

木陰で涼んでいるオーバの膝の上で眠りについていたが目を覚ます。
未だに体がだるいのかオーバの膝の上から頭を起しておらず、はっきりとしない意識のまま横になっていた。
そんなボーっとしたの頭をやさしく
オーバは撫でて意識があることを確認した。
柔らかなの髪。
指を通るその感触が心地よくて、
ついつい長い時間にふれていると不意にが口を開いた。

 

「…オーバ……手…」
「あ?」
「暑い」

 

オーバにつき刺さった意外なもの。それはの殺気だった。
相当彼女にとって「暑い」ということは、機嫌が悪くなることのようで、
滅多に機嫌など悪くすることのないが怒っていた。
思わずオーバは驚いた表情で手を引っ込めると、はすぐにいつも通りの表情に戻ってその目を閉じた。

 

「…もう少し……」

 

そう言った後に聞こえてきたのは小さな寝息。
なかなか自分勝手なやつだと思いながらもオーバの表情はやさしいもので、
オーバは大きな欠伸をひとつして、彼もまた瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 何故突然アフロなのかよく分かりません。(色んな意味で)
しかし、マイナーサイトの鏡とも言える作品っちゃ、作品ですよね。オーバ夢なんて。
ミミロップとかフワライドとか炎と関係ないポケモンつかうオーバが大好きです(笑)