「…………」
デンジは今、物凄く嫌な顔をしている。
もう、今世紀最大の嫌な顔といってもいいくらい嫌な顔をしていた。では何故彼はそんな顔をしているのか、その理由は簡単だ。
「なによその物凄く嫌そうな顔」
「……やっぱりお前、嫌いだ」
会いたくない奴
デンジの前に堂々と立っているのはデンジにとって天敵であるというホウエン地方のトレーナー。
彼女とはなにかと気が合わず、デンジは彼女と会う度に喧嘩するほど仲が悪かったりする。デンジもを嫌っているが、もデンジを嫌っている。
だが、はデンジが自分の友人――に恋心を抱いていることを知っていて
それをネタにデンジをからかいにくることがある。そして、言うまでもなく今日も今日とては、
デンジをからかうためにはるばるホウエン地方からやってきていた。
「帰れ暇人」
「暇人とは失礼な。
私の貴重な時間を使って態々の情報を届けに来てるっているのに…、デンジくん酷ーい」
「キモい」
「うわっ、それ酷すぎ!!」
にそそがれるデンジの視線は何処までも冷ややかなもの。
しかし、はその視線を受けても、おどけたりしては見せるが、少したりとも引くという事はしなかった。流石のデンジも「肝の据わった子だ」と心の中で少しだけ感心した。
そう、あくまでも少しだけだが。
「…あれ?さん??」
「おぉ〜?じゃない!奇遇だね」
「っ!?」
睨みあっていた2人の間に不意に登場したのは。
思いがけないの登場には満面の笑みを、デンジは驚きの表情でそれどれを迎える。笑顔と驚きの表情で迎えられたは、が居るとは思っていなかったようで、
少しビックリしたような表情を見せていたが、すぐその表情は嬉しそうな笑みに変わり、
はトコトコとのもとへと駆け寄った。
「どうしてさんがここに?」
「ん〜?まぁちょっとした情報をデンジくんにお届けにね」
「ね〜」とデンジにが同意を求めるとデンジは少し悔しそうな表情を浮かべたが、
すぐに表情を無表情なものに変えて短く「ああ」とだけ答えた。
「……もしかして私…邪魔?」
「なっ、そんなことない!寧ろ邪魔なのは――」
「の方だ」そんなことを口には出さずに心の中でデンジが思うと、それを察したはニヤリと笑う。
その笑みはまるで「帰らないよ?」と言っているかのようで、
分かっているのにあえてこの場を去らないは本当に性格が悪いとデンジは思う。だが、にとっては大切な友人であり先輩だ。
故にのいる前では無碍に扱えないのだ。本当に嫌な人物と出会ってしまったものだとデンジは心の中でため息をついた。
■いいわけ
デンジVS紅玉夢主の直接対決でした。因みにポケモンバトルをしたら紅玉夢主が勝ちそうです。
続きそうで続きません。多分この後はデンジと紅玉夢主が喧嘩してポケモンバトルはじめそうです。
そして、暇になる金剛石夢主。いつぞやのようにどこかへ逃亡しそうでいやですね。