「灰山!岩雪崩れ!」
「トリデプス、鉄壁!」
青年――ヒョウタは驚いた。
父――トウガンにポケモンバトルの修業に誘われてやってきた鋼鉄島。
その鋼鉄島には父しかいないと思っていたのに、そこにはヒョウタの予想の右斜め上を行く人物がいた。
親父のいらないお節介
「…?どうしてここに……」
「おお、ヒョウタ!やっと来たか」
「…久しぶり」
困惑した様子でポツリと呟いたヒョウタ。
そんな彼に気づいたのかトウガンはバトルの訓練を中断して、嬉しそうにやっとやってきた自分の息子に声をかける。
それに続くようにしてヒョウタが予想もしていなかった人物――がヒョウタに挨拶した。ところが、未だにの存在に合点がいかないヒョウタの頭は混乱する一方だった。
「ヒョウタ?」
「え、あ。ああ、ごめん。
まさかがいるとは思わなくて…」
混乱しているヒョウタに優しく声をかけたのは。
小首をかしげたに尋ねられヒョウタは強制的に現実に戻され少し冷静になる。
に言葉を返してからヒョウタは深呼吸ひとつして今の一番の疑問を口にした。
「どうしてここにがいるんだい?」
「灰山と青波の訓練」
そう言っては自分の横に控えていたバンギラスの灰山とルカリオの青波を指差す。
どうやら偶然が偶然を呼んでとトウガンは出会ったらしい。
一瞬、トウガンのいらないお節介ではないかと思ったが、トウガンもそこまでお節介ではないようだ。
「願ってもない偶然だなヒョウタ」
「………」
前言撤回。
ニタニタと笑いながらヒョウタの腕を肘でつんつんとつつくトウガンに、
ヒョウタは「余計なお世話だ」とでもいうかのような表情を浮かべる。
しかし、そんな息子の表情を見てもトウガンは表情一つ変えることなく、ふとに話題をふった。
「私との訓練はこれぐらいにして、ヒョウタと一勝負してみてはどうだい?」
「…ヒョウタと?」
「ああ、ヒョウタとだ。若い者同士の方が得るものが多いだろうからな。ヒョウタも異存はないな?」
「ボクに異存はないけど…」
自信なさ気にヒョウタはトウガンに言葉を返しての方を見る。
実力差が大きく開いたとヒョウタ。
故にヒョウタはに相手にされないと思ったのだが、
その予想に反してはその目に好戦的なものを見せていた。
「くんは問うまでもないな!」
「はい。ヒョウタ、本気でいくよ」
フッとが笑うとの瞳に宿る好戦的なものがリと光る。
もちろんそれにヒョウタが反応しないはずもなく、ヒョウタも腰からボールをひとつ取ると、
ヒョウタの瞳にも好戦的な光が宿った。
「それでは、はじめ!」
「やはり若い者同士のバトルは活気があっていいな!」
そう豪快に笑って言うのはトウガン。
とヒョウタの模擬戦は無事に終了し、どちらも得たものは大きかったようで、
ヒョウタたちの表情には満足そうなものがあった。
「、また強くなったね」
「ありがとう。ヒョウタもラムパルドとの息が合ってて凄かったよ」
ヒョウタとはお互いを褒め合いながら最後に握手をひとつ交わす。
それをトウガンは「うんうん」とうなずきながら見守る。
握手を交わし終わった2人は自分のポケモンをボールに戻した。
「やはりくんにはうちの嫁になって欲しいものだな」
「ななぁっ!?」
「…嫁?」
■いいわけ
ジムリーダー親子があまりにも素敵だったので家族夢を決行した次第です。
親子で山で修業してそうなイメージがあったので、そこに夢主を突っ込みました。
思いのほか違和感のない夢主にビックリです。とりあえず、トウガンさん大好きです。