バトルの中で見えたのはひとつの光。
はじめはなんの変哲もないただの少女だった彼女。
しかし、今の彼女は普通の少女ではない。
そして、普通のトレーナーでもなかった。

 

「いくよ、みんな」

 

そう言って少女はボールを構えてから、高くボールを放った。

 

 

 

 

 

く原石

 

 

 

 

 

石の収集のためにダイゴがやってきたのはシンオウ地方。
多くの石が発掘されいるシンオウはストーンゲッターであるダイゴにとっては夢のような場所だった。
当初は石をいくつか発掘したらホウエンヘ戻ろうと思っていたのだが、
ダイゴはクロガネシティで一人の少女と出会ったのだ。

 

「あら、ダイゴじゃない」
「やぁ、シロナ」

 

クロガネシティを歩いていたダイゴに声をかけてきたのはシンオウ地方のチャンピオン――シロナ。
彼女とはチャンピオン同士ということもあり、ダイゴはシロナと面識があり尚且つ友人としての仲も良かった。
そして、シンオウチャンピオンであるシロナの横に立っていたのが――

 

「彼女は。ポケモンリーグで私に勝った子なのよ」
「はじめまして」

 

シロナに促されるような形で少女――はダイゴに頭を下げる。
ダイゴも「よろしく」と言いながらぺこりとお辞儀をする。
そして、シロナはにダイゴがホウエン地方のチャンピオンであることを説明した。
そのときだった。
不意にの瞳の中に強い闘志の炎がともったのは。
そんなを見てシロナは自分が予想していた展開になったのか、
嬉しそうに笑いダイゴにとのバトルを薦めてきた。

 

「僕でよければいくらでも」
「是非、お願いします」
「それじゃ、私が審判をするわね」

 

そして、ダイゴはとのバトルを開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くたりとゴウカザルが大地に倒れこむ。
にとって最後の一体であったゴウカザルが倒れたことによってこのバトルの勝敗は決した。
シロナがダイゴの勝利を告げるとダイゴはメタグロスをボールに戻してからに視線をやると、
の目からは闘志の炎は消えており、を包む空気はあっという間に静かなものに変わっていた。

 

「色々な意味ですごい子でしょう?は」
「ああ、シロナもすごい逸材を見つけたね」

 

そうダイゴが言葉を返すとシロナは嬉しそうに「うふふ」と笑うとダイゴに背を向けてのもとへ歩み寄った。
はダイゴに負けたことがショックだったのか少々放心状態で、
ポケーっとゴウカザルの入ったボールを見つめている。
そんなを励ますようにシロナがの肩を優しく叩くと
はふと我に返ったようにぴくりと身を震わせた。
シロナのおかげで冷静な頭を取り戻したは、
ダイゴのもとへとチョコチョコと歩み寄ってくると、ぺこりと頭を下げて口を開いた。

 

「いいバトルをありがとうございました」
「ああ、僕もいいバトルができて楽しかったよ」
「また…バトルしてもらえますか?」

 

少し不安げな様子ではダイゴの表情を伺うように尋ねると、
ダイゴは何の躊躇もなく笑顔で「ああ」と答えて優しくの頭を撫でる。
それを嬉しそうには受けとめて小さく微笑を浮かべた。

 

「ふふっ、とダイゴのバトルを見ていたら私もなんだかバトルがしたくなってきちゃったわ」
「わぅ」

 

いい空気が流れていた二人の間に割って入ってきたのはシロナ。
を後ろから抱きしめて笑うシロナの目には少しの殺気。
ダイゴは苦笑しながら腰のボールに手を伸ばした。

 

「僕でよければ相手になろうか?」
「ええ、願ったり叶ったりだわ。は私の応援、よろしくね」
「うん」

 

がシロナにそう言葉を返すとホウエンとシンオウのチャンピオン対決の始まりのゴングが鳴るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 金剛石夢主でなぜかダイゴさん夢を目論みました。
なのに、オチは「ダイゴVSシロナ」になりました。一体何のマジックでしょうね?
ダイゴさんとシロナさんが戦ったらポケモンの相性的にシロナさんが勝ちそうですよね。