四天王――リョウ。
彼が管理するフィールドに一人の客人が訪れている。
しかし、ポケモンリーグへの挑戦者というわけでもなく、リョウが呼び出した人間でもない。では、一体誰が訪れているのだろうか?
「黄妃、怪しい光」
そう言い放ったのは一人の少女。
彼女の前には黄妃と呼ばれたビークインが怪しい光を放っている。
だが、それはバトルのための技「怪しい光」ではなく、ポケモンを美しく見せるコンテストの技だった。それをポケーッとしながらリョウは眺めており、
自分のフィールドを我がもの顔で使う少女に文句ひとつ向けることはなく、
やはりポケーッとしながらただ少女と黄妃が魅せるパフォーマンスを堪能していた。
コンテスト彼女
「(綺麗だなぁ…)」
少女の的確な指示はビークインの魅せ方をよく熟知したもので、
少女と同じくビークイン使いであるリョウとしては学ぶことも多い。だが、今のリョウのひとことには別の意味合いも含まれていた。
「(コンテストのときのって生き生きしてるんだよね)」
滅多に変わることのない少女――の表情。
いつもは無表情で感情といったものを顔にはうつさないだが、コンテストの時は違う。
その表情はバトルのときとはまた違ったいきいきとしたものだ。リョウはいつもと違うの一面にまた惹かれていく自分を見つけて苦笑いを浮かべた。
「……リョウ?」
「うわっ!?」
リョウが一人で考えごとをしているうちにはコンテストの訓練を終えたらしく
いつの間にやらリョウの傍までやってきていた。それに気づかなかったリョウは突然に言葉をかけられたことに驚いて大きな声を上げる。
そんなリョウのリアクションをうけては不思議そうに小首をかしげて「大丈夫?」と尋ねた。
「大丈夫、大丈夫。ちょっと驚いただけだよ」
「あはは」と苦笑いを浮かべながらリョウは胸の前で手をパタパタと振りに問題のないとこを伝える。
そんなリョウの様子を見ては少し不安そうな表情を浮かべたが、
最終的には「そう」と小さく一言を返して、自分の腕に抱きついている黄妃を優しく撫でた。
「また、黄妃の技に磨きがかかってたね」
「今度ヨスガのコンテストに出るから」
「へぇ、ヨスガかぁ…」
「うん、ヨスガ」
ヨスガと聞いてリョウは一考する。
ヨスガシティはここポケモンリーグからは結構な距離があり、そう簡単に行き来できる場所ではない。でも、のコンテストは見たい。「うーん」とリョウが考え込んでいると、不意にがぽんっと手を叩き、
黄妃をボールに戻してリョウから少し離れたところでぺこりと一礼して黄妃の入ったボールを天高く放った。それをリョウは反射的に目で追うと、絶妙なタイミングで黄妃がボールから飛び出した。
「リョウのためだけの特別公演」
そう言ってはリョウにニコリと笑みをむけるのだった。
■いいわけ
松本のビークイン好きがなせる技でございます。本当にビークイン大好きです。
コンテストの時の夢主の笑顔は若干営業が入っております。でも、楽しんでます。
でも、夢主がバトル派かコンテスト派かと問われれば、恐らくバトル派かと思われます。