「おい、こら、なんでお前がと一緒にいるんだよ」
「たまたま、会ったんだよ。そしたらが兄貴のところに行くって言うからついてきた」
「あのなぁ、そういうときは気を使って帰れよ!」
「やなこった!兄貴だけにいい思いはさせないぜ!」
「……2人とも何の話してるの」
「「内緒!」」
どっちだ!
ハードマウンテンでオーバとバトルの訓練をするつもりだった。
ところが、ハードマウンテンに向かう途中でオーバの弟――バクに出会い、
オーバに会いに行くといったら物凄い形相で「俺も連れてけ!」と言われたらしい。
もちろん、はバクの同行を却下する理由もないので彼の同行を許可し、
こうして彼と一緒にオーバのもとを訪れたのだが、バクはオーバと会うなり兄弟喧嘩をはじめてしまったのだった。すっかり蚊帳の外状態になってしまった。
オーバとバクの兄弟喧嘩を眺めている彼女にも歳の離れた姉がいる。
だが、あまり喧嘩はしたことはない。
というのも、彼女の姉がポケモントレーナーとしてすぐに旅立ってしまい、姉妹が揃うことがなかったからだ。「今頃、姉さんどうしてるかな?」と思っていると、突然にオーバとバクの声がかかった。
「「どっちがいいんだ!?」」
「…ど、どっち??」
「そうだ、俺とバクどっちとポケモンバトルの訓練がしたいんだ?」
「とーぜん、俺だよなっ!」
「なに言ってやがる。俺に決まってんだろ」
ぐいぐいと押し合いながらに言い寄ってくるオーバとバク。
その様子を見る限り、どちらも「譲る」という選択肢はないようで、を急かすように「どっちだよ!」と声を上げている。
はそんな2人の様子を見て呆然としていたが、不意にクスリと小さな笑みを浮かべた。
「な、なんだぁ?」
「なに笑ってんだよ」
「だって2人とも喧嘩してるのに息ぴったりだから…。でもいいね、兄弟って」
が笑うとオーバとバクは思わず顔を見合わせる。
確かに、の言うとおり喧嘩をしていたのに2人の息はぴったりで、傍から見れば面白い絵だったかもしれない。
オーバとバクは、お互いばつが悪そうに顔を背けると、がすっと立ち上がりボールを構えた。
「2人の兄弟ならではのコンビネーションがみたいな」
どちらか一人を選ぶとばかり思っていたオーバとバクは面食らい驚いた表情を浮かべたあと、
また再度お互いに顔を見合わせると、お互いににっと笑った。
「よし、に俺たち兄弟の強さ見せつけてやるとするか!」
「おうっ!やってやるぜ!」
こうして、はオーバ&バク兄弟とバトルをすることになるのだった。
■いいわけ
家族夢第二弾で、オーバVSバク夢でございました。バクのキャラがあっているのかかなり不安です。
それよりも、オーバとバクが本当に兄弟かどうかも気になります。でも、多分これは大丈夫。
バク単品夢はまだ書いたことがないのでそのうち挑戦してみようかと思います。