今、は酷く困惑していた。
ボールカプセルのシールを買いにきたついでに、ナギサジムに顔を出しに行こうとした
ジムの前までやってきてジムの扉を開けようとしたときだった。

 

「ねぇ、あなた!これをデンジ様に届けてくれない?」
「ちょっと抜け駆けしないでよ!私のも届けてくれるわよね!?」
「あ、ずるーい!私もー!!」

 

突然大勢の少女たちには取り囲まれてしまったのだった。

 

 

 

 

 

ントだよ

 

 

 

 

 

ゴサゴサゴサ!
大きな音を立てて綺麗にラッピングされた箱が、フライゴンの上から降ろされて一山築く。
それを見て――いや、それを届けてくれた人物を見てデンジは唖然とした。
デンジに彼のファンから預かってきたプレゼントの山を届けてくれたのはデンジの思い人――だった。
いつもであればジムのジムトレーナーの誰かが預かって持ってきてくれるのだが、
よりにもよってが持ってくるとは思っていなかった。

 

「デンジって人気あるんだね」
「え、う、あー……、そ、そうか?」
「これだけプレゼント貰ってるんだから『人気者』だと思うよ」

 

歯切れの悪い返事を返すデンジをよそに、ははっきりとものを言いながら
全てのプレゼントをフライゴンから降ろし終えたことを確認するとフライゴンをボールに戻してデンジを見た。
突然自分に向けられたの視線にデンジは戸惑い「ど、どうした?」とまた歯切れの悪い返事。
ドキドキしているデンジをよそに、は冷静な口調で問う。

 

「私がいると不都合?」
「なっ、そんなことない!ただ……」
「ただ?」
「変な誤解をされたくないというか……」
「誤解??」

 

デンジの言葉に覚えがないのかは不思議そうに首をかしげる。
ある意味で当然の結果ではあるのだがデンジは「はぁ」と大きなため息をひとつつく。
そしておもむろにプレゼントの山に近づきひとつのプレゼントをとってから口を開いた。

 

「…プレゼント、届けてくれてありがとな」
「どういたしまして。でも、デンジの顔を見るついでだったから」

 

申し訳なさそうに礼を言うデンジに対しては、
クスリと小さな笑みを浮かべてデンジにとっては嬉しい言葉を返してくれる。
聞き間違いではないだろうかとデンジは「へ?」と間抜けな声を出すとは微笑を苦笑いに変えた。

 

「ナギサへはボールカプセルのシールの買いにきたの。
……でも、ジムに来たのはデンジに会いたかったからだよ」
「お、俺に会いたかった??」
「うん」

 

のまっすぐな視線にデンジはが本当に自分に会うためにこのナギサジムに訪れてくれたことを確信する。
その確信はじわじわとデンジの嬉しさを沸きあがらせる。
そして、デンジが気づいた次の瞬間にはいつのまにかデンジはを抱きしめていた。

 

「嬉しいよ、俺」
「デンジが喜んでくれたなら、私も嬉しい」

 

微笑んでそう言ってくれるにデンジは本当に彼女を愛しく思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 まだ恋人同士ではないけど、ほぼもうそれに近い状態設定です。
金剛石夢主はあんまり物事に執着がないのでヤキモチを妬きません。
でも、デンジはいらないだけヤキモチを妬いてくれると物凄く燃えます。